教育家庭新聞・教育マルチメディア新聞
情報化推進セミナー
「情報」の実施率約8割
事例報告で今後の方策探る
 小中学校では今年度から新しい学習指導要領が始まり、高校でも4月からの実施が目前に迫っている。その内容は、総合的な学習の時間や、新教科「情報」が設けられるなど、コンピュータの活用を重視したものとなっている。
 そこでこれからの情報教育のあり方を探るべく「教育の情報化推進セミナー2」(主催 (財)日本視聴覚教材センター)が、3月1日、東京のアルカディア市ケ谷で行われた。このセミナーは、昨年8月に開催され、今回が2回目。
 「『教育の情報化』の明日を考える」をテーマに基調講演を行ったのは、文部科学省学習情報政策局学習情報課課長のl原靖氏。
 情報教育の推進に向けては、「学校のIT環境の整備」、「教員のIT活用指導能力の向上」、「教育用コンテンツの充実」が必要になってくるという。そのため、国の施策として2005年度までににコンピュータ教室に42台、普通教室に2台ずつのパソコンの整備が、地方交付税措置により進められている。さらに、全ての教室の高速インターネット接続が目指される。
 そして、指導者の育成に向けては、e−教員プロジェクトという研修プランが4月から新規事業としてたてられている。
 コンテンツの充実としては、教育情報ナショナルセンター(NICER)に登録されている約3万件のコンテンツを平成17年度までに約10万件にすべく整備が進められる。
 このNICERでは、インターネット上にある教育・学習に関するコンテンツを集めて整理。検索エンジンの膨大な情報と違い、本当に必要な情報が入手できる。
 さらに、東洋英和中学・高等学校の橋詰正治先生、メディア教育開発センターの波多野和彦先生、東京都立墨田川高等学校の小泉力一先生、慶應義塾幼稚舎の鈴木二正先生、星美学園中学・高等学校の村松みゆき先生の各氏からは、先進的な取り組みの例として事例発表がなされた。
 メディア教育開発センターの波多野先生は、3D素材を取り入れた野外学習実験の概要を紹介。明治大学付属中野八王子中学・高等学校の協力で、浅川流域の3地点に分かれ、水生昆虫や流速を観察。GPS機能を備えたデジカメで撮影地点も記録され、電子メールや掲示板を介してリアルタイムで情報交換が行われた。
 3D素材の活用のポイントは、生徒同士がどうやって協調して活動を行うかということと、教師同士の相互協力が必要になってくるという。
 墨田川高校の小泉先生のテーマは、「教科『情報』の出発と課題」。4月からスタートする新教科「情報」の現状や課題について報告を行った。平成15年度に「情報」を履修することになる学生は全体の約77%。「情報A」「情報B」「情報C」の、それぞれの履修される割合は8:1:1の割合になると思われる。
 しかし、東京都における「情報」免許取得者は当初計画の1240人には至らず955人にとどまるとしている。


【2003年3月1日号】