教育家庭新聞・教育マルチメディア新聞
NICERは今!?
LOM情報約3万件
校種・教科・内容別に提供

 教育に役立つ教育情報を幅広く収集して提供している国のサイト「教育情報ナショナルセンター」が1昨年8月にオープンして約1年6か月。学習に役立つサイトの学校種・教科・学年別の概要情報(LOM)を中心に、社会科統計データベース、イラストデータベース、学習指導用の実践事例や学習指導案など多用な情報が順次収集・登録・蓄積されている。各学校・教育委員会でもかなり利用されるようになっているが、現在のコンテンツの収集状況やアクセス状況、今後の展開などについて検証した。http://www.nicer.go.jp/



 インターネットを利用した学習を行う上で便利なのが教育情報を集積したポータルサイト。国の教育情報ポータルサイトである「教育情報ナショナルセンター」(以下、ナイサーと略)は、「キッズ」(幼児・小学生)、「ティーンズ」(中学・高校生)、「先生」(教師・指導者)、「大人」の窓口別に教育情報に誘う。さくらの開花状況を利用者が登録する「さくら前線プロジェクト」、「おぞうにマップ」などの企画も折々に進められている。
 このうち、利用価値が高い様々な学習に役立つコンテンツの概要情報(LOM)は約2万9200。教育関係者や企業などからの登録申請などで順次登録数が増加している。この概要情報は、学習指導要領に基づき校種、教科、学年、項目に分類され、学習者に分かりやすいように表示されている(写真、表参照)。

 登録されているコンテンツ数は、中学校用、小学校用、高校用の順に多いが、コンテンツへのアクセス数は小学校用コンテンツが最も多く、教科では社会科がトップで以下理科、算数、総合の順。中学校用は理科が最も多く次いで社会科、数学、技術・家庭科の順。高校では、理科、情報、地理・歴史といった順になり、上記の教科でインターネット上のコンテンツを利用した学習が良く行われていることが分かる。
 この他、児童・生徒の学習用の社会科データベース、歴史データベース、イラストデータベース、地図ソフトウェア、教員用の各種情報があるが、学習に役立つサイトの概要情報(LOM)と並んで人気なのが各校種・教科の実践事例・指導計画・研究報告が登録された「みんなで作ろうe−Case」である。現在の登録数は2647(うち、実践事例1303、指導計画1188)。校種別では小学校が1460と断突で、中学、高校600前後となっている。

 登録されている事例や指導計画の内訳では、文部科学省のデジタルコンテンツの活用高度化事業によるものが最も多い。
 一方、「e−Case」は「みんなで作る」と銘打たれているように、一般の教員も教育実践事例登録申請画面から申請し、ナイサーの許可を得た後、事例や指導案、写真、イラストなどを定型のフォーマットに入力することで登録できるようになっている(右図)。
 「内容について、どのレベルで線引きをして採用するかの基準は難しいですが、有害な内容や明らかに不適切なものは載せません。また、肖像権については、問合せをして相手の了解を得ている旨の連絡がきた事例を載せています。ほとんどは事前に了解が取られています」と教育研究情報センター長の清水康敬先生。

 今年も7月にリニューアルされる。今回の主な改善の1つは、地図を利用した様々なマッピングシステム。「地図上に全国の学校が色分けされて表示され、クリックすると学校の住所やURLが出ます。また、・祭り・を選ぶと全国の祭りのイメージが表示されます」と清水先生。航空写真や史跡、各大学のシラバス、地方新聞なども地図上にマッピングされる予定という。2つは画面がより見やすくなり、LOMデータの表示も簡潔化される。
 一方、厳しい財政状況下、有益なコンテンツの一部が国や企業の予算削減の中でアクセスしても見られなくなるというトラブルが発生しているのは、今後の大きな課題である。

登録されている教科別LOMコンテンツ数


【2003年5月3日号】