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フィンランドの教育を視察レポート
フィンランドの教員養成システム
教育実習について説明
教育実習について説明

 大学は20校ありすべて国立。学部の改組やカリキュラムの変更も適宜行われている。

  大学における教員養成は科目担当教員(主に中学、高校に勤務)は19世紀初頭以来大学で養成され、クラス担当教員(小学校に勤務)は1973年から学士に、1979年から修士の資格を持つことが条件になった。
当初修士を条件とした時には「費用がかさむ。義務教育段階の教員に理論はいらないのではないか」という批判があったようだが、PISAで好成績を取ったことで解消されているという。

  ヘルシンキ大学における教員養成システムは、2005年に大きなカリキュラム改革が行われ、現行の形になった。学部で180ポイント、修士で120ポイントを履修する。1年間の最大修得ポイントは60ポイントで、最短5年間で教員になることができる。(1ポイント=27時間)
しかし、日本のように高校を3年間で一斉に卒業しその直後に一斉に大学に入学するという状況ではない。多くの生徒は卒業後アルバイトや他の職業に従事したり、外国旅行をし、その経験から自分の道を固めて大学に入学してくる。ビーキ小中高等学校には、40歳と34歳の女性が教育実習に来ていた。

実習の合間にくつろぐ実習生
実習の合間にくつろぐ実習生

  教員は人気の職業で、ヘルシンキ大学の教育学部のクラス担当教員になるための競争率は10倍を超える。2008年のヘルシンキ大学のデータによると、クラス担当教員の応募者数は1258人。このうち、1次試験で1045人、2次試験で362人が合格。最終的にクラス担当教員養成課程に受け入れられたのは123人だった(9・8%)。

  教員養成課程に入るための試験は記述試験と面接により行われる。面接では先生を志望する理由、教育内容への理解、子どもを対象にした職業経験、学校をいかに開発していきたいか、といったことが審査される。性格も重視され、性格が固い、飛び過ぎている、協調性がないとった人は採用されにくいという。

  ヘルシンキ大学の教育実習は学部課程の第一ピリオドに7週間(12ポイント)、修士課程の第二ピリオドに5週間(8ポイント)行われる。第1ピリオドは大学附属学校で、第2ピリオドはその他の協定校で必ず行われることになっている。
教員養成のカリキュラムや教育実習の方法は大学により異なる。例えばユバスキュラ大学では、大学1年生、2年生、3年生、修士課程と毎年のように教育実習をするシステムになっている。
フィンランドの教員養成の大きな特色の一つが研究に基礎をおいた教職の積み重ね。社会や子どもの状況が変化する中で教え方をそれに対応しなければならず、「絶えず研究していく」トレーニングが教職課程のカリキュラムに設けられ、それがヘルシンキ大学でもユバスキュラ大学でもますます重視されているという。

【2010年3月14日〜21日フィンランド教育視察レポート】


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