来た来た!! 新教科「情報」
私立佼成学園中学校・高等学校 津留和憲先生
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教育マルチメディア新聞2002年3月3日号
 中高一貫教育校にも大きな課題を投げかけている新教科「情報」。徳育・知育の育成に努めている進学校、私立佼成学園中学校・高等学校(東京都)を訪ねた。

 同校は、中学校で現在「情報とコンピュータ」を設置、高校においては平成15年度から「情報」をカリキュラムに組むという。

 「中学校で基礎を徹底することで、他教科においても、また高校でもコンピュータを多方面で活用できると思います」と技術・家庭科の津留和憲先生。津留先生は昨年度、「情報」科の免許を取得。現在中学校で教鞭をとりながら、再来年度の施行に向けカリキュラムの検討を続けている。

 「コンピュータ学習を通し、特に生徒に身につけてもらいたいのは、・自己表現力・ですね。受験対策で座学がどうしても多くなりがち。また男子校ということで気持ちを伝えることがあまり得意ではないようです(笑)。

 初期段階で情報Aにあたるカリキュラムを設定し、発展段階でホームページの作成や外国と電子メールを介して生身の英語に触れる機会を提供したいですね」。

 コンピュータ教室では、中学1年生がパワーポイントを学習。津留先生は「これまで人に何かを説明するときに使っていた模造紙みたいな役割なんだよ」と説明を加える。

 生徒用PCの脇に据えられた教師用のモニターを横目に生徒たちは、タイトル「何でもランキング」を入力し、フォントや色を変え特色づけていく。
 まずは使用テキスト「実習 情報基礎」(インプレス)に付属されたCD−ROMから練習用ファイルを開き、実際にパワーポイントを操作。練習用に用意されたスクリーンを削除し、順番を入れ替えてみる。手順はテキストに従う。紙面には画面が順番に並べられており、クリックするアイコンも拡大表示されている。

 練習課題「好きな食べ物ランキング」をテキストに沿って「焼肉」、「スパゲッティー」と入力し終え、マイドキュメントに保存。操作に慣れるために「ゲームランキング」をそれぞれ作成する。

 「おまえもポケモン好きなの?」「やっぱ、このゲーム面白いよね」…。
 そして自己紹介。将来の夢や好きな教科などを打ち込む。生徒たちは、隣に座る友だちの意外な側面を発見。モニターに映し出された「個性」は、隣の生徒の興味を惹きつけていた。

 モニターと平行に行き交う会話は、打ち込んだ内容はもとより、操作方法にまで及ぶ。得意な生徒はタイトルを明朝体に変えたり、テキストを片手に友だちの操作をサポートしていく。

 「実習に近い授業を展開していくことで、生徒たちは自主的にテキストや友だちを頼りに学習しようと努めているようです」と津留先生。
 高校の新教科「情報」が施行されるまで、あと1年。中学校にも大きな変容が押し寄せている。