高校で「情報」必修に

技術・家庭科 2領域に統合

(前文)

教育課程審議会は6月22日、「審議のまとめ」を公表した。学校週5日制の完全実施にともない、小・中・高等学校とも、年間総授業時数を70単位時間(週当たり2時間)削減する。同時に基礎基本を確実に身に付けさせるため、小中学校で教育内容を約3割削減した。

また、自ら学び考え判断する力を育成するための教科横断的な「総合的な学習の時間」を小学校3年以上で必修とし新設。小中学校では週2時間以上、高校では卒業までに105から210単位時間履修する。さらに、情報化に対応するため、中学校でコンピュータに関する基礎的な領域を必修とし、高校でも教科「情報」を必修として設置することなどを提言した。審議会では、7月に提言をまとめ、新学習指導要領を幼稚園、小・中学校については年内に、高校は年度内に告示する。新教育課程は、幼稚園は2000年度、小・中学校は2002年度、高校は2003年度からスタートする。

(本文)

教育課程の基準の改善のねらいはとして示されたのは、@豊かな人間性や社会性、国際社会に生きる日本人としての自覚を育成するA自ら学び、考える力を育成するBゆとりある教育活動を展開する中で基礎基本の確実な定着を図り、個性を生かす教育を充実するC各学校が創意工夫を生かし特色ある教育、学校づくりを進めること、の4点。

各学校段階を通じる課題として、道徳教育、国際化への対応、情報化への対応、環境問題への対応、小子高齢社会への対応、横断的・総合的な学習−教育課程の基準の大綱化・弾力化を示した。 教育内容の厳選については、小学校の算数で少数や分数の導入を上学年に移行する、必修となる中学校の外国語では文法や語数の一部を削除する、などを上げた。

「総合的な学習の時間」の学習活動については、@国際理解、情報、環境、福祉・健康などの横断的・総合的な課題A児童生徒の興味関心に基づく課題B地域や学校の特色に応じた課題、を例示。これらの課題について観察や実験、見学・調査・発表、ものづくりなどの体験的な学習、問題解決的な学習が望まれるとした。「中間まとめ」で例示されていた小学校の外国語会話については、国際理解教育の一環として適切に行われるようにと言及している。

また、中学校の技術・家庭科では、現行の「木材加工」、「電気」、「食物」など11領域に細分化されていた構成を改め、生活という視点に立って「技術」と「家庭」の2領域に統合化。そして、「技術領域」は木材・金属加工などのものづくりの基礎的内容とコンピュータの基本的な公正と操作、利用などコンピュータの基礎的な内容を必修とする。エネルギー変換やプログラムと計測・制御などは選択履修とする。

高校では、新教科「情報」を必修で新設。コンピュータやネットワークの活用、機能や仕組みについての科学的な理解などを内容とする「情報A」、「情報B」、「情報C」を置き、選択する。 なお、高校で教科「情報」の新設に伴い、全国で約5000人の情報を指導する教員が必要になるが、まだ「情報」の免許はない。当面数学や理科などで情報に関わる内容をもって履修とする「経過措置」をとる。一方で@大学に養成課程を置く、A現職教員の研修で免許を与える、などについて教育職員養成審議会で審議し、国会に教育職員免許法改正案を提出する。

(教育家庭新聞98年7月4日号から)