1200人が全国から

Eスクエア・プロジェクト成果発表会
インターネット利用の本番を前に

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 100校プロジェクトで得たノウハウや成果の普及を「場」を提供することで目指したEスクエア・プロジェクトの成果発表会が3月10日、パシフィコ横浜で開かれ、全国から1200人の先生及び指導主事などが集まった。2002年から始まるインターネットの教育利用の本番を前に、例年よりも参加者が多く、各校種部会、全体会、基調講演、シンポジウムに参加者は熱心に聞き入っていた。

 小学校部会の1つは、徳島県三加茂町立三庄小学校の鶴田真由美先生が、同一河川(吉野川)の上、中、下流に位置する学校同士が総合的な学習で交流学習を展開した事例について。オンラインとオフラインのバランスをとり、直接交流も実施。子どもの学習を支えるため、教師のメーリングリストも開設し活発に意見交換したことなどを発表。また、福岡市立早良小学校の龍造寺譲先生は国際理解に重点を置いた総合的な学習の試行について。日本人学校への質問メールや交流、ホームページe−palsに登録してアメリカ、カナダ、イギリスなどの小学校とのメール交流をし子どもたちの作文力の向上にも生かしたと語った。
 以下は、4万校に広げることを視点に「何を目指し何が得られるか。どう拡めるか」をテーマに話し合われたシンポジウムの概要。

 司会は、赤堀侃司氏(東京工業大学教授)、パネリストは田中博之氏(大阪教育大学助教授)、北村克久氏(横浜市教育センター指導主事)、近藤多寿子氏(三重県立員弁高等学校教諭)ほか。
 北村 私たち学校はこういう勉強会をすると、従来教員ばかりが集まっていた。そういう意味で、今日は住民の方や企業の方など、いろんな方の発言があった。これからの横浜は、町とともに歩むという学校作りが必要だろう。学校と社会の価値観がずれているという発言があったが、そのずれている価値観の突破口を開くのがインターネットでもあるかなあ、と思う。
 KICE(神奈川県インターネット教育活用研究会)がまとめた冊子の中に、こういう文章がある。「インターネット構築の原理は、自立・分散・共働であると言われている。私たちは全く同じ原理でもって、KICEを作り上げてきた。それぞれが分散した現場で、自立して働きながらも、力を合せて共働してきた」
 地域の人たちを取り込んで支援していきたい。

 田中 21世紀はNPO社会だと思っている。利用するには少し費用がかかるが、大阪に総合的な学習で人権教育や環境教育をすることを手伝ってくれる、また、海外の学校を紹介してくれているセンターがある。今後情報教育を進めて行こうとするとき、コンテンツの開発が進められるが、心配なのはただボタンを押せば(コンテンツが)出てくるだけといった受け身の学習になってしまわないかということ。能動的に学習できる方法をいろいろ提案している。交流活動をきちんと入れて学習単元構成ができれば、絶対に子どもはマルチメディアを組み合わせて使っていく。4万校に広げるという時は、テレビ会議をインターネットでするといった交流学習をメインな活動としていった方がうまくいくのではないだろうか。
 赤堀 多様性、共有、パートナーシップという3つのキーワード。多様な情報をお互いに共有し、学校だけでなく企業、政府ともパートナーを組んで取り組んでいく。
 これからさき、2002年までにインターネットの環境がすべての学校に行き渡る。その現実的な事実の前に、100校プロジェクト以来、積み重ねた知見が生かされなければ、何のためにしてきたのか分からない。是非、ここで得られた成果を4万校に広げるための大切な内容にしていただきたい。
(教育家庭新聞2000年4月1日号)