現場で活用できるコンテンツを

5つの類型で開発
インターネットで無償提供

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 文部省中学校課は、インターネット時代の学校教育に対応するため、教育委員会や教育センターなどに既にある教材のデジタル化・データベース化をするとともに、「総合的な学習の時間」や各教科における共同学習などの新しい学習活動を支援する教育用コンテンツを開発するため、左記の5つの類型に沿った「教育用コンテンツ開発事業」の企画募集をする(締切り6月23日)。企画会議(座長=永野和男聖心女子大学教授)で8件程度の企画を選定し、応募者の学識経験者、教員、企業などからなる開発チームに委嘱する。コンテンツは今年度末までに開発し、開発されたコンテンツは3年間インターネットを通じて教育現場に無償で提供される。2001年度中にすべての公立学校がインターネットに接続された段階で、利用出来るコンテンツを増やしたい考えだ。企画会議には本紙でも馴染み深い教員や教育関係者が多く参加、開発物の成果が期待される。

 従来、応募の類型を定めることはまれであったが、現場で本当に活用できるものを開発するため、今回の事業では事前に学識経験者と現場の教員などからなる企画会議(委員は下記参照)で開発すべき内容を検討した。また、委嘱を受けた開発チームには、企画会議の委員1名以上が入り、開発チームではなく企画会議が指定した学校で実証的な研究を行うという手法を取っている。
 開発するコンテンツの類型は、1各教科の授業の実施に役立つ「写真・動画・音声などの学習素材コンテンツ・データベースの開発」2たとえば百葉箱などによる計測を電子化するといった「学習素材の自動収集システム及びその利用システムの開発」3共同学習の相手校探しや共同学習進行の各段階における円滑な運営支援、生徒の学習活動と一体となったシステム、実践事例や教材の紹介など「全国広域共同学習支援型システム及びデータベース」4教員が過去に開発した古いDOSの教材をインターネット上で提供できるように再開発したり、CGIなどの知識がなくてもWeb上で動作する集計システムなどの電子教材をサーバー上に教員が容易に構築できる「教科の指導に役立つ電子教材コンテンツ・データベース等の開発」5企業の仕事や職業の紹介、訪問可能な職場のデータベース化など「職場体験や進路決定に役立つコンテンツ及び提供システムの開発」。
 この「教育用コンテンツ開発事業」は、ミレニアム・プロジェクト「教育の情報化」の一環。文部省学習情報課が既に進めている「学習資源デジタル化・ネットワーク化推進事業」が、各教科の教科書に沿って構成される映像コンテンツの開発を開発内容にしているのに対し、今回の事業はより幅広く発展的な内容になっている。
 予算総額は、2億2000万円。1件当たり1000〜3000万円程度。詳しい情報は、文部省のホームページhttp://www.monbu.go.jp/でも提供されている。

 企画会議の委員は次の通り。
 井口豊重・東京都中野区立第七中学校教諭▽伊藤公紘・コンピュータ教育開発センター常務理事▽伊藤秀一・東京都江東区立南砂小学校教諭▽影戸誠・名古屋市立西陵商業高校教諭▽篠原正典・NTT東日本担当部長▽関口一郎・日本教育工学振興会常務理事▽天良和男・東京都立駒場高等学校教諭▽永野和男・聖心女子大学教授▽原克彦・園田学園女子大学助教授▽堀田龍也・富山大学教育学部助教授▽毛利靖・つくば市立並木小学校教諭▽渡部昌邦・福島県教育庁総務課管理主事
(教育家庭新聞2000年6月3日号)