文部省 情報教育の実態調査

インターネット接続約6割に

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 文部省が8月にまとめた平成11年度の公立学校の情報教育実態調査(平成12年3月31日現在)で、コンピュータの整備が最も遅れている小学校の設置率が98.9%と100%に近づき、インターネットへの接続率も全体で57.4%と6割弱に、高校では8割になることが分かった。コンピュータを操作できる教員も小学校を中心に操作できる教員数が増加し全体で66.1%と6割を超えた。ただ、インターネットの接続率には、事務室しか接続されていない学校も含まれているなど、課題は残る。
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○LANの整備が急進
 コンピュータは昨年度1年間に新規に14万1755台導入され、全体の設置台数は110万3862台になった。機種別ではノートパソコンの割合が1・2ポイント増えて6・0%に、デスクトップ型は1・4ポイント減少し93・2%になった。普通教室での活用などを考えると、ノートパソコンの割合は今後も増加すると思われる。
 校種別の設置率及び設置台数は、小学校が1・2ポイント増えて98・9%の学校に1校あたり15・7台、中学校が0・1ポイント増えて100・0%の学校に36・8台、高等学校が100・0%の学校に81・9台、特殊教育諸学校が0・7ポイント増えて99・6%の学校に15・3台。全体の設置率は99・3%になった。小学校、特殊教育諸学校の設置率が100%に近づき、1校あたりの設置台数も各校種とも2〜5台程度増加している。

 コンピュータの設置場所は、中学・高等学校はコンピュータ専用教室に集中する傾向が強く、中学校で95・6%、高等学校で94・0%の学校で専用教室に設置されている。一方、小学校は74・4%と低い。小学校では整備の遅れもあるが、各階のメディアスペースに分散配置されている傾向もある。普通教室への設置は、小学校が全教科担当制のためか最も多く12・6%、中学校は7・0%、高校にいたっては1・3%と低い。逆に教科の特別教室への設置は、高等学校が最も多く55・4%、次いで中学校21・4%、小学校10・8%となっている。図書館への設置は、高等学校52・7%、中学校16・3%、小学校19・5%である。

 教室内LANを含めLANが設置されている学校は、小学校が30ポイント上昇して57・6%と5割を超え、中学校も25・3ポイント上がり89・9%と9割近く、高等学校も27・1ポイント増えて92・4%になった。小、中、高校とも3割近く上昇し全体で70・1%になった。2005年までにすべての教室にコンピュータを設置してインターネットにアクセスできるようにするといった政策や、2002年から完全実施される新学習指導要領では、中学校の技術・家庭科でネットワークが必修の学習内容になっていることなどが影響していると思われる。

○インターネット接続,全体で約6割に
 インターネットに接続している学校は、全体で昨年に比べ21・8ポイント上昇し57・4%になり6割弱になった。校種別では、小学校が48・7%、中学校が67・8%、高等学校が80・1%、特殊教育諸学校が59・9%で高校は8割を超えた。接続学校数は全体で8500校増え、前回の1万3945校から2万2449校になった。
 ただ、この調査には事務室だけの接続校も含まれており、教育用に使える学校の割合はもう少し低くなる。

 接続している学校のうち、ホームページを開設している学校は全体で35%で前回とほぼ同様の割合。校種別では、高校の開設率が最も高く59・5%、次いで特殊教育諸学校50・5%、小学校30・9%、中学校28・9%の順。インターネットの利用時間は校種が上がるにつれて増え、高校では月54・3時間と小学校の3倍以上になっている。また、ガイドラインのある学校は、小中高校とも40%台。電話利用可能回線数は、前回の2・8本から3・2本に増加した。
 インターネットへの接続率を都道府県別に見ると、100%を達成している県がある一方で2、3割台の県や5割以下の県もかなりあるなど格差が大きい。ベスト5は、岐阜、高知(以上、100%)、香川(97・9%)、佐賀(90・6%)、秋田(81・3%)。最も低いのは、大分(23・6%)、東京(33・1%)。政令指定都市では、仙台、川崎、神戸、福岡が100%を達成、また大阪も100%近い。

○操作できる教員66%
 ワープロや表計算、データベース、インターネットなどのソフトで基本的な操作ができる「コンピュータを操作できる教員」は、小学校が10・3ポイント増えて63・0%、中学校が7・9ポイント増えて67・2%と小中学校ともに6割台、高校は6・2ポイント増えて73・8%と7割台になり、全体でも66・1%になった。前回の上昇率とほぼおなじ割合で上がっている(前回調査時の上昇率=小学校10・7ポイント、中学校7・5ポイント、高校4・6ポイント)。
 コンピュータで指導できる教員の割合は、前回調査で小学校がはじめて中学、高校を上回ったが、今回調査でもこの傾向は続き小学校が7・8ポイント増えて36・5%になった。中学、高校はそれぞれ3・6ポイント、2・1ポイント増えたがまだ3割に満たない。
 小学校で上昇率が高いのは、全教科担当制でコンピュータを授業に利用しやすいからだろう。
 操作できる教員を教科別に見ると、中学校は技術(95・9%)、理科(82・1%)、数学(80・1%)の教員の割合が高く、高校は職業教科・科目(89・0%)、数学(84・4%)の割合が高い。


(教育家庭新聞2000年9月2日号)