補正予算でIT教育を推進

1500校に高速回線

【TOPページに戻る】


 1IT革命の推進2環境問題への対応3高齢化対応4都市基盤整備を重要4分野として10月19日に策定された「日本新生のための新発展政策」に盛り込まれた文部省の補正予算の要望額は、総額で3442億300万円。新発展政策を実現するため、今後補正予算や13年度予算を通じて事業が推進されることになるが、IT関連では、1376億5500万円が要望されている。主な内容は、16年度までに大規模改築などにともない約8000校を整備する目標を2年前倒しし2500校に校内LANを整備する、約1500校に光ファイバーなどの高速回線を整備する、公民館や図書館など約8000か所にパソコンなどIT学習環境を整備する。補正予算案は今月上旬に国会に提出される。


 
ミレニアムプロジェクト「教育の情報化」が目指す校内のどの教室からもインターネットに接続できる環境を整備するために大規模改築などにともない8119校に校内LANを16年度までに整備する事業は、平成12年度からはじめられた事業。今回の補正では、この整備を2年前倒しし14年度までに完了させるため、約2500校分の整備額105億900万円を要望した。

 また、文部科学省の13年度予算の概算要求に「日本新生特別枠」として盛り込まれていた光ファイバー等の高速回線による「次世代ITを活用した未来型教育研究開発事業」を補正予算に前倒しし規模も大幅に拡大。そして、全国1500校に高速回線を敷設し、1情報活用能力の育成2子どもの興味・関心を高める授業の実現3「自ら学ぶ力」の育成や個に応じた教育の実現4学校と地域との連携や開かれた学校の実現、といった研究を3年間にわたり推進する。文部省の要望額は201億8400万円。なお、この事業は、郵政省との連携事業で、郵政省側でも128億9900万円要望している。
 補正予算成立後教育委員会から希望を取り、モデル校を選定し、年内にはモデル校を決定したい考え。事業費には、回線費用のほか、サーバー、グループウェアソフトの費用なども含まれる。

 さらに、行政庁舎や駅、商店街などを超高速ネットワークで結ぶ地域イントラネットを整備し、約1000校を地域イントラネットに接続するとともに、約8000か所の公民館、図書館等にパソコンを整備する。この事業−文部省分の「公民館、図書館等の社会教育施設のIT学習環境の整備」として189億4900万円を要望。

 これにより、光ファイバーなどの高速回線でインターネットに接続できる学校は、過去の補正予算で立ち上がった先進的教育用ネットワークモデル地域事業の1076校(13年度まで研究)、マルチメディア学校間連携推進事業の600校(14年度まで研究)と合わせ、約4200校になる。高速回線のメリットは、40台の同時アクセスができる、動画などのコンテンツも扱いやすい、などで活用の幅が広がる。

 また、13年度の文部科学省予算と関連し同予算で最速10ギガビットで大学間を結ぶ「スーパーSINET(サイネット)」をWDMという伝送技術で構築するとともに、今回の補正で大学内の学内LANの高度化のための整備に330億円を要望。
 一方、人材支援として、学校のIT教育を推進するため、企業などで働いているIT技術者を特別非常勤講師として活用するIT特別非常勤講師配置事業を実施する。59県市を対象に各17人、計約1000人の任用費の3分の1を補助する。補正予算では、来年1月から3月までの3か月分の費用として、「日本新生特別枠」としての13年度要望額から1200万円を前倒し要望している。
 また、私立高校などを対象に情報通信ネットワークへの接続環境やマルチメディア機器の購入費の2分の1を補助する「私立高校等マルチメディア教育環境整備モデル事業」に26億円を要望。対象は200校程度。

 
(教育家庭新聞2000年11月4日号)