新学習指導要領案が公表

情報教育を重視し教科領域を串刺し

 

教科ごとにコンピュータやネットワークの活用を求める

小、中学校で2002年度から、幼稚園で2000年度から実施される新学習指導要領案が公表された。生きる力、自ら学び考える力の育成などを基調に、小学校3年以上で教科横断的な「総合的な学習の時間」を新設、小、中学校の年間授業時数を現行より70単位時間削減し同時に教育内容を約3割削減するなどが大きな特色。情報教育については、小、中学校とも各教科領域ごとにコンピュータや情報通信ネットワークの活用を記述し、まさに各教科領域を串刺しにするような形での実践を求めている。文部省は今後、各方面の意見を聞いた上で12月中に新学習指導要領を告示。その後小、中学校は2000年度から移行措置に入り、総合的な学習の時間や中学校におけるクラブ活動の廃止が先取り実施される見込みだ。なお、高校の新学習指導要領案は2月に公表され、3月に告示される予定。

新学習指導要領案では、現行要領に比べ、随所にコンピュータやネットワークの活用についての記述がみられる。特に現行の小学校要領では、指導書でコンピュータに触れ慣れ親しませるとだけ書かれてあったのに比べると、隔世の感がある。
公表された新学習指導要領案について、情報教育についての記述を見てみる。小、中学校とも第1章総則の第5(中学校は第6)「指導計画の作成等に当たって配慮すべき事項」の中で、「各教科の等の指導に当たっては、児童がコンピュータや情報通信ネットワークなどの情報手段に慣れ親しみ、適切に活用する学習活動が充実するとともに、視聴覚教材や教育機器などの教材・教具の適切な活用を図ること」(中学校については下記参照)などと明記。
各教科についても、例えば、小学校第2節社会の第3「指導計画の作成と各学年にわたる内容の取扱い」で「学校図書館や公共図書館、コンピュータなどを活用して、資料の収集・活用・整理などを行うこと」、第3節算数で「コンピュータなどを有効に活用し、数量や図形についての感覚を豊かにしたり、表やグラフを用いて表現する力を高めたりするよう留意すること」など、中学校では社会、数学、理科、音楽、美術、保健体育、外国語の「指導計画の作成と内容の取扱い」の中で、「各分野の指導に当たっては、観察、実験の過程での情報の検索、実験、データの処理、実験の計測などにおいて、コンピュータや情報通信ネットワークなどを積極的に活用するよう配慮するものとする」(理科)などとコンピュータと情報通信ネットワークの活用を求めている。
また、総合的な学習の時間では、小、中学校とも「国際理解、情報、環境、福祉・健康」などを課題として例示。
また、新学習指導要領により技術・家庭科の「技術分野」の中で必修となる「情報とコンピュータ」の内容は、高校で選択必修教科として新設される「情報」(A、B、C)とのつながりが意図されているようで、文部省の情報教育についての専門家会議があげた3つの育成すべき能力「情報社会に参加する態度」、「情報についての科学的な理解」、「情報活用の実践力」についての基礎的な知識・技術を学ぶ内容となっている。

(教育家庭新聞98年12月5日号)