子ども放送局がスタート

衛星放送で番組を全国約630の図書館などに

心の教育や情操の陶冶に、情報通信はいかに関わることができるのかーー今年度の文部省補正予算に盛り込まれた衛星通信利用による「子ども放送局」事業がいよいよスタート、2月27日国立オリンピック青少年総合センターに韓国、中国、オーストラリア、スウェーデン、イギリス、日本などの親子が集まり、各国の子ども観、親観などについて語り合い、その模様が全国の衛星の受信設備を持つ合計約630の図書館、公民館、学校(学校開放に積極的に取り組んでいる学校)に配信された。

「子ども放送局」事業は、衛星通信を利用した教育情報通信ネットワークを全国の図書館、公民館、学校などに整備し、学校が休業となる土曜日に、1ヒーロー、ヒロインが直接語りかけ「心の教育」に資する2国内外の一流科学者が科学を通じて夢と希望を伝える3一流の技術を持つ職人などが、ものを造る喜びや苦労を伝える、などの番組を放送するのが目的。
 また行く行くは子どもたちの声を反映した企画、子どもたちがプログラムの司会進行・インタビューなどをする番組の企画も構想されている。

 現在、衛星の受信設備を持つ公共施設は約630か所だが、文部省によると年度内には1100か所に、2003年度には5000か所に整備する予定という。

 2月27日の第1回子ども放送局は、日本PTA全国協議会50周年記念事業として「子ども国際サミット」のテーマで国立オリンピック記念青少年総合センターを会場に行われた。
 韓国の父親は、「日本にきて15年。上の子はソウルの大学に行っている。家族への思いを語れと言われびっくりしたが、忙しく仕事をしてきて、家族のことをあまり見ていなかったことに今日気づいた。
 私が子どものころは貧しい時代で、家族は一緒に生きていた。私は、子どもには親の言うことを聞け、学校では先生の言うことを頭を下げて聞け、と話している」。
 その子どもで友達とサッカーや野球をするのが好き、という少年は「僕は子どものしつけのできる父親になりたい」と話していた。

 東京中野区に住んでいるというスイス人の母親は、「私はいろいろな国に家族と住んだが、やはり家族が一番大切だと思う。そして、両親の仲の良さは、子どもに伝わる。ちょっと親が悩んでいるときは、子どももいろんな方向に向いていく。
 また、中学生になると子どもが部活で忙しく、一緒にどこかに行く暇がない。行くなら1、2週間まとめて行きたい」と。
 その娘さんは、司会者のテリー・スーザンさんの「もし、30分時間があったら何をしますか」という質問に答えて、「私もゆっくりと家族と遊びたい。私は、バスケが好き。広い遊び場所は、学校の校庭ぐらいしかないので、学校でお父さんとバスケをしたい」などと話していた。

 ほとんどの人が日本に長く住み、日本語でスピーチ。各国の文化や子育て観の違い、などが語られ、子育てや自立の参考になったようだ。
 次回は3月13日サッカー選手のラモス氏らをパネラーに「私のチャレンジ」をテーマに。9月以降は毎月第2、第4土曜日に、セミナーなどが全国に放送される。

(教育家庭新聞99年3月6日号)