延べ1076校がモデル校に

先進的教育用ネットワークモデル地域事業

 

文部省と郵政省共同の「先進的教育用ネットワークモデル地域事業」の30地域の実践校(モデル校)が決定した。左表の通り、学校数は合計1076。校種別では小学校が437校、中学校466校、高校147校、特殊教育諸学校26校。国・公・私立別では、公立1047校、私立17校、国立12校となった。

 学校の中には、今年度で終了する新100校プロジェクトの参加校だったつくば市立桜南小学校や大津市立平野小学校、前橋市立第四中学校、山口大学教育学部附属光中学校、私立盛岡白百合学園中学・高等学校なども加わり、平成14年度まで専用線を利用して、学習活動や教材情報交換のあり方などを研究する。

 設備
 各地域ごとにネットワークの拠点となるネットワークセンターが置かれ(下表参照)、そこにはWWWサーバーやメールサーバー、セキュリティサーバー、VODサーバーなどの各種サーバーやルーターなどの回線接続機器、また学校にはDSUやモデムなどの回線接続機器やデジタルカメラやスキャナー、プロジェクタなどの周辺機器が設置される予定だ。
 また、三鷹に中央ネットワークセンターが置かれ、各地域共通の教育・教材情報の蓄積や情報交換の場の提供などの機能を担う。

 学校とネットワークセンターは、学校の実情に応じて5種類の高速の専用線で結ばれる(光ファイバー、ADSL、WLL=無線、CATV、衛星通信)、中央ネットワークセンターや各地域のネットワークセンターに蓄積されるデジタル動画像も他地域から利用できるようになるようだ。しかし、全体に光ファイバーの利用できる学校は極端に少ないようだ。

 ネットワークに関わる機器の入札は、通信・放送機構が一括して行い、官報公示、入札、メーカー決定を経て、8月20日までに機器類が現地に導入されることになっている。

各地域で

新潟県上越市教育委員会
 上越市を含む第10エリアは、合計32校(小学校10校、中学校19校、高校3校)が研究校になる。上越教育ネットワーク研究会にネットワークセンターが置かれ、研究拠点地域となる上越市を中心とした18校がCATV回線で接続され、残りの学校は衛星で結ばれる。

 上越市では、既に市内全39の小中学校をダイアルアップのISDN回線で結んでいた。このうち、15校が研究校となり専用線のCATV回線で結ばれるため、市内の学校はしばらく2系統の接続方法になる。
 「ネットワークセンターの設備は内容的にかなり充実したものになるようだ。研究校では、動画のデジタルコンテンツを活用できる可能性もあり、ビデオオンデマンド用のサーバーをセンターに置き、動画の教材をセンターに蓄積して、各学校で活用できるようになればと期待を高めている。
 この事業が引き金になって、確実に地域のネットワークの状況が良くなっていくのではないだろうか」と上越市教育委員会の担当者。

 ただ、衛星の活用には、少し課題があるようだ。衛星の下りは無料だが、上りは各自治体の負担になる。学校教育では、ホームページを閲覧するだけでなく、情報を発信し互いに交流し合うことも重要な教育の課題。この点がどう推移していくのか、注目される。
 
大阪府松原市教育委員会
 松原市を含む第19エリアでは、松原市立布忍小学校内にネットワークセンターが置かれ、合計38校が研究校となる。このうち、松原市の小中学校13校はWLL(無線)で、八尾市の小中学校8校はADSLで、吹田市の小中学校2校、和歌山県橋本市の小中学校、和歌山県立高校など計17校は衛星で接続される。

 「せっかく高速の専用線によりネットワークに接続されるのだから、今後の総合学習につながるような地域学習を展開していきたい。また教材情報のデータベースも作り上げたい」と研究拠点地域となる松原市教育委員会の担当者。

 松原市では、市内の小中学校22校の全校のインターネット接続を平成11年度で完了する予定で進めていた。その接続の方法も、ルーターを使って複数台がインターネットに同時接続できる形式のもの。また、校内LANの整備も進展し、中学校では1校当たり42台(うち17台はノートパソコン)の整備が完了し、コンピュータ教室と職員室プラス7つの特別教室(図書室、保健室、理科室など各学校の希望する場所)をLANで接続している。さらに、先生が自ら校内LAN化に取り組めるように、1校当たり200メートルのLANコード、コネクタ、工具を用意。その結果2校で、プリンターを共有するため、2校で職員室内のLANを先生たちで整備したという。
 「最大のネックは、回線料であり、こうした事業には今後も積極的に手を上げていきたい」
 
岐阜市教育委員会
 岐阜市を含む第14エリアは、合計50校が研究校になる(小学校17校、中学校20校、高校12校、特殊1校)。岐阜市教育文化センター(仮称)にネットワークセンターが置かれ、岐阜市を中心とした学校がADSL回線と光ファイバーで、他は衛星で結ばれる。

 「これを機会に情報教育を根づかせていきたい。特に教員の情報リテラシーを高めるのを最優先に考えたい。また全国、世界と視野を大きく広げるチャンス。さまざまなものを前向きに捉えていきたい」
と研究拠点地域となる岐阜市の担当者。

(教育家庭新聞99年3月6日号)