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第7回教員研修支援プロジェクト
関東・中京・関西で研修を実施



提示・発表用機器研修に人気

 教育家庭新聞社は今夏もITに関わる研修をサポートした。教員研修支援プロジェクトとして教育委員会が主催する研修に講師やカリキュラムを提供してサポートしているもので、今年で7回目。今回は昨年のスクールニューディール(補正予算)で大量に機器が導入されたため、「提示・発表用機器活用コース」に人気が集まり、関東、中京、関西の3ブロック4箇所で実施した。主催は各地区教育委員会。協賛 アバーメディア・インフォメーション株式会社。

ニーズ高い書画カメラ 操作体験 アイデア共有

 東京都豊島区、国立市、三重県津市、奈良県で行われた「提示・発表用機器活用コース」の講師を務めたのは、アバーメディア・インフォメーションの安岡久恵氏、吉木孝光氏。両氏はまず、デジタルテレビ、PC、書画カメラなど、教室でのICT機器の接続例やデジタル教材などについて説明した。
 ICTを授業に利用することは、習得型活用のメリット、探求型活用のメリットがある。「習得型活用」とは、(1)集中力が持続する、(2)関心が高まる、(3)指示が伝わりやすくなる、「探求型活用」とは、情報の収集、整理などだ。
研修
▲ グループ別に熱心に書画カメラを操作

 多くの自治体で書画カメラの導入が進み、その効果が伝えられているが、両氏は、書画カメラのメリットとして、(1)身の周りにあるものを教材として活かせる、(2)従来からの授業の流れを変えずに活用できる、(3)指導を明確化・効率化できる、(4)拡大により教材などが大きくなるので、実物を見る以上にわかりやすい、(5)子どもたちが楽しく発表できる、(6)操作、接続が簡単、といった利点を挙げた。
 同社の書画カメラ「AV‐355AF」は軽量ながら500万画素の高画質、最大80倍の高倍率、USBメモリー・内臓メモリー・SDカードに対応、瞬時にピントが合うオートフォーカス機能を備え、拡大・縮小、静止画や動画の撮影・再生、分割表示なども本体やリモコンのボタンで簡単にできる。
 研修参加者はグループに分かれ書画カメラの操作を体験。教科書や新聞を書画カメラの下に置き、50インチの大型デジタルテレビなどに投影した。画像をワンタッチ録画で撮影する、研修の様子を動画で撮影・保存する、カメラのアームや向きを任意の角度に動かしてみるなど、参加者らは熱心に操作した。
 質問も具体的で、「教科書やノート画面を右画面に、メモリーに内蔵した昆虫などの画像を左画面に2分割して投影することはできますか」など授業に使うことを想定した質問内容であった。
意見交換も熱心
 体験後、研修に参加した小中高等学校の教諭は、書画カメラの活用アイデアをグループに分かれて意見交換し、それぞれ発表した。
 小学校の教員は、「水彩絵の具の混色の指導を一人ひとりするのは難しいが、実際に一緒に映像を見せながら混ぜていく過程を見せることができる」、「小学校では方眼黒板をよく使うが、重たい黒板を持ち運びしなくても、方眼紙を映して使ったり、方眼紙をデータとして取り込んで使うことができる」などと発表。
 中学校の教員からは、「技術科でハンダ付けの仕方を教える際は、生徒を前に集めていた。書画カメラで投影すれば後ろの生徒も作業内容を見せることができる」、「図形の面積を求める際、画用紙に書いて黒板に貼っていたが、書画カメラで拡大して映せば簡単に説明できる」、英語科の教員は、「生徒のグループワークの発展的な学習で使ってみたい。チェーンストーリーでグループにそれぞれテーマを与え、最後にそれを絵に表し、生徒それぞれが自分で描いた絵を見せながら、『show&tell』で発表させたい」と、「わかる」授業の改善アイデアが豊富に出た。

【2010年09月04日号】


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