【外国語活動】会話の楽しさ感じて 文科省 直山木綿子氏 講演

 小学校での外国語(英語)活動が必修化となり、その指導法が模索される中、英語活動の指導法や国際理解教育についての研修を続ける東京都小学校英語活動研究会(大庭裕会長)は、6月18日、新宿区立西新宿小学校で平成24年度総会・第1回研修会を開催した。講師として、文部科学省初等中等教育局教育課程課・国際教育課 教科調査官の直山木綿子氏を迎え、「外国語活動の授業の在り方を考える〜"Hi,friends!!"の解説を通して〜」と題した講演が行われた。

外国語活動

小学校向外国語教材「Hi,friends」
は小中の接続を意識して作成した

  「Hi,friends!」は、英語ノートに代わる新たな外国語活動教材として、今年度から小学校に配布、活用されている。その制作にあたった直山氏が、制作意図や活用のコツを語った。

  小学校で2年間の外国語活動を体験する児童に、言葉で会話することの楽しさや大切さを感じてもらおうと、コミュニケーションの第一歩となるあいさつから「Hi,friends!」というタイトルが付けられた。

  「Hi,friends!」2のラストでは、成長した登場人物が、獣医やサッカー選手になり、海外で活躍する姿が描かれている。「外国語を使って何をしたいか、子どもたちに問う場面を最後の単元に設け、そこで外国語でやりたいことを子どもたちに書かせ、自分の夢を記した「Hi,friends!」を持たせて、中学校に送り出してほしい」と語る。

  全ての単元において「Play」「Listen」「Chant」「Activity」の4つが設定されており、それぞれの活動には、外国語への慣れ親しみや、言語や文化に関する気づきといったねらいがある。各単元の学習指導案については文科省のホームページで紹介されており、指導編とあわせて活用すれば授業の幅が広がる。英語ノートは学習指導案が細かすぎるという意見から、「Hi,friends!」の学習指導案はホームページに載せることにした。

「小・中連携」を意識した内容に

  小学校と中学校との連携が取れていなければ、小学校時代の外国語活動が活かされない。そこで中学校の先生には小学校の外国語活動を理解、活かした指導が求められている。そこで「Hi,friends!」では、中学校の外国語科へのつながりを意識して作った。

  例えば「Lesson6」のアルファベット学習は、小学校ではアルファベット探しの体験で終わるが、中学校では同じ教材で発音と綴りを学ぶこともできる。中学校でも「Hi,friends!」を使うことで、小学校での楽しかった体験を思い出し、自分の成長に気づてほしいという考えからだ。

  実際に中学校の先生に行ったアンケートでは、小学校で外国語活動を体験したことで、外国語を身につけて何をしたいか目的を持って入学してくる生徒が増えたという。

  なお、「Hi,friends!」のデジタル教材で画像と音声が合わないという声が寄せられており、その解決策として、全ての単元にある「ロールプレイングスキット」を一度作動させると改善されることが紹介された。

【2012年7月2日号】

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