”著作権処理”を学校で実践する―東京都北区立王子第一小・野間俊彦副校長

著作権教育 日本教育工学協会(JAET)は7月14日、教育の情報化実践セミナーin横浜を横浜国立大学で実施、教育関係者らが参集した。JAETは全国各地で年3回「情報教育」をテーマにセミナーを実施している。当日は、著作権法が改正されたことをきっかけに、各校から著作権教育の実践例が発表された。

著作権教育実践事例

 JAET・堀田龍也会長(玉川大学教職大学院教授)は、「新学習指導要領では、各教科で『情報活用能力』の育成が求められている。これからの子どもたちには、情報化の影を見越しつつICTを活用した様々な学習活動を体験させていくことを重要視しなければならない。様々な情報を活用していく学習活動において、著作権教育を改めて進めていく必要がある」と述べた。

東京都北区立王子第一小・野間俊彦副校長

著作権教育 野間氏は著作権教育について、必要性を感じている教員が多いにも関わらず進んでいない理由として、中学校技術科や高校の情報科でやることであると考えられがちな点、自分が受けていない授業のためどのように授業をすれば良いかイメージがわきにくく、かつ教科書や指導書がない点を挙げる。

  では各校でどのように進めれば良いのか。野間氏は「リーダーが見本を見せながら、とにかくやってみせることが大事」と言う。

  学校では、合唱祭や音楽祭など発表会のCD作成や発表資料の作成の際の引用、校歌のWeb掲載など、著作権に関わる様々な問題が起こる。その際に1つひとつ問題を指摘、積極的に著作権処理をするという「見本」をリーダーが見せることが最初の一歩だ。前任校で、合唱祭の音楽に使用された5曲のCDを60枚作成した際、JASRACに申請したところ、著作権料は数千円であったという。著作権を申請すると、JASRACから許諾シールが枚数分送付される。そのシールをきっかけに著作権教育を行うこともできる。

  著作権者には権利があるということを実感させるためにも、児童作品を大切に扱うこともポイントだ。これは、クリエーターの立場を気づかせることにつながる。

  発表活動でWeb資料を活用するシーンは多いが、出展の明記にとどまらず、許諾をもらう活動を生徒に体験させることの配慮も重要だ。

  野間氏は「『法律だから行う』のではなく、道徳の副読本を利用し、情報モラル指導の一環として、人権教育として捉えること。メールなどが相手に与える影響について考えること、ネット上でのコミュニケーションのすれ違い、ネット上の法やきまりを守れずに引き起こされた事例など、道徳的な心や判断力を養うことを目的に据えること。常に著作権教育について教員が意識しておくことで、関連する活動の際に5分間でも行うこと。その5分間の教育効果は大きい」と述べる。

  良い著作権学習のモデル例は良い意味でパターン化しているという。

  「制作活動の中で、著作権処理の必要感を子どもに持たせる仕掛けがあり、実際に子どもが著作権者に許諾を得る活動を行い、制作したものを公表する」と言う流れだ。

  著作権教育に関しては外部講師を招へいする学校も多いが、「その際は教員も一緒に講演を聞くことも大事」と付け加えた。

  著作権教育の実践事例を著作権情報センター(CRIC)は現在著作権教育に関わる事例を募集中で、「事例がまだまだ少ない今が応募のチャンス」と紹介した。締切は11月30日。

 

【2012年8月6日】

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