通知表作成平均402分短縮 保守はマルチベンダー方式で―西宮市教育委員会

 西宮市は今年度より校務支援システムを全面稼働、全中学校に指導者用デジタル教科書を整備した。平成24年度の情報化関連予算額は2億5千万円程度で事業を実施している。

整備効果は明らか

西宮市教育委員会
星川雅俊氏

  西宮市は平成20年に中核市に移行、約50万人規模の自治体だ。平成24年5月1日現在、全84学校園、教職員約2500人が所属。校務用PCは約2500台、教育用PC(移動用、教師用、PC教室用、図書システム用、テレビ用、電子黒板用)は約4600台、地デジ対応テレビ約1000台、電子黒板62台、実物投影機660台、プロジェクター60台を整備しており、教育の情報化実態調査(平成23年度)によると、教育用PC、校内LAN整備率、教員の校務用PC配備率はいずれも国平均以上を達成している。

  ネットワーク・サーバ関係保守については、サーバの障害時に復旧できるよう、全63校と庁内すべてのサーバのバックアップを毎日取得できるように整備。学校独自で導入したネットワークは撤去した。なお児童・生徒数の増加に伴い、教室増対策としてLANを追加整備している。

システムや機器保守は マルチベンダー方式で

  本庁は全国に先駆けて電子自治体化。教育委員会もその流れに追随し、教育委員会事務局及び市内学校間のネットワークインフラを構築した。

  校内では、校務用ネットワークと教育用ネットワークに分けて整備し、それぞれにサーバ群を設置。校務用ネットワークは、個人情報を含むもの(個人情報系)、教材等個人情報を含まないもの(インターネット系)に分けた。自宅での仕事は、個人情報系においてはセキュリティ機能付きUSBメモリの持ち帰りを管理職への届け出のもと許可している。

  これら機器やシステムの保守については、マルチベンダー保守を平成22年度より採用した。

  星川氏は「マルチベンダーによる保守はとても有効。契約額の削減やサーバ、ネットワークを含むトータルな保守実現などのメリットがある」と話す。マルチベンダー方式とは、1業者が複数メーカーの機器等をまとめて複数年保守対応する方式だ。SEが1名常駐し、ネットワークや教育用コンピュータ、学校、本庁サーバ障害に対応。サーバ、ネットワークを常時監視している。

小中学校のモデル校に「学びの指導員」配置

  校務支援サポートデスクは平成21年度より設置、2名常駐で電話相談により機器操作方法や校務支援システムのトラブルなどに対応。サポートデスクにはSEが常駐しており、PC等のメンテナンスはサポートデスクから遠隔操作で実施。複数個所での障害発生時も、複数のエンジニアによる同時対応が可能だ。

  小・中学校にはICTサポーター(情報化推進モデル校3校に各1名配置。300〜450時間/校・年)及び「学びの指導員」(1校当たり166時間/年)を配置し、ICT関係の授業や放課後学習をサポート。

  校務支援システムはグループウェア、出席簿、学校日誌、児童生徒名簿、通知表、指導要録、成績処理システム、進路指導システム、運動能力測定支援システム、学校保健管理(視力や歯科検診システム含)、研修申込・履歴システム、長期欠席者報告システムなど、あらゆるデータを連携。なお特別支援学校は保健システムのみ運用している。

通知表作成時間が短縮

  全小学校を対象に校務支援システム導入前後におけるアンケートを実施したところ、通知表作成は平均402分(6時間42分)、指導要録作成は平均328分(5時間28分)短縮。通知表システムと指導要録(指導)システムを連携させた学校のほうが平均142分(2時間22分)短縮した。教員からは「慣れるまでには少し時間が必要かもしれないが、成績処理システムから通知表へ、そして指導要録へと後になるほど処理時間が短くなり、本当に仕事が楽になるのがよくわかった」という感想が聞かれている。なお、システムを利用する上での成績原簿から帳票完成までの点検の在り方については、今後の課題と話す。

教員のICT活用能力 各項目が大幅に上昇

  これらの整備による効果は様々な調査結果にも表れている。

  文部科学省「教育の情報化実態調査」によると、教材研究・指導の準備・評価などにICTを活用する能力は、19年度48・8%から23年度には80・7%に上昇。授業中にICTを活用して指導する能力も同様に、28・8%から75・1%に、校務にICTを活用する能力も40・9%から84・6%に上昇しており、いずれも国平均を上回る値となっている。

  西宮市では平成26年度末から平成27年度以降に配備機器の大規模入れ替えを控えており、中学校のさらなるICT環境整備や小学校におけるデジタル教科書の整備、サーバ仮想化、クラウド化、タブレット等の導入について検討する考えだ。

【2012年11月5日】

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