TV会議で3校同時に交流―リコー

【EDIXブース番号 2-1:教育用ハードウェアゾーン】

 オーストラリア・ニューサウスウェールズ州では全教室にTV会議システムが導入されており、学習の際の重要なツールとなっている。日本においてもTV会議利用が広がりつつある。荒川区立第二日暮里小学校(水井雅史校長・東京都)と同・尾久宮前小学校(伊藤英夫校長)は昨年度、鮭川村立鮭川小学校(須藤信一校長・山形県)と交流授業「鮭の里親事業」を行った。活用したのは、TV会議システム「リコー ユニファイドコミュニケーションシステム」。

 荒川区と鮭川村は2003年から交流を行っており、昨年度は鮭川小学校から贈られた鮭の卵を、荒川区立第二日暮里小学校と同・尾久宮前小学校でふ化させ、育てた鮭の稚魚を鮭川村で放流するという交流授業を行った。

  卵はふ化直前の12月に贈られたもの。その後3か月間、荒川区の2校で飼育観察を行い、2月には3校でTV会議で交流授業を行った。その取り組みと成果を各校の校長に聞いた。鮭川小学校では「遠方の児童の考え方に触れるなどの交流が意義深い。またふるさとに誇りを持ち、大切に思う気持ちが育つことを期待する」と話す。

TV会議 TV会議

5台のカメラで交流授業

水槽の稚魚もはっきり映る

 

少人数学級の児童をつなぐ―第二日暮里小学校 水井雅史校長

水井雅史校長 第二日暮里小学校は昨年度の新入生が9名という少人数であったことをきっかけにTV会議システムを導入して、同様に新入生9名の区内小学校と交流を行った。既にTV会議を活用していたことで鮭川小学校との交流授業「鮭の里親事業」にもスムーズに取り組むことができたという。

  TV会議では、3校それぞれの水槽の様子を紹介し合った。水槽の稚魚の様子も鮮明に観察でき、鮭川小学校よりも荒川区の稚魚の方が大きいことにもすぐに気づくことができるなど、様々な発見があったという。

■自然とルールができあがる

  水井校長は、「授業でTV会議システムを使っているうちに、担任の指導を待たずに自然と会議のルールができあがったのには驚いた」と話す。

  当初は1人ひとりカメラの近くまで近づいて発言をしていたが、音響の性能が良く、カメラから離れていても児童の発言がはっきりと聞こえることから、各自の席で発言するようになり、より効率的に交流を深めることができるようになった。さらに画質も良く、児童1人ひとりの表情もわかり、自然な雰囲気で対話ができたようだ。

  「ボタンを3回押すだけで交流先と簡単につながることができ、かつ綺麗な映像でスムーズに交流できることから、いつでも気軽に活用できる。これをきっかけにして、日常の活動へとつなげれば、継続して交流ができる。今後は休み時間の交流なども計画したい」と話す。

 

日頃の活動が交流で生きる―尾久宮前小学校 伊藤英夫校長

伊藤英夫校長 尾久宮前小学校は荒川区で唯一のユネスコスクール加盟校で、人と社会と自然とのつながりをテーマに、調べたことを人に伝える活動を重視している。鮭川小学校との交流は、同校の日頃の活動が生きる活動となった。鮭の稚魚の世話をしていた5年生は2月27日のTV会議を心待ちにしており、当日は積極的に調べたことを伝える様子が見られた。TV会議を通して映る鮭川小学校の水槽の横にスキーの板を見つけた児童が早速質問をすると、東京では春めいた日もある時期、鮭川村ではまだ雪が積もっていることやスキーの授業の様子など話が広がった。

■鮮明な画面が 発見につながる

  画面の全てが新鮮な刺激や発見につながるのは、高品質なTV会議ならではだ。伊藤校長は「交流授業で、児童は伝えることの楽しさ、伝えてもらうことの素晴らしさを改めて実感した。感動は『玉手箱』。多くの玉手箱を他の人に手渡していくことは、学びを高め、広げていく」と話す。

■教員間でも 活用が広がる

  高品質ながら手軽に使えることから、TV会議の活用場面は教職員にも広がっている。研修も、一か所に集まらなくても実施できる。研究授業を撮影し、各校でその映像を見て意見交換を行うという研修スタイルは、実際の授業後に意見交換を行う以上に効率的かつ密度の濃い研修になる。

  互いに多忙で時間を合わせることが難しい教育委員会と学校との打ち合わせもちょっとした時間に設定できる。

  PCやタブレット端末とも連携できるなど、活用アイデアはさらに広がりそうだ。

 

いつでも、どこでも、誰でも、誰とでもつながるTV会議を
―リコー グローバルマーケティング本部 TVMC 第三PM室 飯村浩司室長

■“高品質”“手軽さ”で密度の濃い交流を実現する

 3校が交流で活用したのは、リコーのTV会議システム「リコーユニファイドコミュニケーションシステム」だ。「いつでも、どこでも、誰でも、誰とでも」をコンセプトに、据え置き型TV会議システムの高品質性を維持し低価格で提供できるサービスを実現した。

  ポータブルな専用端末「P3000」はA4サイズで重量1・6キロ以下と持ち運びしやすい大きさだ。またUSB接続で、PC画面に映した資料を接続先と共有することもできる。

  インターネットを利用して接続し、ネットワークの状況に合わせて最適な解像度やフレームレートに自動で調整する最新技術を採用している。そのため、TV会議の途中で映像が途切れにくく、スムーズかつストレスなくコミュニケーションができる。また、端末毎に認証してから相手と接続することと、映像や音声データを暗号化することによりセキュリティも確保される。
リコーでは「教育活動でTV会議を活かすためには、誰でも手軽に使えること、安定して接続でき、交流先の様子も鮮明に見えることが必要。他校との交流授業、ネイティブ講師と英語での遠隔授業と様々なシーンで日本の子どもたちが世界中とつながるお手伝いができれば」と考えている。

【2013年5月6日】

***注目ブース・ソリューション紹介***

関連記事

【教育の情報化にむけて】EDIXから見る教室環境(120604)

ペーパーレス会議システムとiPadで協同学習―リコー (120507)