教育委員会対象セミナー福岡 ICT機器の整備計画/校務の情報化

電子黒板を小中学校全普通・特別教室に整備―佐賀市教育委員会 松島正和指導主事

FS校、絆P校の実践を踏まえて
確実に相手を意識した表現力や工夫、意識が身に付いている

 電子黒板事例研究実証校(鍋島小学校)、フューチャースクール推進事業の実証校(西与賀小学校)、絆プロジェクトの導入校(赤松小学校、若楠小学校)を抱える佐賀市では、現在年間40件前後の視察を受けている。小学校35校、中学校18校、児童生徒数約1万8600人を対象に、授業におけるICT活用に「本気で取り組む」決意で組織を改編、学校教育課下に機器と研修体制の整備双方に取り組む「ICT利活用教育係」を3人体制で設置した。

  現在、小学校において電子黒板は385台(学級数515・整備率74・7%)、学習者用端末はモデル校3校に865台。中学校は、電子黒板はモデル校(城西中)をメインに48台。モデル校には、佐賀県認証のICTスーパーティーチャーを配置し、研究を深めている。

  これら実証校の成果を他校に広げるため、ICTの授業活用を校内研究に位置付け、教科目標の達成につながる活用の検証を行っている。

  西与賀小学校では、授業の導入「つかむ」「見通す」段階は電子黒板や板書を中心に、「さぐる」活動においてタブレット端末と電子黒板を活用して「自力解決」「学びタイム1」(個別)「学びタイム2」(協働)、まとめる活動ではタブレット端末を中心に個別活動を行う、というデザインのもと授業を行っている。

  成果としては、協働で学ぶ活動が多くなったことから、児童が常に「相手に説明する」という意識を持つようになったことである。同じ児童の4年時と6年時のノートを比べると、確実に伝える相手を意識した表現や工夫が身に付いていることが分かる。

  タブレット端末の持ち帰りは行っていないため、端末での学習内容を教室ですぐに印刷して持ち帰り、復習に活用できるようにした。

  指導者用デジタル教科書は、教員にとって使いやすく、活用度が高いが、これに加えて佐賀市では地域教材として佐賀市副読本をデジタル教材化。これは著作権が全て佐賀市にあるため、スムーズに教材化が進んだ。

  現在議会に「佐賀市教育情報化推進計画」を提出しており、国の教育情報化ビジョンに基づき、2020年までに達成すべき事項を3つの側面、7つの基本方針、12の具体的事業を定めた。学習者用端末機や電子黒板の整備、校務の情報化の推進と校務支援システムの導入、モデル校での実証の継続などは全て「10の重点項目」に盛り込んでおり、まずは平成26年度までに全小中学校全学級に電子黒板を導入、指導者用デジタル教科書も導入する。学習者用端末については全校に1クラス分を整備。平成30年度までに中学校、その翌々年までに小学校に整備をする構想を描いている。なお計画は2年ごとに見直しをかける。

  教師のICT利活用能力向上のためには、ICT支援員の配備も重要だ。現在は市独自の委託で小学校5校につき1人を配置。校内巡回やメンテナンス、各種研修の実施や教材作成支援、事例の紹介、学校巡回時には15分程度のミニ研修会を実施している。フューチャースクールでも配置していた支援員からそのノウハウが伝わっていると感じている。

  教員のICT活用能力については、導入後3か月ごとに「導入期」「活用推進期」「活用期」「活用充実期」とし、それぞれのフェイズで達成すべき「操作スキル」「授業活用」「ノウハウの共有」について項目別にまとめた。例えば自作教材の作成やデジタルコンテンツの効果的な活用などは「活用充実期」にあたる内容になっている。

  学校のICT環境整備をきっかけに教員同士の教材研究が活発になった。今後は、ベテランの教える技術を継承しやすい仕組み作りにも取り組んでいきたい。(講師=佐賀市教育委員会・松島正和指導主事)

【教育委員会対象セミナー・福岡:2014年1月31日】

【2014年3月3日】

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