タブレット端末の教育活用

全教員にタブレット端末「指導用」として配備―堺市教育委員会

堺市教育委員会では、平成25年度及び26年度の2年間で、全小学校全教室(約2000)に教員用タブレット端末を配備した。堺市における「ICT活用」の導入効果は、「教員が指導用として、タブレット端末と大型デジタルテレビを接続して活用するスタイルである」と考えたからだ。

堺市では既に平成22年度から、全校にノートPC約2000台(1校につき21台)とデジタルテレビ約2000台(小学校=全普通教室+2台/中学校=2台+電子黒板1台)を整備。一斉授業におけるICT活用が推進できる環境としての必要条件は整っており、資料提示等に一定の効果が見られたものの、一部での活用に留まっていた。

その理由について、堺市教育センターの浦嘉太郎指導主事は、「ちょっとした不便さ」にあると分析。ノートPCによる電子黒板操作のため、操作の際には教卓上のノートPCの場所にいる必要がある。書き込んだり提示したりしているときには、児童の顔を見ることができない。教育用ノートPCは常設ではなかったことから、設置にも手間がかかった。実際に活用が始まって見ると、起動にかかる時間も、無視できない違和感があった。「ちょっとしたことであっても、不便を感じるシステムでは日常活用は進まない」と報告する。

そこで平成25年度には、特別支援学級を除くすべての普通教室(約1500教室)に1台ずつタブレット端末を整備。平成26年度には、特別支援学級と特別教室すべて(約500教室)に配備した。タブレット端末とテレビは無線接続できるように映像転送機能付きアクセスポイントを導入。教室のタブレット端末で扱う電子データすべては、校内クラウドサーバに保存できるようにした。

期待する効果は次の5点だ。

▽適切な教材提示 ▽個別指導の充実 ▽子供の考えを即時、効果的に提示 ▽子供の積極的な意見発表・授業参加 ▽画像や音声情報による集中力アップ・子供との時間の創出

研修は、夏季休業中に39回整備前研修を実施。整備後は、全学級で専門の講師による研修を行った。これらの取り組みにより、教員は、タブレット端末を持ちながら教室のどこからでもデジタルテレビに資料を提示したり、書き込んだりなどをすることができるようになった。整備完了1か月後のアンケートによると、タブレット端末等を設置した全教室・全授業のうち44%が活用されており、浦指導主事は、手応えを感じているという。

【2014年6月2日】

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