京都市立藤城小学校―第40回全日本教育工学研究協議会全国大会

公開授業

京都市立藤城小学校
デジタル教材で児童が集中、深く考えるきっかけに(1年道徳)
京都市立藤城小学校
体験活動や重要事項の整理にデジタル教材を活用した(3年学活)

京都市立藤城小学校では、「情報活用能力を基にした生きる力の育成」を研究テーマに、全学年で「情報モラル教育」と「情報活用能力」の育成に取り組んでいる。それぞれ年間指導計画を作成しており、情報モラル教育は、全学年で3単元ずつ、道徳や学級活動、社会科で取り組んでいる。

ICT環境は、タブレット端末(iPad)を20台、無線LANアクセスポイント(AP)は図書室に2台設置。持ち運び用APやネットワークプリンタ、AppleTVなどを整備している。

1年と3年の情報モラル教育の授業では、いずれもデジタル教材「あんしん・あんぜん情報モラルオンライン」(スズキ教育ソフト)などのデジタル教材を活用しながら、自分で考え、友達と話し合う活動を主眼にしていた。また、情報活用能力を育む5、6年の授業では、タブレット端末を活用しながら、話し合い活動や調べ学習を展開、聞く・書く・話す活動を重視しながらそれぞれの授業目標に迫っていた。

道徳で情報モラル教育 デジタル教材で集中

1年3組では「道徳」で、ゲームなどメディアが生活に与える影響について考えていた。

デジタル教材で「ゲームが楽しくてしかたがないタケシくん」の様子を視聴。タケシ君の気持ちの中の「天使くん」「悪魔くん」になって、それぞれの思いを考えていく。

最初は全体で考え、次に2人1組で「天使」「悪魔」それぞれの役目で話し合う。デジタル教材の視聴ですっかり「タケシくん」になったつもりの児童は、教員の質問「タケシくんはどんな気持ちでゲームしているのかな?」などの質問を真剣に考え、心の[藤について認めたうえでそれについてどう対処すべきかを学んでいた。

前に座っている児童は後ろを見て発言する、後ろに座っている児童が発表する際は、全員が後ろを見て発表者の顔に注目するといった授業規律が身に付いていた。

その後、ゲームをやり続けたタケシくんが学校でどんな様子であったかについて、デジタル教材で続きを視聴。生活の影響とそれを防ぐ方法について考えていった。

学級活動で情報モラル 学んだ内容を手紙に

3年1組では学級活動で情報モラル教育を扱った。

本時では、安全にインターネットを活用するために気をつけるべきことについて学ぶ。PC経験のある児童、ない児童を組み合わせたペアで、PC室でオンラインゲームを仮想体験した。その後、ゲーム体験を振り返って気づいたことについて話し合い、気をつけるべきことについて、デジタル教材を視聴。教員は児童とやりとりの中で重要なことを板書にまとめていく。授業のまとめでは、今日の学習でわかったことを家の人にも伝える手紙を書いた。

総合で情報活用 自尊感情を高める

京都市立藤城小学校
プレゼンを作成する前に企画書で
論点を整理(5年社会)

5年2組は「総合」で、タブレット端末(iPad)を使った発表活動を行っていた。将来の夢・目標は何か、それは具体的に何をする仕事か、かなえるためにはどうすれば良いのか、についてまとめる。児童はインターネットなどを使った調べ学習や、自分の経験、インタビューなどを基に紙上でプレゼンのシナリオを作成。教員のチェックを経てからPCである程度プレゼンを作成、さらにiPadのプレゼン作成用アプリ「Keynote」でまとめている。調べ学習を通して「仕事とは何か」についても学んでいくことが狙い。この日はその発表だ。

発表はグループごとに行われた。こんなことが好きだからキャビンアテンダントになりたい、そのためにはこんなことをする必要がある、といった内容をそれぞれの児童が発表、各グループのメンバーがアドバイスをしたり感想を述べたりしている。感想は「○○さんは笑顔が素敵なので向いていると思います」と、発表者の良さを見つけ励ます内容が中心だ。

授業の最後で全体感想を発表する際には「向いていると言われてやる気が出た、友人のアドバイスを活かしたい」、「自分でも気づかないところをほめられて頑張る気持ちがわいてきた」、「ほめてもらえて自信が持てた、夢を達成したいと思った」という発表が次々と続き、授業を通して自尊感情が芽生え、高まった様子が分かった。

社会科で情報活用 社会の事象に関心

6年2組では社会科「新しい日本、平和な社会へ」で、戦後の復興の理由をテーマにグループごとに調べ学習を行っており、この日は図書室でプレゼン発表の練習を行っていた。

事前の調べ学習では、電子辞書やインターネットを活用、グループごとにiPadを活用してプレゼンを制作、発表用の原稿を作成。プレゼンテーションを各グループで練習してから2グループごとに、教室内3箇所に分かれてプロジェクターとiPadを連携させて互いのプレゼンを見合い、感想や変更アイデアを提案、より良いプレゼン制作に挑戦する。

1945年と2009年の新宿の写真の比較、冷蔵庫の進化がわかる写真、オリンピックの開会式の様子など、提示される資料は各グループで異なり、豊富だ。アドバイスでは、絵や図表を出すタイミング、重要な箇所は指し示したほうが良い、言葉の使い方などが指摘されていた。

【2014年11月3日】

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