京都市立梅小路小学校―第40回全日本教育工学研究協議会全国大会

2種類の端末を使い分け

梅小路小学校では「ともに学び、『勇気』『元気』『やる気』のある子の育成」を研究主題とし、キャリア教育に力を入れており、すべての教育活動をとおして、社会人として必要となる基礎的・汎用的能力を育む。

京都市立梅小路小学校
2人1台で11インチのタブレットを活用して実験(5年理科)
京都市立梅小路小学校
1人1台で8インチタブレットを活用してじっくり考える(2年国語)

研究主任の田野早苗教諭によると、キャリア教育は4年前から始めており、本年度は「自ら学び、ともに高め合い最後までやり抜く子」を目標としているという。自分の力で工夫して解決していくための力を身につけるために、総合を始めとして各教科でもキャリア教育を導入。

ICT機器も各所に整備。特別教室には、複数のタブレットやPCを配置。図書室には、各テーブルにタブレットを1台設置し、メディアセンターとして活用。メディアルームでは、6人掛けのテーブルにタブレット1台設置している。

さらに、企業から支援を受け、2種類のタブレットを活用。

昨年度の取り組みでは、NTTドコモの協力で8インチと12インチのタブレットを試行し、低学年では動画撮影などの活動を、高学年ではインターネットを使った調べ学習や体育で活用した。特に6年生では通信回線付きのタブレットの特徴を活かし、課外学習で利用した。テレビ電話や地図アプリを利用してグループがどこにいるかを把握し、バスの時間を生徒自らがタブレットで調べることにより、主体的に市内巡りを行うことができたという。

今年度は、ジャストシステム社と日本マイクロソフト社の協力を得、8インチと11インチのタブレットを貸与。ソフトウェア会社からの支援が加わることによって、恊働学習用の授業支援システムを利用して活動の幅が広がっているようだ。

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公開授業は国語・理科・生活・道徳・総合が全学年で公開され、タブレット活用はそのうち2年生以上で行われた。2年目ということもあり、端末の特性を活かした利活用が見られた。多くの活動で利用されていた機能は、カメラ機能と写真の加工、それらをプレゼンテーションソフトに取り込み、考えを表現する方法だ。

5年生の理科では、「食塩・砂・ミョウバンの混ざった粉から、ミョウバンだけを取り出す」という実験で、11インチのタブレットPCを2人組で活用していた。タブレットには実験手順が用意されており、それを見ながら各グループで実験を行う。実験結果もタブレットに記入し、前方スクリーンに全グループの実験結果を投影して共有するなど、活用の方法は全国の多くの学校で行われている手法に近い。特徴的なのは学習目標で、「この学習が社会でどのように生かされているのかを意欲的に調べよう」として、1回目の実験の失敗が成功につながったという児童の意見を取り上げ、実際の科学者も同じような失敗をしながら新たな発見をしていることを思い起こさせていた。理科の授業に生き方探求教育の視点が取り入れられており、児童の興味関心を高めていた。

2年生の国語の授業では、8インチのタブレットを1人1台で使用し、1年生にわかりやすい説明をするために、撮影した写真に説明文を考えていた。1人1台あることで、個別に納得のいくまで写真を見比べ、内容を検討することができていた。低学年の手の大きさにあった小さいタブレットの特徴を生かした活用だ。

これら2つの授業から、小さいタブレットは1人1台活用の個別学習ツールとなり、大きいタブレットはグループに1台の際のディスカッションツールとなっていた。

【2014年11月3日】

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