教育委員会対象セミナー・岡山 ICT機器の整備計画/校務の情報化

3月27日、教育家庭新聞社は第23回教育委員会セミナー「ICT機器の整備計画 /校務の情報化の推進」を岡山で開催した。岡山での開催は初。当日は教育委員会や学校教員が多数参集した。講演内容の抄録を掲載する。次回の教育委員会セミナーは7月に東京で開催する。
詳細=www.kknews.co.jp/semireport

21世紀型能力を育む授業改善を段階的に 山口大学教育学部 鷹岡亮教授

山口大学教育学部 鷹岡亮教授
山口大学教育学部
鷹岡亮教授

次期学習指導要領を見据える

オックスフォード大学のマイケル・A・オズボーン氏が702の業種を調査し「あと10年で消える職業」を発表。PCに置き換わる職業がある一方で、思考・判断そして表現に関わる仕事は残っている。世界各国の教育機関は、このような社会の変化に対応するために必要なコンピテンシー(能力)を育む教育改革に取り組んでいる。

PISA(OECD諸国の学習到達度調査)では2015年から「協働型問題解決能力」の調査を追加する予定だ。PCの画面上に仮想生徒が存在し、協働して問題解決する能力を測るという。出題の背景には、上述したコンピテンシー、具体的には考え方・創造性・批判的思考力・問題解決力・判断力が鍵を握り、協働やチームワーク、ICTを使っていかに社会と関わり合うかといったことの評価の必要性だ。

日本でも、複合的な問題を重層的なコミュニティのなかで知識やアイデアを出し合いながら不完全にせよ解を導き、振り返りその解やゴールを見直していくことができる能力の必要性が指摘されている。国立教育政策研究所では、このような力を「21世紀型能力」として提唱。中核をなすのは「思考力」、支えとなるのは「基礎力」、その使い方を方向づけるのが「実践力」だ。次の学習指導要領にも反映されると考えられている。

ICT活用の必要感

「21世紀型能力」には、学びや問題解決を行う際の道具・手法を課題や目的に応じて選んでいく力(学習力)、特にICT活用力が求められる。それは教師に言われるままにICTを活用するのではなく、学習の目的や状況に応じてメタ的に判断して活用する力だ。そのような力を育むためには、ICT活用の利点を踏まえた必要感を学べる場を教員が段階的に仕組んでいくことが必要だ。まずは「教師に仕組まれたICT活用・学習」から「目的や状況に応じ必要感を感じて活用できるICT活用・学習(段階)」へ、学習者自身がICT活用の利点を踏まえながら「ICT活用のプランが作成できる段階(ICT活用のメタ的判断ができる段階)」に成長していけるような授業構想力が求められる。

タブレット型端末の「直接的操作性」「優れた携帯性・視認性」「機能間のシームレスな接続性」の特徴は、21世紀型能力を育む際に学びを深め拡げる道具、そして新しい学びを生み出せる道具でもある。

学習者自身で考えさせ、気づかせ、納得させていく学びや授業のなかに、タブレット型端末の効果的な活用を組み入れていくことが望まれる。(講師=山口大学教育学部・鷹岡亮教授)

【第23回教育委員会対象セミナー・岡山:2015年3月27日】

【2015年4月6日】

 

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