教育委員会対象セミナー・岡山 ICT機器の整備計画/校務の情報化

3月27日、教育家庭新聞社は第23回教育委員会セミナー「ICT機器の整備計画 /校務の情報化の推進」を岡山で開催した。岡山での開催は初。当日は教育委員会や学校教員が多数参集した。講演内容の抄録を掲載する。次回の教育委員会セミナーは7月に東京で開催する。
詳細=www.kknews.co.jp/semireport

授業改善にiPad 全小中学校全教員に 静岡県菊川市教育委員会 主席指導主事 石山哲也氏

静岡県菊川市教育委員会・主席指導主事・石山哲也氏
静岡県菊川市教育委員会 主席指導主事
石山哲也氏

「常設」「一斉整備」活用図る

「稼げる」力の基礎を身につける

「2011年度にアメリカの小学校に入学した子供たちの65%は、大学卒業時に今は存在しない職業に就くだろう」これは、米国デューク大学研究者、キャシー・デビッドソンさんの言葉だ。日本にそのまま置き換えることはできないが、変化の激しい時代に子供たちを送り出すという点は同じ。そこで行政という立場では「ちゃんと稼げる子」に育つための支援をしていきたいと考えている。自立した生活者として税金を納め、町作りにも貢献できる市民の育成に貢献する教育を目標としている。

だれもが日常的に

ICTの活用研究は、研究に触れた教員が次の日から実践できる内容であって欲しい。そこで菊川市がICTの活用を推進する重要なコンセプトは「だれもが日常的に」とし、気軽に日常的に活用できる環境を整備することとした。

ICT活用の大きな障壁は機器の準備。スイッチを入れたらすぐに使える=常設であることが必要だ。さらに、段階的ではなく一斉に、全体的に整備することにもこだわった。

ICT活用の入り口は「大きく写す」こと。これを日常的に実践できる環境として、5年前に教室常設の50型テレビや実物投影機を整備。その後、私物のタブレット端末(iPad)などを持ち込んで利用する先生が増えてきた。その活用が簡単で実用的だと感じ、iPad、Apple TV、無線LANアクセスポイントの整備に取り組んだ。

iPadを導入して4か月後のアンケートでは75%の教員が活用していることがわかった。他にも選択肢がある中で、想定よりも高い結果だと感じた。

3つのステップで

1つ目のステップが大きく映すことを全体的に日常化するための50型テレビや実物投影機整備。2つ目のステップは、授業で活用するアイテムとして教員用iPadの整備。3つ目のステップは、グループに1台のタブレット端末の活用。今は3つ目のステップへ進みつつある段階だ。

研究授業では、教員用のiPadを集めてグループに1台の活用法の研究を進めている。授業改善が進んでいきそうな手応えは感じているが、課題もある。今後は、効果の客観的な検証や学校間の取組格差の是正などについても取り組んでいきたい。

学校教育課のビジョン

教員用のiPad整備は、学校教育課の重点施策だ。授業改善により子供の学力を向上させることが目的。これからの学力として、21世紀型能力のような社会の変化の中で求められる力を身につけさせるためには、どういう授業改善に取り組むべきか。ICTを上手に活用しながら取り組んでいきたいという学校教育課としてのビジョンが大切だと考えている。安易にICT機器や教材コンテンツを導入した場合、教員が授業の流れを誘導して子供の思考の機会を奪い、わかったつもりに陥ることもあり得る。そういう危険性も認識した上で進めていきたい。(講師=静岡県菊川市教育委員会・主席指導主事・石山哲也氏)

【第23回教育委員会対象セミナー・岡山:2015年3月27日】

【2015年4月6日】

 

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