教育委員会対象セミナー・岡山 ICT機器の整備計画/校務の情報化

3月27日、教育家庭新聞社は第23回教育委員会セミナー「ICT機器の整備計画 /校務の情報化の推進」を岡山で開催した。岡山での開催は初。当日は教育委員会や学校教員が多数参集した。講演内容の抄録を掲載する。次回の教育委員会セミナーは7月に東京で開催する。
詳細=www.kknews.co.jp/semireport

学校業務の見直しで「余力」を生み出す 徳島県 三好市立下名小学校 中川斉史教頭

徳島県・三好市立下名小学校・中川斉史教頭
徳島県三好市立
下名小学校
中川斉史教頭

クラウド活用で校務を支援

余力を生み出す

教員は毎日とても忙しい。環境教育やキャリア教育など学校に求められる新たな教育の増加、これらに伴う研修の増加、様々な調査の増加等、積み上がるものが増え続け「時間をかけてやりたいこと」に時間をかけられないのが現状だ。学校が本来対応すべき様々なことは、「余力」がなければ難しい。

校務の情報化の目的は、学校現場に「余力」を生み出すことにある。

学校全体に余力があると、突発的な問題に学校全体で関わることができるようになる。また、児童へのきめ細やかな指導が可能とり、教材研究や研修の充実など教員自身の研鑽にもつながる。

人間が同時に集中できることはそれほど多くない。学校現場に様々なことを求めていく場合、掛け声や指示を下ろすだけでは計画倒れになりかねない。「余力を確保する手立て」をセットにして推進することが重要だ。

業務を見直す

まず、教師がすべき業務と、自動化し簡便にする業務を見直した。各学校には独自のローカルルールが存在する。法的根拠に基づいた業務か、旧来の慣例で行われていることなのかを整理し、変えるべき部分は変えていく。時には廃止していく英断も必要だ。学校独自の様式やデータを標準化することで、情報の一元化や事務作業の効率化につながり、その結果として子供に対応する時間が増える。

書類の外見や様式にこだわらないことで、その中身、例えば評価や評定に集中できる。通知表や指導要録の作成が効率化されると学期末の慌ただしさが半減する。その結果、余力を捻出することができる。

クラウドのメリット

クラウドを利用した校務支援システムには様々なメリットがある。一つは、学校や教育委員会の情報システム担当者の負担軽減だ。サーバ機器等ハードウエアの管理や更新業務から解放される。

また、一括して高度なセキュリティ対策も可能になる。学校のサーバ管理では、セキュリティ対策の設定や運用も各学校で徹底しなければならない。ログインにはIDとパスワードに加えて専用のUSB認証キーを利用している。

外字データの共通化も大きなメリットだ。三好市では、住民票システムで作成された市内共通の外字データを、校務支援システムで活用できるようにした。地震や水害、電源トラブルなどによるデータ喪失対策にもなる。
教員には「この仕組みを使う以上は、利用者側に落ち度はない」と説明し、不安感を払しょくした。教職員は必要なサービスを安定的に利用することに専念できる。

選定のポイント

クラウドによる校務支援システムの選定ポイントとして「国内設置サーバ(国内法の適用範囲)であること」「ID/パスワード以上の認証システムが提供できること」「教育専用であること」などを重視した。ISO270001(情報セキュリティマネジメントシステムの国際規格)等の取得や、教育情報化コーディネーター等の有資格者が在籍している企業であることも大切だ。(講師=徳島県・三好市立下名小学校・中川斉史教頭)

【第23回教育委員会対象セミナー・岡山:2015年3月27日】

【2015年4月6日】

 

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