科学への興味”ポケモン”きっかけに

「ポケモン研究所」】日本科学未来館で開催

10月12日までお台場の日本科学未来館で開催されている「ポケモン研究所〜キミにもできる!新たな発見〜」では、ポケモンの世界を舞台に「観察」「分類」といった科学研究のプロセスが体験できる内容で、「楽しんでいるうちに学んでいる」イベントとして展開中だ。楽しく遊んでいるうちに自然科学や新発見への興味が芽生えていく仕掛けを意識して用意。来場者の評判も良く、追加で名古屋市科学館での開催(12月23日〜来年3月6日)も決まった。

分類・整理して考察・発見

ポケモン研究所
第1研究室で"予測"
ポケモン研究所
第2研究室で"分類"
ポケモン研究所
第3研究室で"拡げる"

「ポケモン研究所」に入ると、子供たちはその瞬間からポケモンの1日研究員になる。

第1研究室は、観察眼と分析力が求められる内容だ。

モンスターボールと観察ノートが渡され、子供たちはモンスターボールの中にいるポケモンを特定する。難易度は3段階あるが、普段からポケモンに親しんでいる子供が多いようで、難易度の高いコースを選ぶ子供が多い。
ポケモンを特定するために用意されているのが12種類の観察マシンだ。これを4種類まで使える。自分が持つモンスターボールをマシンにセットすると、ボールの中にいるポケモンのヒントが表示される。表示されるヒントは足あと、シルエット、鳴き声、付着物などマシンによって異なる。

限られた条件から種類を特定することは実際の研究においても重要な要素だ。

観察マシンも無条件でヒントを与えてくれるわけではない。マシンの前で足踏みを多くすればポケモンの輪郭がクッキリと表示される、空気をたくさん送り込むと付着物から生息地が分かるなど「努力」が必要とされるものもある。

続く第2研究室では、ポケモンの分類を体験。ポケモンは現在720種類に及ぶが、それぞれ「くさ」タイプ、「いわ」タイプなどに分けられ、2つタイプを持つポケモンもいる。子供たちはマグネットになっているポケモンをタイプごとに分けてボードに貼り付けていく。

さらに生息地や色で分類してみるなど、その発想はどこまでも広がっていく。実際の生物が種目別に分けられるように、分類も科学研究には欠かせないもの。すべての生物はバラバラに存在するものではなく、一定の規則に従っている。生物に限らず、様々なものを分類整理する楽しさを子供のうちに知っておくことは大きな意味を持つ。

最後に用意された第3研究室は、実際の生き物の観察と分類を通じて得られた発見が紹介されている。第1研究室と第2研究室でポケモンを通じて観察と分類の重要さを知った子供たちに、観察や分類が現実でも活かされていることを知ってもらうことがねらいだ。

同世代の子供が発見した事例などもあり、子供の科学に対する興味・関心を呼び起こす。

ポケモンが好きな子供は生物好きという子供が多いという。ポケモンの生みの親であるゲームクリエイターの田尻智氏も、子供の頃に虫や魚を採取・観察した体験がポケモン誕生につながった。

ポケモンが誕生したのは1996年。その当時ポケモンに夢中になった世代が親となって子供と会場を訪れており、来年20周年を迎えるポケモンは世代を超えて楽しめるものとなっているようだ。

 

 

【2015年10月5日】

 

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