教育委員会対象セミナー・福岡 ICT機器の整備計画/校務の情報化

教育委員会や学校の整備担当者を対象に実施している「教育委員会対象セミナー〜ICT機器の整備と活用・研修」が、1月29日福岡で、2月16日に名古屋で開催された。次回は3月31日に岡山で開催される。
詳細=www.kknews.co.jp/semireport

豊かな学びで「恕の心」を育む 佐賀県多久市・横尾俊彦市長

佐賀県多久市横尾俊彦市長
佐賀県多久市
横尾俊彦市長

タブレットタイム
朝の10分間で学力向上

平成25年から全市的に小中一貫教育を展開している多久市では「豊かな学び」を実現し、「恕の心」を育む新たな教育の創造を目指している。市内に孔子廟・多久聖廟があることから「論語」を使用した学習が盛んで、「論語カルタ」を実施。小学生でも100の論語を暗誦できる。

9年間という小中の接続性を活かす義務教育の充実や時代が要請する新たな教育の展開、地域力を生かした学校づくりと教育実践を心がけており、知徳体の教育に加えて、トイレ磨きで心磨き・多久学・命の教育・国際化教育とともにICT教育を推進している。

ICT整備拡充へ

平成24年度に第3次ICT計画としてIT企業との連携でタブレットPCを活用した実証研究に取り組んだ実績を活かして、市では現在、独自にICT導入計画を策定中だ。

電子黒板については平成21年度に市内小中学校全教室に総台数75台を整備。支援員は市内全10校に各1名配置(当時)。

平成25、26年には文部科学省指定調査研究を実施。実証研究は多久市立小学校3校の5年生6クラス186人を対象にWindowsタブレットでデジタル版学力到達度診断(国語・算数)、デジタル版プリント教材(国語・算数)を検証した。

これを朝10分間のタブレットタイムで活用したところ、児童からは「忘れていた漢字や計算のやり方を復習できた」と、タブレットタイムに進んで参加することができた生徒が9割を超えた。

教員からは「全国統一模試などは児童の結果が手元に戻ってくるまで時間がかかる。すぐにフィードバックできるので学び直しを効果的に行える」、「朝の10分間で集中力が高まり、その後の授業でも学習姿勢が向上した」、ICT支援員からは「タブレット学習の準備や片付けについても児童が自分自身で取り組んでいる」「ネットワークの障害などはほぼない」「驚くほど学習意欲が高い」などのコメントが聞かれたという。

実証では、診断テストで各児童の苦手単元を分析した後、指導問題による個別学習を行い、再び診断テストを行って学習効果を検証した。その結果、国語、算数の両教科ともに成績下位層が減少。成績上位層が増加し、学力が底上げされた。

総合正答率は1回目の診断テストに比べて国語が67%から75%と8ポイント上昇、算数が55%から68%と13ポイント上昇した。

ICTを活用した学習のメリットとして横尾氏は「1人ひとりの学習進捗度にあった形に学習をカスタマイズできる。これまでは、学習ができる人は素早く学習し、物足りない場面があった。逆に学習ができない児童生徒はつまずき箇所で学習が停滞し、その先に進めない。このような状況をICT利活用によって打開する可能性がある」と述べる。

横尾氏は「各教科での情報活用能力の育成は確かに必要だが、今後一層の浸透が進むことを考えると、小学校・中学校でも『情報科』として学べるようにすべきではないか」と提案する。

今後の展開については、ICTの拡充を図るとともに、PC室の活性化など既存の設備の一層の活用を考えていきたいとした。【講師】多久市・横尾俊彦市長

 

【第28回教育委員会対象セミナー・福岡:2016年1月29日】

【2016年3月7日】

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