特集:特別支援教育と障害支援

大学等で進む障害支援

日本学生支援機構が調査

日本学生支援機構では大学・短期大学・高等専門学校を対象に「大学等における障害のある学生の修学支援に関する実態調査」を行っている。平成26年度調査によると、「障害学生」の増加に伴い「支援障害学生」も増加している。

「障害学生」とは、障害者手帳・健康診断などにより障害が明らかな学生と「診断書なし・配慮有」の発達障害の学生。

「支援障害学生」とは実際に教育上の支援を受けている学生だ。

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高機能自閉症 ADHDが増

1万4千人が在席

全国の大学・短期大学・高等専門学に在籍する総学生数は約319万人で平成18年以降横ばいだが、26年度は1万4127人(0・44%)と18年度から9190人(0・28ポイント)増。特に「その他」「発達障害」「病弱・虚弱」の増加が顕著だ。

「その他」の約90%は「精神疾患・精神障害」。「発達障害」では「高機能自閉症」「ADHD」の増加が目立つ。

障害学生のうち、支援を必要とする支援障害学生数は7482人で、全障害学生の53%。18年度比では5226人増。

校種別では、障害学生が在籍する大学は619校(108校増)。特に平成20年度以降「発達障害」の271校増と「その他」263校増の在籍学校数の増加が目立つ。

課程別障害学生数は、通学課程学部1万546人、通信教育課程学部1740人。学科(専攻)別変化では平成20年〜26年で「人文科学」1573人、「社会科学」1416人増。在籍率の増加率は「芸術」「教育」が高い。

短期大学(348校)在籍の障害学生数は535人(0・34%)。18年より56人増。障害学生が在籍する短期大学数は160校。20年度以降で「発達障害」46校増、「その他」39校増。

高等専門学校(57校)在籍の障害学生数は547人(0・95%)で18年度より479人(0・83ポイント)増。

障害学生が在籍する高等専門学校は54校、在籍率は94・7%で18年より19校増加。20年度以降では「発達障害」21校の増加が目立つ。

支援体制は年々充実

今回の調査対象の大学・短期大学・高等専門学校1185校で障害学生支援を担当する部署・機関を設置しているのは88・4%。うち10・1%が専門で担当する部署・機関を設置。

学内に障害学生支援に関する規定などを整備している学校は219校で全体の18・5%。19年度の97校(7・9%)からは増加。障害学生支援担当者(専任、兼任を問わない)を配置している学校は1015校(85・6%)。

25年度の障害学生の卒業後の進路は、卒業者2122人中、就職者は1061人(50%)で20年より532人増。進学者数270人(12・7%)で21年度以降は微増。その他(就職、進学、教育訓練機関、医療・福祉施設入所などではないことが明らかな者)457人(21・5%)で、20年度の175人から増加傾向だ。

 

【2016年8月1日】

 

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