特集:次期学習指導要領と教育の情報化

学校における教育の情報化の実態等に関する調査

全国市町村別にデータを公表 自治体内でも見られる整備格差

■教育用PC

教育用PC1台あたりの児童生徒数は6・2人と昨年度より微減。都道府県別では、昨年同様佐賀県がトップで2・2人/台。佐賀県内で特に整備率が高いのは、武雄市の0・8人/台。一方で県内最低値は13・7人/台などバラつきもある(下表参照)。

県別最低値は8・2人/台の埼玉県と神奈川県。ただし埼玉県毛呂山町、東秩父村、小鹿野町は2・5〜3・1人/台の整備率。また、神奈川県松田町、清川村は2・0〜3・5人/台整備されており、自治体内でも差がみられる。

タブレット型PC・端末の整備台数はこの2年で3・5倍増。現在計25万3514台が整備済。

教育用PCのOSについては、Windows7が51・4%、Windows8が30・0%。

iOSは2・6%と昨年度比で微増。特別支援学校のiOS整備率は21・5%と他校種よりかなり高い。Androidは、全体で0・6%、特別支援では0・5%で昨年度並。

■電子黒板

「電子黒板がある」学校の平均値は78・7%と微増。23自治体が8割以上の学校に整備済だ。総台数で見ると、前年度比較で1万1402台増の10万1905台。

首位は佐賀県で、同県の全市町が100%以上の学校に整備(下表参照)。

最低値は49・3%の宮崎県。ただし同県小林市、串間市、西米良村、都農町では、普通教室の電子黒板整備率が100%を超えており、県内全市町村が低いわけではない。

普通教室の電子黒板整備はどうか。

全体平均は21・9%。首位の佐賀県は126・0%。佐賀県では普通教室においても全市町で整備率100%を超えており、みやき町は222・6%である。2位の沖縄県は45・3%と5割以下で、首位との開きが大。次いで東京都、岐阜県が4割超。それ以外は3割に満たない。

文部科学省では、デジタルテレビやプロジェクター等も含め、電子黒板等、提示機器の全普通教室整備を求めている。全普通教室数は調査時点で、46万6098室。普通教室への電子黒板整備台数は総計5万959台。プロジェクターの整備台数は4万6604台、デジタルテレビの整備台数は20万9940台。なお実物投影機の整備台数は11万1720台。

■校務用PCと校務支援システム

表1
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表2
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教育用PC1台あたりの児童生徒数トップの佐賀県内でも整備状況は異なる。9月2日開催「情報教育担当者連絡会議」配布資料には速報値を基に作成した全国市町村別グラフを一部項目で掲載

教員の校務用PC整備率は平均116・2%。昨年度比で伸びが最も大きい宮城県が141・3%で最高値。徳島県、富山県も整備率の伸びが大きく昨年度に整備が進んだことがわかる。

最低値は奈良県の74・2%。なお奈良県41市町村中、27市町村が100%以上整備済。

校務支援システムは平均83・4%と前年度比増。最高値100%は、徳島県、佐賀県、大分県。31都府県が8割以上の学校に整備済だ。昨年度比で特に伸びが大きいのは、岡山県、奈良県、和歌山県。最低値は高知県の51・4%。ただし高知県の13市町村は100%。0%は8市町村ある。

このうち、昨年度から調査を開始した統合型校務支援システムの整備率平均は51・7%。クラウド型による導入は38・3%と微増。特別支援学校を除くすべての校種で、校務支援システムを整備した自治体のうち5割以上が統合型である。

■校内LANと無線LAN整備

普通教室の校内LAN整備率は87・7%。97%以上の整備率は、徳島県、長野県、佐賀県、岐阜県。最低値は青森県の61・4%。昨年度比で東京都、三重県、奈良県、高知県の伸びが大きい。

普通教室の無線LAN整備率トップは静岡県の62・3%、次いで佐賀県の58・6%。静岡県では、函南町、松崎町、御前崎市牧之原市学校組合、裾野市、御殿場市が100%整備済だが0%は5市町ある。昨年度比で福島県、三重県、兵庫県、徳島県、鹿児島県の伸びが顕著。最低は愛媛県の5・9%。ただし同県松野町は100%。

■デジタル教科書

デジタル教科書の整備状況は、平均42・8%。小学校では48・3%、中学校では47・0%が整備済。高等学校は10・2%と整備率が低い。

都道府県別にみると、佐賀県が98・7%でトップ。佐賀県ではほぼすべての市町村が100%の導入率だ。次いで石川県は77・7%、沖縄県は73・3%の学校でデジタル教科書を導入している。

整備率の最低値は北海道。ただし179市町村中、新篠津村、標津町、東川町始め10町村が100%。

教員のICT活用指導力

平成27年度中にICT活用指導力の各項目に関する研修を受講した教員の割合も調査。最も受講率が高いのが小学校で、46・3%。受講率が最も低いのは高等学校で、25・3%であった。なお中学校は、35・3%。

大項目A「教材研究・指導の準備・評価などにICTを活用できる」教員の平均値は83・2%。小学校では44都道府県、中学校では29道府県が、高等学校では36都道府県が8割を超えている。

大項目B「授業中にICTを活用して指導することができる」教員の平均値は73・5%。小学校で9割を超えたのが、佐賀県、岡山県、富山県、徳島県。中学校で8割を超えているのは、E城県、岐阜県、岡山県、徳島県、高知県、佐賀県、沖縄県。高等学校で9割を超えたのが、岩手県、岡山県、徳島県、愛媛県、佐賀県。

位は愛媛県の98・1%。上位県では、研修を受講した教員の割合が比較的高い傾向。

大項目C「児童生徒のICT活用が指導できる」教員の平均値は66・2%。小学校で8割を超えたのは、富山県、岐阜県、岡山県、愛媛県、高知県、佐賀県。中学校で8割を超える県はない。高等学校で8割を超えたのは、岩手県、岡山県、徳島県、香川県、愛媛県、福岡県、佐賀県。

大項目D「情報モラル教育の指導ができる」教員の平均値は78・9%。小学校では33道府県が8割以上、7割以下はなし。中学校は6割以下はなし、8割を超える都道府県は14。高等学校では24都道府県が8割以上。 

大項目E「校務にICTを活用できる」教員の平均値は79・4%。校務のICT活用は小学校79・9%、中学校77・4%、高等学校82・7%と比較的高い。最低値は67・7%の奈良県・小学校。

ABCD全項目で9割を超えているのは、小学校では佐賀県のみ。高等学校では岡山県と愛媛県。中学校はなし。児童生徒のICT活用指導や情報モラル教育の指導については中学校が最も遅れをとっているようだ。

 

【2016年10月3日】

 

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