「情報基礎」領域を必修に

文部省の専門家会議が提言

 

一貫した情報教育の在り方について、平成8年10月以来、審議してきた文部省の専門家会議は10月3日、小学校では「総合的な学習の時間」(仮称)の中で情報教育を実施する、中学では現行の「情報基礎」領域を必修にする、などを提言した第一次報告書「体系的な情報教育の実施に向けて」をまとめた。この内容は11月中にも公表される教育課程審議会の中間まとめに、反映されそうだ。 

小学校は、総合的な時間で

専門家会議の名称は「情報化の進展に対応した初等中等教育における情報教育の推進等に関する調査研究協力者会議」(主査=清水康敬・東京工業大学教授)。平成8年10月以来、今後の情報教育の推進方策について、幅広い観点から審議してきた。

 現行の学習指導要領では、小学校段階のコンピュータの活用については、具体的な記述がない。中学校では技術・家庭科の中で、「情報基礎」が94%の学校で選択履修されているものの、第三学年での実施が83%と学習成果が他学年に生かされにくい構図となっている。また、高校では大学入試を控え、目先の受験科目に力が入れられがちだった。

 こうした状況を踏まえ、専門家会議は、小学校では、これまでの「触れ、慣れ、親しむ」を進め、学習指導要領にコンピュータ等の活用を明確に位置づけることを提言。その場合、各教科や「総合的な学習の時間」で活用し、課題解決的な学習を図っていく、ことなどを提言。

 中学校では、「情報・基礎」領域を必修扱いにし内容を充実する。また、さらに発展的な選択領域「情報応用」(仮称)を設置する。同時に、各教科や「総合的な学習の時間」で情報機器を活用した課題解決学習を行う。

 高校では、普通教育に関する教科として教科「情報」(仮称)を設置。その中に、生徒の実態に応じ、複数の科目を用意する。ここでは、情報学の基礎的理論や情報化の人や社会に及ぼす影響を内容とする。

 こうした教科や領域により、情報教育が実現すべき目標として、@「情報活用の実践力」A「情報の科学的な理解」B「情報社会に参画する態度」、の3点を設定。

 その内容については、「情報の科学的な理解」は、発達段階を考慮しながら、情報処理、情報表現、統計的処理・表現、モデル化、シミュレーションなどを範囲とする。

 「情報社会に参画する態度」は、情報化が人間に及ぼす影響、いわゆる「影」の部分について、情報モラル・マナー、プライバシー、著作権などを学んでいく。

 いずれも発達段階に即し、3つの目標・内容を適切に盛り込んでいく。

 現在審議が進められ、11月中にも公表される教育課程審議会の中間まとめに、これらの内容がどう組み込まれるのか、注目される。しかし、いずれにしろ、21世紀を控え、情報教育の内容が強められることは間違いない。

調査研究協力者会議では今後は、情報教育を支える環境や条件整備について、検討していく。

(教育家庭新聞11月1日号から)