陸軍省碑の由来 兵器庫に見る 
筑波大学附属高等学校 田代博先生



  東京都文京区に門戸を構える筑波大附属高等学校では、昨年10月から今年1月にかけ、2年生の有志5人がSchoolGISを活用。効果や改良点を指摘した。
コンピュータ教室を設けていないという同校では、スタンドアロンのコンピュータ2台とプリンタ1台を地理教室に据置、生徒たちは放課後を利用して活動を進めた。
「パソコンとマウスがあれば、ソフトを使用するのに十分な環境といえます。鉛筆を使うように、すぐに土地利用図を作成することができます」と田代博先生。授業で簡単に使えるようにと、ソフトの開発を手がけてきた。
 実験対象は、学校所在地の文京区護国寺周辺約1平方km。昭和初期と現在の2万5000分1地形図を用意した。
「区画や道なりは、土地勘がないと判断し難いと思います。また今後授業で活用する場合、近隣であればフィールドワークなども可能となってくるでしょう」。
 学校周辺は、昭和初期段階ですでに開発が行われており、大きな変化としては学校周辺が兵器庫であった程度。現在、兵器庫があった場所は、国立大学や附属高校となっている以外、学校周辺は昭和初期から建物が多く建てられていた。また学校近くに護国寺があることからすでに門前町として明治時代より多く人が集まっていたことが予想できたという。
 土地の変化は少なかったものの生徒は、「校内にある陸軍省碑の由来が分かった」、「学校の100年史で調べてみよう」と、兵器庫をキーワードにさらなる課題を追求した。また、1地点を中心に半径500mの円を描くことができたら」と提案、実際ソフトの機能に取り込まれたという。
 彼らはじっと画面に集中し、丹念に記号や変化を読図。デジタル地図の魅力のひとつに「定量化」があると田代先生は言う。
「水田が宅地に変わったと言葉で伝えるより、現在と過去、2つのデータを重ねあわせて、何%増えたというように数字で示した方が、理解の定着度が大きいと思います。
 また区画ごとにみんなで分担し、その結果を容易に合成できるのもパソコンならではの作業でしょう」
 さらに今後の展開として、「各地と情報交換をしながらそれぞれがまとめた結果を繋ぎあわせていきたい。同校の寮がある蓼科近隣の地理変化も交換できたら」とアイディアを実現していく意向を示した。

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