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教育旅行・体験学習

北部九州教育旅行 新たな学習素材を探る旅

2018年2月19日
教育旅行

民泊・歴史・平和学習・体験など

歴史・平和・環境学習や民泊など、豊かな教育素材が揃う九州。熊本地震後の復興も着実に進み、今年度は県外からも多くの学校が教育旅行で訪れた。各県で開拓される新たな教育素材にも注目が集まっている。(一社)九州観光推進機構は、これら教育素材を教員に発信するため、12月24~26日、関西・中国地方の中高の教員を対象に、北部九州教育旅行現地視察会を実施した。

1日目 京都・新大阪・新神戸・岡山(各駅発)→小倉駅→民泊受け入れ家庭視察(宇佐市安心院町)→湯布院散策(由布市)→原鶴温泉(泰泉閣)宿泊
2日目 原鶴→大刀洗平和記念館(筑前町)→吉野ヶ里歴史公園(吉野ヶ里町)→有田ポーセリンパーク(有田町)→出島視察(長崎市)→長崎市内(稲佐山観光ホテル)宿泊
3日目 長崎→平和公園・原爆資料館(長崎市)→太宰府天満宮(太宰府市)→はねや総本家(福岡市)→博多駅

九州教育旅行ネット=kyoiku.welcomekyushu.jp


大分

農村民泊発祥の地 心温まる触れ合いを

■安心院の民泊視察

2階は子供たちの寝室に使われている

2階は子供たちの寝室に使われている

視察会第1日目は小倉駅からスタート。東九州自動車道小倉東ICから約1時間半の大分県・安心院(あじむ)に向かった。安心院は日本におけるグリーンツーリズム発祥の地。10年以上実施している学校もある。
一行は農村体験などを提供する「百年乃家ときえだ」を訪問した。同宅は築150年以上の重厚な木造家屋。子供たちを対象に藍染や野菜の収穫など、農村ならではの体験を行っている。お昼には同館・主人時枝さんの手作り料理が振る舞われた。かち海老のちらしずしや団子汁、地元野菜を使った数々の田舎料理に、教員からも「美味しい」と声が挙がった。
安心院では約60軒の家庭が民泊を受け入れている。一つの家庭につき3~8人程度の少人数制で240名が体験できる。体験内容は各家庭で異なるが、どの家庭も「心の交流」を第一に考え、子

供らを温かく迎えている。全ての受け入れ家庭が年5回の研修を受講しており、安心・安全な体験の提供にも努めている。

■湯布院・湯の坪街道

湯の坪街道を散策

湯の坪街道を散策

湯布院では由布岳を前方に眺めながら、湯の坪街道を散策。JR由布院駅から徒歩5分のアクセスで、土産物店や食事施設が軒を連ねる。九州自動車歴史館、湯布院民芸村などの体験・見学施設も多く、班別研修などで利用されている。街道沿いにある金鱗湖は、教育旅行でもよく見学されるスポット。湖底から温泉が湧き出ているため、冬の寒い時期には霧が立ち上る。他にも大分県には宇佐市海軍航空隊跡や人間魚雷「回天」の訓練基地、平成32年開館予定の宇佐市の平和ミュージアム(仮称)など、平和学習の素材も揃っている。


福岡県

大刀洗の平和セレモニー 明太子の漬け込み体験も

■大刀洗平和記念館

大刀洗平和記念館・新館には詳しいパネル展示が並ぶ

大刀洗平和記念館・新館には詳しいパネル展示が並ぶ

飛行施設を併設する大刀洗飛行場は、戦時中日本の戦力の要所であり、多くの少年飛行兵が特攻隊として旅立った場所でもある。昨年4月に新館が併設された大刀洗平和記念館では、飛行場の歴史を紹介する映像を鑑賞。その後、同館・朗読部会の竹中圭子さんによる戦争民話「ほたる」の朗読に聞き入った。「ほたる」は少年飛行兵と訓練場の食堂で働く女性の交流を描いたもの。心のこもった朗読に教員らは真剣に耳を傾けた。朗読と映像の鑑賞は、100~200名まで収容可能なホールで学校の希望に応じて行われている。
本館展示室では、世界で唯一現存する零戦機や特攻隊員らの遺書を展示。天井にはB―29の原寸の模型が設置されており、真下に展示された零戦との圧倒的な大きさの違いが分かる。零戦展示前は開けた空間になっており、最近は平和セレモニーや集会を行う学校も増えているという。
新館では、米軍で練られた特攻対策や特攻攻撃の成果などを解説するパネル、墜落した零戦の残骸などを展示している。

■はねや総本家

辛子明太子の漬け込み体験

辛子明太子の漬け込み体験

博多はねや総本家では、教員らが「辛子明太子漬け込み体験」に挑戦。同社のスタッフが師範として、体験を進行した。
明太子はもともと韓国生まれの料理。日本に到来後、博多の食文化として根付いた。師範は軽快な口調で楽しく明太子の歴史を伝えながら、漬け込み作業を指南。辛子の量や酒の種類などを好みに合わせて選び、1週間漬け込めば世界にひとつだけの辛子明太子が完成する。
体験時間は約30~40分。最大252名まで受け入れが可能。

■太宰府天満宮
学問の神様・菅原道真を祀る太宰府天満宮へは西鉄・太宰府駅から5分のアクセス。教育旅行時に立ち寄る学校も多い。本殿からほど近い九州国立博物館では、日本とアジア・ヨーロッパの文化交流をテーマに展示している。


佐賀県

原寸大の環濠集落が教科書を超えた学びに

■吉野ヶ里歴史公園

物見やぐらを前にガイドの解説を受ける

物見やぐらを前にガイドの解説を受ける

吉野ヶ里歴史公園は弥生時代、稲作の普及とともに生まれた環濠集落を原寸大で復元している。園内の復元建築98棟は実際に発掘された現場の真上に再現。そのため、住居などは整然と並んでおらず、各所に点在している。当時の距離感を感じながら、環濠集落を歩いて見学した。
竪穴住居や高床倉庫の壁や屋根には、当時使われていた材料のみが使用されていた。同園のスタッフは「冬は暖かく、夏は涼しい竪穴住居の特微などを子供に肌で体感させてあげられる。教科書では学べない学びを補填している」と語る。他にも園内の植物は弥生時代に生息していた種類のみに統一し、外来植物を排除するなど、当時の風景の再現も徹底している。
北墳丘墓は、発掘当時の状況を公開する施設として平成20年に整備された。異なる種類の土を何層にも重ねて丘状にした墓で、歴代の王を埋葬していたと考えられている。墓内部からは14基の甕棺とともに銅剣や管玉なども発見された。施設内では中央の発掘現場を囲むように、埋葬品などの展示が行われている。
見学コースは所要時間に合わせて選択することも可能。広い敷地内ではシャトルバスも周回。園内の弥生くらし館では、勾玉づくりや火おこしなどの体験プログラムも毎日開催している。

有田ポーセリンパーク

有田ポーセリンパーク

■有田ポーセリンパーク
有田焼の作品展示や販売を行う有田ポーセリンパークは、有田焼体験工房や全長約55㍍の登り窯を整備している。工房では絵付け・手びねり・ろくろなどの体験を実施。絵付けは最大450名まで受け入れている。食事施設やお土産品店も充実しており、自由行動の場面にも最適。
同施設のメインであるツヴィンガー宮殿では、江戸時代から明治までの最盛期の銘品を展示している。宮殿奥にはバロック様式の庭園が広がる。

■佐賀県の教育旅行素材
九州陶磁文化館や宇宙科学館などの施設の他に、唐津市の民泊・ヨット体験、有明の干潟体験などの教育素材を提供している。名護屋城跡ではVRで幻の巨城を再現。タブレットのPC無料レンタルも行っている。


長崎県

建物復元で甦る出島 原爆資料館の展示も充実

■出島

復元された建物が並ぶ出島

復元された建物が並ぶ出島

次の目的地・出島では、現地に精通したガイドによる解説付きの歴史プログラムを提供する「長崎さるくガイド」の解説を聞きながら視察。
出島は昭和26年に復元事業が開始され、平成12年には19世紀初頭の街並みの再現に着手。これまでに貿易の取引を行った商館や輸入品を保管する蔵などが復元され、現在16棟が並ぶ。蔵内は資料館として、当時の貿易品や世界各国との文化交流について紹介している。
西門入口にはオランダ船が運んできた輸入品を軽量する「天平量り」を再現。一方に輸入品を乗せ、分銅で計量していたという当時の状況が目に浮かぶ。東側には日本最古のプロテスタント神学校である「旧出島神学校」や食事施設として利用されている「旧長崎内外クラブ」がある。現在は南側を復元作業中で、2050年までには周囲を堀で囲んだ、“海に浮かぶ出島”が復元される予定となっている。

■平和公園・原爆資料館

被爆の詩を刻んだ平和の泉

被爆の詩を刻んだ平和の泉

最終日は平和公園から原爆資料館までを歩いて視察した。公園内には、平和祈念像や平和の泉など、原爆犠牲者の冥福と世界平和を祈る記念碑やモニュメントが設置されている。修学旅行で平和セレモニーを行う学校も多く、平和への祈りの場となっている。公園東側に保存されている防空壕群跡からは戦争下の過酷な状況が伝わってくる。
資料館では、原爆投下の瞬間から被爆した市内の惨状、熱線や放射能による人体への被害、救護活動などを貴重な資料・写真の展示を通して伝えている。展示の終盤では、世界各地で行われた核実験や現代の核兵器保有国の分布状況など、今後の課題も提示。現代の核問題とも向き合える学びを提供している。教育旅行ではボランティアガイドと公園周辺の被爆建造物を巡る学習や、長崎の高校生と平和について意見討論するプログラムも実施されている。

■長崎県の教育旅行素材
平和学習以外にも三菱重工長崎造船所や島原・天草一揆の舞台である原城跡など歴史学習の素材も溢れている。イルカウォッチング、ペーロン競漕などの自然体験も充実している。

参加者レポートより

大分

安心・安全な体験

「百年乃家」別棟

「百年乃家」別棟

農業体験や食育も充実 平和学習との組み合わせも

百年乃家ではきさくな主人・時枝さんの人柄に触れ、子供に「食」を考えさせるなどの貴重な体験ができると感じました。「食事」と「体験」の差を極力少なくしようと努力されているのは、さすがグリーンツーリズム発祥の地だと感じました。
タブレットPC利用の宇佐海軍航空隊跡巡りを活動に入れるとより充実した体験活動が期待できます。湯布院・湯の坪街道は金鱗湖まで駐車場から20分ほどで、班別で散策するのにも最適です。

地域で取り組む農村くらし 温かいおもてなしを受ける

安心院での昼食は古い農家のお部屋をお借りして、素朴なお料理ともてなしを頂きました。食後には民泊の説明をお聞きし、安心院に住む若い方々が「農村のくらし」に心と力を注いでおられる様子に感じるものが多くありました。

自然と人との関わりを学ぶ 事前学習で子供に考えさせる

社会科の授業の中で、以前別府市がPRしていた「湯~園地」や、おんせん県おおいたPRムービーなどをとりあげながら、自然(火山)との関わり(温泉という恩恵)を考えさせました。修学旅行は普段の学びとどう結び付けていくかがとても大切です。
火山国日本の自然と人々のかかわりを学んだ上で、実際に大分を訪れることは大いに意味があると思います。


福岡県

食考える宿泊施設

大刀洗平和記念館・零戦

大刀洗平和記念館・零戦

特攻隊学ぶ貴重な施設で生き方を考えるきっかけに

大刀洗平和記念館は特攻隊の歴史を学ぶことのできる数少ない施設であり、追憶の部屋での映像や朗読を通して戦争の悲惨さも学ぶことができ、今現在の自分の生き方を考える機会になると思います。施設設備も以前より充実しており1学年200名を超える本校にとっても、十分に見学可能であり行程の一部に組み込めると思いました。
今後建築されるという宇佐市平和ミュージアムと合わせて見学することによって、平和学習がより充実したものになると思います。

安全・衛生面にも配慮され楽しめる体験プログラムに

辛子明太子を作るという体験は、今までに経験したことがありませんでした。実際にそのプログラムに入ると、帽子や手袋なども準備され、衛生面にもしっかり配慮された準備がなされていました。作業自体もわかりやすく、一人ひとりがオリジナルの辛子明太子を持って帰ることができるように工夫がなされていました。漬け上がるまで数日かかりますが、それもまた楽しみの一つです。

和食文化を子供たちに伝える 料理長による食育講義の実践

ホテル・泰泉閣では、「和食にこだわる食」に重点を置いた料理長による食育講義の取組がなされており、他の地域にはない新たな試みだと感じました。洋食が中心の家庭が多い中で、生徒に和食の良さを伝えるいい機会だと思います。大分自動車道から近いという利便性もあり、利用しやすいと感じました。


佐賀県

事前学習も充実

竪穴住居を見学

竪穴住居を見学

当時の建物をそのまま復元 環濠集落の広大さに圧倒

吉野ヶ里歴史公園では、特に北墳丘墓内に再現されている発掘現場の様子がとても印象深く感じました。
実際に公園を訪れてみると、その広さに圧倒されます。端から端まで歩きながら、往時の規模を想像するだけでもよい経験となるだろうと思いました。ガイドの解説を聞きながらであれば、その効果はより高まると思います。1時間の見学時間では少し物足りないのではと思ったので、もう少し長めに設定して検討してみたいと感じました。天気が良ければ、環濠集落の中で、集合写真を撮影することもできるそうです。
有田ポーセリンパークの広い昼食会場と販売施設も利用しやすいと思いました。

古代・近代・現代に分かれコース別の見学・研修にも

吉野ヶ里歴史公園が提供する事前学習用DVDは、弥生時代の都市やクニの成り立ちについて分かりやすくまとめられていました。予習した上で現地で解説を聞き、実物を見学すると理解が深まるはずです。
県をまたぎますが、恐竜時代から古代、近代、現代と織り交ぜて「吉野ヶ里の古代遺跡」、「いのちのたび博物館」、「北九州イノベーションギャラリー」、「安川電機みらい館」などを組み合わせてコース別選択制の体験・研修も面白いのではないかと思いました。
有田ポーセリンパークでは絵付け体験ができ、事前に図案を学校で考えてくると時間を有効に活用でき、レベルの高い作品作りも可能ではないかと思いました。


長崎県

近現代の資料も豊富

現地ガイドの活用で子供が想像しやすい見学に

出島は昨年表門橋が復元され、より「島であった」ことを想像しやすくなっています。建物や設備にはそれぞれ解説がついており、ガイドの解説を聞きながら見学することで、江戸~明治の外国との交流についてより想像しやすくなります。
平和公園と原爆資料館は多くの学校が平和学習・集会などを実施しているので、訪れる時間や順番を十分検討して、効率よく行程の中に組み込む必要があると感じました。
原爆資料館の展示の中では、近代や現代の資料が充実していることが印象的でした。修学旅行後の学習にもつなげられるのではないかと思います。

原爆資料館の展示

原爆資料館の展示

分かりやすい展示で核兵器と平和を考える

原爆資料館は解説用の展示物やビデオなども分かりやすく、事前学習だけでは学びきれない情報が詰まっています。海外からの見学者が真剣に館内を見学する中で、核兵器や平和について真剣に考えることができると思いました。
稲佐山観光ホテルは、客室、展望台、浴場から眺める長崎の夜景はいずれも圧巻でした。傾斜の急な長崎ならではの美しい景色は他では味わえません。

 


交通

小倉駅からのアクセス便利 体験活動の時間にゆとり
初めて小倉駅を利用しましたが、改札から駐車場までコンパクトにまとまっていて、スムーズに移動・乗車できました。農村民泊地の安心院までバスを使って約1時間半で到着できるので、民泊体験活動や交流の時間を充分に確保できそうです。

教育家庭新聞 健康・環境・体験学習号 2018年2月19日号掲載

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