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教育旅行・体験学習

出前授業で学びを広げる

2018年3月19日

子供たちの豊かな学びを支援するため企業・団体などが実施する出前授業は数多くある。一部の地域では教育委員会が主体となり、学校側の求める授業実現のため、企業・団体との連携が進んでいる。地域の先進的な取組と学校現場で実践されている多様な出前授業を紹介する。

学校のニーズに合った充実した授業メニュー

墨田区では、地域や企業による学習指導要領に対応した「出前授業」をコーディネートし、学校を支援する「墨田区学校支援ネットワーク事業」を平成21年から継続して行っている。学校側のニーズを的確に把握し、学校と企業・地域の橋渡しをしながら出前授業メニューを作成することで、より効果的な支援につなげてきた。平成27年度からはNPO法人スカイ学校支援ネットワークセンターに事業を一部委託。現在は区外の支援者も増え、授業メニュー数、事業実績数が拡大した。

同法人は学習指導要領改訂で充実すべき事項として挙げられている言語活動・理数・情報・伝統文化・道徳・キャリア・食育などの項目を踏まえた30年度出前授業メニューを提示している。その一部を紹介する。

学習指導要領にも対応 食育・道徳・外国語など

食育・健康
多様な教科で実践可能 発達段階に応じた指導

㈱明治では食育・健康教育に関連する出前授業を実施している。「明治・カカオ・チョコレート教室(小4~中学生)」「ヨーグルト教室(小5~中学生)」は、「知る(見る)・考える・体験する」の3つの要素で構成。食への感謝や国際理解、健康な食生活への関心を高めるなど、発達段階に合わせた3つのプログラムから選んで実施できる。道徳・社会・家庭科・総合・理科・保健体育など様々な教科と連携しやすい点も特長のひとつ。学校からは「早寝早起きの必要性の理解につながった」「給食時、牛乳の残量が減った」などの声が聞かれている。チョコレートの授業後、「チョコレートを作るためにこんなに多くの人が関わっているとは知らなかった。大切に食べたい」との感想も聞かれた。

「考えよう!明日の体力づくり(中学生)」「パワー!ひとくちの力(小4~6)」はオリパラ教育の一環として、発育急進期に必要な運動と食事について学ぶ。同時期の体の成長が一生涯につながること、バランスの良い食事のために何を食べればよいのか、などを指導。オリンピック選手の具体的な事例を取りあげることで、子供たちの食への関心を喚起する。

道徳
介護の実体験通じていのちの大切さ伝える
自宅介護を通して感じたこと伝える秋田氏

自宅介護を通して感じたこと伝える秋田氏

感性とコラボレーション研究会の秋田昌子氏は、小4~中学生を対象に自身が経験した自宅介護の体験談を通じて、命の大切さを伝えている。103歳で亡くなった「トラおばあちゃん」を家族で介護した3年間の生活をスライドの写真とともに振り返る。

命と向き合う日々は家族にとって辛い面もあったが、トラさんを囲む子供たちの前向きな物事の捉え方を知り価値観が一変したという。秋田氏自身が介護生活の中で、“自分らしく生きる大切さ”を学び、自分の生き方・考え方が変わっていく様子を語る。講話を聴いた中学生も「人の命は人の支えで出来ていると感じた。祖父の世話が面倒と感じることもあるが、“生きていてくれてありがとう”と感謝しながら介護したい」と感想を話している。

 

外国語
ネパールの文化学び ビデオチャットで交流

NPO法人YouMeNepalのライ・シャラド氏は、小4~6年生を対象に自身が建設したネパールの学校の児童とのビデオチャットによる交流体験を提供している。授業は日本語で行われるが、交流体験はシャラド氏のサポートを受けながら英語で行う。授業後の感想文は後日ネパールの児童と交換。

交流前にはネパールの料理や名所、学校について学ぶ。子供たちに英語の必要性と地球規模の課題に気づかせ、国際理解などにつなげる。

実践例:生きて働く知識・技能を身に付ける

「卒業後も役に立つお洗濯教室」
迷った時の対処法も伝授<ライオン×カンコー学生服>

マフラーの洗濯方法を実演する大貫氏

マフラーの洗濯方法を実演する大貫氏

ライオン(株)は1月12日、学校法人東洋英和女学院の高校3年生を対象に「卒業後も役に立つお洗濯教室」を実施した。おしゃれ着用洗剤「アクロン」と菅公学生服㈱のコラボ企画で、授業実施は今回が初めて。当日はライオンのお洗濯マイスター・大貫和泉氏による講義とマフラーの洗濯実習が行われた。

実験や体験を通して上手な洗濯方法を学ぶ

講義の内容は洗剤の働きや選び方、洗濯表示を学ぶというもの。大貫氏は洗剤が汚れを落とす仕組みを簡単な実験を通して説明し、洗濯表示や洗う素材に合った洗剤選び・洗濯方法を紹介。衣類を長持ちさせるコツや、洗濯で迷った時の対処法など実生活に役立つ情報提供も行った。「身に着けている衣類は外見の印象も左右するので、洗濯の仕方には注意が必要」と大貫氏。身だしなみにもつながる洗濯の大切さを伝えた。困った時は新旧洗濯表示に対応した無料アプリ「これ洗える?」を活用することも勧めた。

マフラーの洗濯実習では、アクロンを使って手洗いに挑戦。脱水から干し方までを実践すると、「こんなに汚れていたんだ!」と生徒から驚きの声が挙がった。

同校の中村健二教諭は「卒業後すぐに単身生活が始まる生徒もいるので、役立てて欲しいと実施を決めた。洗濯を通じて家庭での生徒の様子も垣間見ることができた」と語った。

「キレイのタネまき教室」
正しい掃除法など学ぶ<ダスキン>

(株)ダスキンは2月28日、川口市立南鳩ヶ谷小学校の1年生を対象に、掃除の方法や意義を伝える出前授業「キレイのタネまき教室」を実施した。

体験交えて定着図るポイントは全員で復唱
正しいほうきの使い方も学んだ

正しいほうきの使い方も学んだ

授業は「どうしてそうじをするのだろう」「そうじ用具を正しく使おう」の2部構成。汚れの正体である水垢や泥、ほこりなどを放置すると病気の原因になることなどを指導した。講師の澤田智恵子氏(ダスキンお掃除教育研究所)は、汚れた部屋で生活するとどんな気持ちになるのかを児童に問いかけ、掃除の意義を確認。ポイントを児童全員で元気よく復唱し、知識の定着を図った。

後半はまとめとして、正しいぞうきんの洗い方・絞り方を全員が実践。澤田氏の掛け声に合わせて、児童は楽しみながら体験していた。担任教諭も「専門の方に教わり、児童も新鮮な様子で学んでいた」と授業を振り返った。

同授業はダスキンのCSR活動の一環として、ダスキンフランチャイズ加盟店の社員が講師となり、全国で実施している。(一部実施していない地域もあり)29年度は約680校で実施した。

同社社員は「子供たちに少しでも掃除を好きになって、興味を持ってほしい」「日常生活でも役立ててほしい」と語る。過去の実施校からは「児童の掃除に対する意欲が上がった」などの声もあがっている。

「エコライフスタイルの提案」
日常生活の省エネに気づく<NPO法人エコレン>

行政・企業と連携した環境啓発活動を行うNPO法人エコレン(山口博之理事長)は、茨城県土浦市を拠点に県内全域の小中学校・公民館などでエコ講座を実施している。29年度は約5000名の小中学生や一般市民に“エコライフスタイル”を提案した。

EPS実験通して地球温暖化防止教育に
発泡スチロール実験にチャレンジ

発泡スチロール実験にチャレンジ

“エコライフスタイル”とは環境配慮のため工夫された生活スタイルのこと。日常生活でできる小さな工夫を考え、実践していくことを勧めている。小中学校のエコ講座では、発達段階に応じた地球温暖化の講義と省エネ・リサイクルに関連したクラフト体験を行う。中でも発泡スチロール(以下、EPS)を使った「フライパンで蒸して膨らませる」「リモネン液で溶かす」などの実験は子供たちに人気。EPSはリサイクル率が高く(平成29年度現在90・2%)、断熱材としての用途は、地球温暖化防止にも役立つ身近な省資源素材。子供たちはEPSの特徴を体感しながら、エコライフスタイルとの結びつきを学ぶ。映像やクイズを取り入れ、授業の雰囲気づくりにも努めているという。子供たちからは「なるべくリサイクルを心がけたい」などの感想が聞かれている。講座の最後にはリモネン液を含んだ染色を使い、EPSの手形づくりを体験。手形づくりは卒業記念など

多くの学校で実施されている。

ドライブと学習を一体化
横浜市・日産・学研・カヤックが連携

横浜市では、日産(株)・学研・カヤックの3社が連携した春休みの小学生向け体験型学習「マナブドライブ」を3月17~31日までの土日祝日(6日間)に実施する。小学生を含む親子36組が参加対象で、参加費は無料。

車載タブレットが体験学習をサポート
建物の高さも比較できる

建物の高さも比較できる

「マナブドライブ」は日産が販売する電気自動車(EV)・日産リーフを「移動教室」、横浜市全体を「教科書」とし、ドライブと学習をコラボさせるという試み。市内の学習スポットを巡りながら、車載タブレットで各所の歴史などを学ぶことができる。

特定の場所でタブレットをかざすと、ARによる実物と照らし合わせた体験も可能。「ランドマークタワー」近辺では、画面を通して実物の建物と重ねると、エジプトのピラミッドとの高さ比較もできる。

位置情報と連動しているため、学びスポットに接近するとオリジナルキャラクター「赤レンガ先生」や「ぺリー先生」から電話が入ることも。先生との対話を通して、より詳しい歴史学習が実現できる。

ドレスアップした車で横浜の街をドライブ

体験乗車用の日産リーフは3台。ルーフは特別にドレスアップされ、学生帽が装着される。EV独特の静かな車内が学習環境に変わり、車と情報がつながるコネクテッドカー体験にもなる。体験の出発地は日産グローバル本社ギャラリー。専用ドライバーが体験に同伴する。

教育家庭新聞 健康・環境・体験学習号 2018年3月19日号掲載

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