学校給食Q&AA

児童の実態や地域性配慮

             江東区教育委員会 栄養士 道家元雄

 毎日の献立はいつごろどのようにして決めているのですか。担当の栄養士さんの好みなども関係してくるのでしょうか。

 毎日の献立は、前年度1月頃、給食費、年間給食回数、主食の回数、行事(試食会、老人とのふれあい給食など)などを決め、献立は毎月2か月程前、区・市・町など自治体の教育委員会などが主催で献立作成会を開催して、食品構成と栄養量を満たし、決められた給食費内で1か月分の献立表を作成します。参考献立として印刷し、各学校へ配布しています。全校に学校栄養職員がいない場合もあったり、公立のため基本をそろえるためです。各学校では学校行事を考慮したり、内容変更したりしますが、前述したような基本事項は学校栄養職員に共通ですが、地域性、1食あたりの給食費、施設設備、調理職員数、食器の数などに差が見られるので統一されるものではありません。1人で作る人も多くいます。
 献立は栄養所要量(これだけはとってほしいと思われる量)を基準として、児童生徒の嗜好、食生活の実態を勘案して食品構成(所要量を満たす食品群別量)をもとに作成します。単に料理の羅列でなく、健康の増進と健全な発育に資するために、その目的にあった内容(食品の質・量・組み合わせなど)であることも大切です。
 献立作成上の留意点をあげると次のようになります。
1栄養バランスへの配慮
 穀類エネルギー比を上げ、脂質エネルギー比を30%以内にし、動物性たんぱく質の過剰摂取をさけ、カルシウム、鉄、食物繊維の摂取に心がけ、動物性の脂肪を多くとらないようにする。食品構成は脂肪酸組成からみて魚介類が優れているので積極的にとり、肉と魚を同量とする。野菜類、穀類、いも類、豆類を多くし、肉類、油脂類をできるだけ減らすようにする。食品の種類を多くするようにする。
2豊かで多様な献立
 主食として、米飯を週2・5〜3回としパン食週1・3〜1・8回に。残りをめんとする(週0・7回)。米飯は味付けご飯と白飯が1〓1が望ましく、食物繊維やビタミンの供給源として精麦を使用する。パンも加工パン(バターロール、ぶどうパンなど)を多くしないで学校で調理パン(2種のサンド、バーガーなど)をつくり、パン食を充実させ、食事内容の多様化をはかる。味付けは食材料本来のうす味になれさせる。調理方法の重なりがなく、食欲をそそる内容で、量として適量か。
3生きた教材としての献立
 学校給食は健康教育の一貫である食教育として行われている。毎日食べながら、献立が生きた教材として指導にふさわしい食事内容であることが大切である。献立の形態は、主食+牛乳+主菜+副菜+デザートの形を原則として組み合わせが適切であるもの。
4地域に根差した献立
 その地域の風土・気候・文化・産業の中で育てられた郷土料理や地域の産物を給食に取り入れることで、学校給食をより身近にとらえ、地域にも関心を高めることができる。
5選択できる献立
 変化に富んだ内容であること。行事食・誕生日食など、選択給食として、バイキング方式・カフェテリア方式・リザーブ給食などをとり入れて変化させ、バランスのよい食品選びや1人分の適量を知れるような学習の場としての内容も盛り込む。
6衛生や安全の一層の配慮
 安全・衛生に十分留意し、事故を絶対に起こさないようにする。材料は旬の食品と良質で安価な食品を献立に選ぶ。不必要な添加物のない食品を選び、安全性に留意する。有機野菜や果物も取り入れる。
 以上のような留意点のほか、児童生徒の献立に関するアンケートやアンコール献立の取り入れや、食器具が献立に適した組み合わせになり、食べやすくなるように工夫することなどがあります。

(99年5月15日号)