復興教育をプログラムに―東北教育旅行セミナーを開催

 東北観光推進機構主催の「平成24年度東北教育旅行セミナー」が7月26日に都内で開催された。東日本大震災の影響により昨年は未実施となり、この教育旅行セミナーは今回で5回目。

東北教育旅行

震災後は初めての実施となり注目が集まった

  今回の東北教育旅行事例発表は、東京都から東久留米市立南中学校(秋田県仙北市へ)、千葉県から八千代市立村上東中学校(福島県南会津町へ)の教員が担当した。両校ともに保護者へ様々な説明を積み重ね、生徒のために何が今必要なのかを見極めた上で、実施したことを紹介した。

  東久留米市立南中学校は、初めての東北修学旅行を昨秋に実施。当時学年主任を務めていた鈴木啓子教諭が、卒業生に以前「僕達の修学旅行って何だったんでしょう?」と言われたことや、今の生徒の状況を踏まえた上で、東北を提案した。

  決定までの苦難を乗り越えた学年団を、さらに東日本大震災という苦難が襲う。5月から9月への延期、放射線量を測りながらの下見、保護者への説明などを乗り越え、秋田県内で農家体験とたざわこ芸術村での3日間を終えた。

  鈴木教諭は、修学旅行を通じて子どもたちを「自分たちで考え、行動することができる集団」に成長させることができたと実感している。さらに、若い教員に「東北修学旅行」という新しい種を蒔くことができたことも収穫となったという。

  続いて、岩手県と宮城県が、震災後の新たな学習プログラムや現在の様子について紹介。

  岩手県観光協会教育旅行誘致宣伝部会の佐藤寿美幹事長は、学校にいた児童生徒が全員津波の被害を免れた「釜石の奇跡」について紹介。それを踏まえた復興教育が、今後の岩手の教育旅行のキーワードとなるだろうと考える。

  具体的には、防災教育、健康教育・心のケア、道徳教育、ボランティア教育、地域との交流、学校間の交流、各教科指導を通じて生きる力を育むもの。「岩手を訪れる必然性、岩手の復興教育を考えてみてはいかがでしょうか」と新たな教育旅行の形を提言した。

【2012年8月20日号】

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