教育旅行・体験学習

春夏の修学旅行はピークに 東京・上野で出発式を開催

5月に入り、特に中学校の修学旅行が続々と始まった。関東の公立中学校は、その多くが関西方面、東北方面に目的地を設定し、東海道新幹線、東北新幹線を利用している。今年も東京では修学旅行生の出発式が行われた。

日本の心ふるさとへ

関修委集約列車は711校

関修委
JR東海職員へ「感謝の気持ちを忘れず充実した修学旅行にしたい」とあいさつする代表生徒

5月9日には、東京駅東海道新幹線ホームにて、関東地区公立中学校修学旅行委員会(以下、関修委 事務局=公財・全国修学旅行研究協会)による修学旅行の出発式が行われた。出発式には、流山市立西初石中学校(高橋徹校長)をはじめとする千葉県内の公立中学校6校の校長および代表生徒や関係者が参加した。

関修委運営委員長の平野茂氏(千葉市立土気中学校長)は、「感謝・協力・気配りの3Kを大切にし、多くの人の支えがあってこの修学旅行が成立していることを理解し、地域の自治体や先生、訪問先でお世話になる全ての人に感謝の気持ちを伝えて欲しい」とあいさつ。

出席校を代表して流山市立西初石中学校の高島優人さんは、「この修学旅行をとても楽しみにしており、大きな期待を持って修学旅行について話し合ってきた。日本の心のふるさとである奈良、京都で仲間と共にすばらしい思い出を作りたい。そして自分たちの行動に責任を持ち、感謝の気持ちを忘れずに充実した修学旅行にしたい」と関係者への感謝と、修学旅行へ対する意気込みを述べた。

東海旅客鉄道鰍フ下山田稔・東京駅長は「修学旅行専用の列車なので他の乗客に気兼ねすることなく、道中の時間を友人同士で楽しんでもらいたい」と「のぞみ号専用臨時列車」を見送った。

関修委では、利用列車を指定した集約輸送により修学旅行を円滑にし、安価で実施できるよう、地域に組織された修学旅行委員会やJRと協議している。今年度の利用校および利用者数は、東海道新幹線が765校11万4051名、東北・信越新幹線は6校1051名だ。

"体験"は理解につながる

都公立中は531校が新幹線を利用

日修委
上野駅の松村副駅長から「思いっきり楽しんで」と見送られる練馬区立開進第二中学校の生徒

5月11日には、東京都中学校長会修学旅行対策委員会(事務局=公財・日本修学旅行協会)が、東京都公立中学校の東北方面修学旅行の第一陣として、練馬区立開進第二中学校(大石光宏校長)による修学旅行の出発式をJR上野駅で開催。

開進第二中学校の190人に対し同委員会副委員長の池田富太郎氏(世田谷区立深沢中学校長)は、老子の「聞いたことは忘れる。見たことは覚える。やったことは分かる」という言葉を紹介し、「旅行先でたくさんの体験をして帰ってきて欲しい」と述べた。

生徒代表の西藤涼太さんは、東日本旅客鉄道鰍フ職員にむけて「今日から修学旅行に行ってきます。よろしくお願いします」と元気にあいさつ。生徒らの命を預かるJR上野駅の松村明・副駅長は「皆で寝食を共にして楽しめるのはこれが最後。思い切り楽しんで来て欲しい」と話した。

同校の生徒らは仙台駅で下車し、宮城県石巻市で現地の語り部から東日本大震災について聞きながら学習した後、田尻町で田植えを体験。その日は52の農家に民泊し、次の日は岩手県平泉で中尊寺金色堂を見学するという。

東京都公立中学校の修学旅行は、全て東海道新幹線修学旅行専用列車と東北新幹線定期列車を利用して行っている。同委員会では、修学旅行を有益かつ円滑に実施できるよう専用列車を利用しており、毎年多くの学校の修学旅行生が乗車している。今年度は東海道新幹線を526校・7万4488名が、東北・上越新幹線を5校626名が利用する予定だ。

 

【2016年6月20日号】

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