【北部九州教育旅行現地視察会】参加者の声(抜粋・敬称略)

北部九州で主体性を育む多様な学びを発見 歴史/平和/民泊/環境

大分県

歴史にあふれた咸宜園と教育旅行に適した豆田町

豆田町の旧家
豆田町内にある淡窓の旧家

咸宜園は、かつて漢文の教材として採用されていた廣瀬淡窓が創設した私塾ということで、自分自身が少し前まで国語で指導していたこともあり、興味深く視察した。豆田町の散策は、小1時間程度であれば修学旅行生にも適していると思う。(奈良市立三笠中学校教諭・小西由希子)

施設見学と班別散策で発展的な歴史探求を

淡窓が身分や階級制度の厳しい時代に、学歴・年齢・身分を問わず全ての門下生を平等に教育したことがわかる貴重な施設。発展的な歴史学習の探求につながる見学や講話が実施されていた。豆田町は、歴史的な町並みが保存されており、伝統工芸品やお土産、酒蔵見学なども自由にでき、グループ単位で散策しやすいスケールであった。(高槻市立柳川中学校教頭・濱田知成)

教科と関連付けやすく事前学習にも便利な内容

廣瀬淡窓については、漢詩作品が国語において扱われていたほか、道徳の副読本でも言及されており、生徒が事前学習しやすいのではないかと思った。日田は交通の要所で、魅力的な宿泊施設も多くあるため行程の中で検討すべきだと考える。(岡山市立御津中学校教諭・浅野太郎)


福岡県

現地での見学・体験に加え焦点を絞った事前学習を

大刀洗平和記念館はガイドの方の説明がとてもわかりやすかった。中学生には自由見学のほかに全体説明があるとよい学習になる。常設展示・実物展示は視覚化し、とても工夫されていた。悲劇を再現したシアター上映もドラマ風で良くできている。事前に「平和学習」「戦争」「特攻隊」「家族への想い」などに焦点を当てた学習を行ってから訪れたい。(神戸市立淡河中学校教頭・古川雅一)

長崎の平和学習と合わせて戦争の悲惨な実態を学ぶ

長崎の原爆投下にのみ目が行き、戦争の他の実態について考える場所は少なかったが、大刀洗平和記念館では、戦争による悲惨な歴史や若くして命を落とした特攻隊について学習できる。九州自動車道筑後小郡ICから約10分というアクセスの同館を見学後、長崎での平和学習を実施するのもよい。(倉敷市立玉島北中学校教諭・小林保)


佐賀県

生態系に視点を置きながら知識理解を超えた体験を

干潟で泥だらけになり、クラスの仲間たちと力を合わせて競技をするのは、きっと楽しいだろうと思う。できることなら、自分もその一員になりたいほど。生態系に視点を向けさせるのにも、非常に適した教材だと感じた。その環境に「身を置いて」体感する授業は、知識の理解を超えた経験ができそうである。あわせて「堰」についても、意見の交流、討議を通して自分の意見を練り上げる機会にできればと思う。(三原市立宮浦中学校学年主任・横山正幸)

安全で衛生的な環境 シャワー施設も充実

干潟体験は多くの生徒が強烈な印象として残る自然体験のひとつである。安全・衛生面の問題はなく、体験実施後のシャワー施設なども完備されているため、次のスケジュールへの移行もスムーズだと考えられる。(大阪青凌中学校・高等学校・前田勉)


長崎県

学年全体でも実施可能 駐車場・トイレも整備

教育旅行の素材として、野生のイルカを間近に見ることができることは感動が大きい。大型バスの駐車場、トイレも整備されている。学年全体のプログラムとして実施可能な内容。視察時に乗船した船は定員が32名のため、1クラス単位での行動に多少の調整が必要な場合も考えられるが、時間内に野生のイルカに遭遇できると、よい体験になる。(高槻市立第七中学校教頭・丹家敬)

海と山に触れられる地域で生徒の印象に残る体験を

中学校の修学旅行2泊の中に、1泊は民泊を取り入れる学校が多くみられるようになってきている。雲仙をはじめとする山々と海にバランスよく触れられる南島原での民泊体験は、場所・内容ともに魅力的である。イルカウォッチング体験も自然を体感できる珍しいものであり、生徒にとって印象に残るものとなるだろう。長崎市内見学とのセットとして考えたい。(奈良市立三笠中学校教頭・乾浩章)

緊急時の組織対応など万全の受け入れ体制

長崎県では行政が民泊用の自宅の改築に補助をするなどの対応をとっている。受け入れ家庭は生徒を迎え入れる公式な認可を受けるため、研修に参加。安全面に対する緊急時の対応も組織的に行われるようになった。比較的医療機関も近く、安心して民泊体験の出来る場所だと思う。(岡山市立高島中学校主幹教諭・小山真二)

人との繋がりを感じる思いのこもった民泊を

民泊の受け入れ家庭では、ご主人の民泊に対する熱い思いをお伺いでき、改めて「人と人とのつながり」というものの大切さを考えさせられた。どこに行くのか、何をするのかも大切だが、それらを通じて培われる人とのつながりは何にもまして心に深く残る。(草津市立老上中学校教諭・前田政彦)

新・観光丸
新・観光丸から長崎の町が一望できる

長崎ならではの施設で島原の乱を学べる展示

有馬キリシタン遺産記念館では、島原の乱に関する様々な資料が並べられ、当時の状況が分かりやすく展示されていた。『長崎の教会群とキリスト教関連遺産』として世界遺産登録を目指しているこの地ならではの施設であった。(岡山市立御津中学校教諭・難波吉三郎)

事前学習と合わせた見学で産業発展の歴史を体感

「明治日本の産業革命遺産」について勉強し、実際に三菱重工長崎造船所やジャイアント・カンチレバークレーンを見れば、日本が発展していった歴史を体感できる。クルーズでは、新・観光丸で長崎港を巡ったことで長崎の町のことがさらに分かった。平和学習もでき、様々なプランが立てられる素材に溢れた町だと改めて実感した。(岬町立岬中学校校長・松本勝治)

生徒に合わせたテーマで事前学習から興味付けを

三菱重工長崎造船所史料館ではスタッフの方の説明により非常に興味深く見学できた。中学生の見学では、歴史や科学のどの分野で事前学習を行うか、どのように興味付けをするかが重要だと感じた。(堺市立浜寺南中学校指導教諭・綿井啓一郎)

出島ワーフ
長崎港に面したアクセス便利な「出島ワーフ」

学習素材で溢れた町・長崎 連泊のプランも計画可能

出島周辺を中心とした長崎市内班別活動では、出島ワーフや市内での飲食等に加え、軍艦島クルージングの魅力も考えると連泊も可能である。中高生向けの施設巡り用の観光チケット(550円)も活用していきたい。ハウステンボスや壱岐地方の魅力もあり、教育性とアトラクティブな要素とのバランスも非常に良い。九州新幹線長崎延伸により、地理的条件も抜群である。(神戸市立岩岡中学校教頭・石川潔司)


交通アクセス

大分方面の移動が便利に 新鮮な教育旅行プランを

従来は、福岡→佐賀→長崎のプランが主で、大分方面はアクセス面での課題があったが、道路網の整備により、関西から大分への電車・バスでの移動が容易になった気がした。大分は日田市の他にも別府・湯布院など様々な体験要素で溢れた地域が多い。子供たちの目には、福岡・大分などの修学旅行は新鮮に映るかもしれない。短時間移動が可能ならば、大分を拠点にした海や山の体験学習や民泊等の修学旅行プランを考えてみたいと思った。(高槻市立柳川中学校校長・永尾好輝)

 

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【2017年2月20日号】

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