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座談会 視察旅行を終えて
今後 九州は修学旅行の主役に
熊本県
環境学習に欠かせない水俣
受け入れ側の積極的な提案を
視察の最後に行われた座談会。右から佐藤佳子さん、加島俊博さん、鈴木伸男さん、永島昇太郎さんら参加された先生方
視察の最後に行われた座談会。
右から佐藤佳子さん、加島俊博さん、鈴木伸男さん、永島昇太郎さんら参加された先生方

 −−3日間の視察を振り返り、ご意見を頂戴したいと思います。

 鈴木 今まで何度も来ましたが、やはり観光と教育旅行では違う印象でした。中学校の修学旅行では、1日か半日は班行動が出来る場所が望ましいのですが、山鹿の米米惣門ツアー、八千代座はいいですね。あと横の広がりで何カ所かスポットが欲しいと思いました。

 奈良・京都は奈良時代、平安時代などの歴史を学びますが、実際は点のつながりとしてしか見られませんから、どこへ行っても同じですね。ここでは江戸、明治維新などが学べるのもいい。世界的なカルデラの阿蘇山、天草など見所もあります。

 2年生の総合的な学習の時間としては、水俣がいいですね。語り部など地域の方との繋がりが持てる部分と、環境が学べる両方の点で。観光的なものと学習的なもの、班活動とミックスして行うには、選択に迷うくらい、色々なコースが作れる場所でした。

 修学旅行の行き先を変える時には、その意義をきちっと説明する必要がありますが、熊本県を中心とした九州は、その点でも非常に理解を得やすい場所だと思います。

 加島 まず一番感激したのは、八千代座の建物でした。ここ福田農園のロケーションも素晴らしいですね。熊本県では、どこを見るかといいますと熊本市内、阿蘇、天草、ちょっと遠かったですが山鹿。それと水俣は環境学習として、公害の原点としてはずせない場所ですね。

 ただ広範囲ですから、移動手段をどうするかが今後の課題ですね。総合的学習、航空機利用の緩和の中で新しい修学旅行をどうしていくか、この点も含め学校も、関係者も考えなければならないと思います。今回の熊本県でも、コースを試行錯誤しながら考えていくことになるでしょうね。

 また今後の修学旅行について考えますと、航空機による価格と保護者にどう説明するかをクリアにすることだと思います。かつて私も住んでいた県ですが、この視察旅行では多くの人が親切で、一旅行者としても感激でした。今後各県の誘致合戦もあるでしょうが、こういうご縁があったことですから、一言二言応援したいな…と思いました。

 佐藤 京都・奈良と何回か修学旅行を実施している中で、今年は学習に中心を置き家族旅行とは違う、勉強を通して学ぶ修学旅行を考えたいと思っていた中で、今回の企画があり参加しました。環境問題や歴史的な文化、人との繋がり合いを持つことなど私自身が勉強になる視察でした。

 来年度、もし自分が旅行を企画するならと考えながら視察しましたが、しっかり学習して来る水俣環境問題とか、八千代座などは、事前学習で子どもたちに意識づけをしてくることで、捉え方が違うと思います。すっと過ぎてしまえば、何も分からない、ただ自然を見るだけですが、そこで何を植え付け、何を見るかが大切ですね。

 今回は、その視点から見ると取り上げやすいのは八千代座かなと。水俣問題も身近な所から始めて、大きな企業が最後にこうなって、どう克服したのか、そして自分は将来どういう立場でそれを考えていくのかなと子どもたちに考えてもらうには、いい場所だと思いました。

 ただ保護者にどういう理解をしてもらえるかです。ここに来て、どういうメリットがあるのか訴えられれば、さらに費用の点を兼ね合わせれば、素晴らしいと思います。

 永島 あらためて、九州は奥の深い所だなと思いました。東京都の公立高校は、すでに飛行機移動での修学旅行を行っています。以前は、北海道や沖縄が多かったのですが、最近は九州が候補に挙がってきました。今後は、九州が修学旅行の中心になると思います。

 中学と高校の修学旅行は違うと思いますが、視点はまず「誰と行き何をするのか」、最後に「どこに行って何をして来たか」が残ると思います。

 今回、体験学習など資料を事前に色々見せていただき、熊本でやらなければならないものなのかと思いましたが、視察に回ってみて、やっぱり来て良かったな、ここでしか味わえなかったなと思いました。

 最も感銘受けたのは水俣の吉永さんがおっしゃった言葉で「事前に何をしてくるか」だと思います。まさに修学旅行のテーマです。どのように準備してくるかが大事です。こちら側の怠慢かもしれませんが、「現地でこういう事が出来ます、それにはこうして来て下さい」といった受け入れ側からの積極的な働きかけも欲しいですね。それによって、より身近なものになると思います。

 九州は人数の関係で入り口・出口が福岡になってしまいます。新幹線、高速道路も整備されてきましたので、今後より多くの中学生、高校生が受け入れられるよう、努力していただきたいと思います。


事前学習は現地と協力し
班行動でコース別に体験

 −−事前学習の必要性が皆さんから出ました。それに関して事例や、提言がありますか。

 佐藤 私どもの中学校では、1年生で環境教育を取り上げ、多摩川の自然や水質、ゴミ問題を勉強し、2年生が地域の福祉を取り上げ、3日間体験学習をしています。修学旅行で生かすなら、広いエリアで環境問題や歴史、熊本県と自分達との係わりや違いを学ぶことが必要です。

 積み重ねて来た最後であり、自分で学び考えたことを肌で感じる研修旅行の場にしたいです。旅行で学んだものを帰ってから発表したり、新聞や小冊子を作る形でもいいでしょう。自分がやってきたことを形として表現させたいなと思います。

 今日もボランティアの方がいましたが、地元の人が情熱を持って説明してくれると、子どもたちの理解も違ってきます。観光ガイドさんの説明とは違いますから、班ごとに何人かのボランティアの方々が付いて説明してくれるといいですね。

 加島 熊本城、阿蘇などの表の部分もテーマになりますが、田原坂など裏の地味な場所も、事前学習をきちんとすれば可能だと思います。ビデオなど映像で知らせることも必要です。

 短時間の事前学習でなく、夏休みを使い自分達で資料などで勉強する、あるいは講師を招いて、コースのテーマについてアドバイスをもらえば、イメージが具体的に広がります。コースが決まり、交通アクセス、チェックポイントなどしっかり準備していけば、班ごとで行動することも可能だと思います。

 鈴木 2年生の夏休みの宿題で、個々人に熊本県について何か一つ調べさせる。また事前学習をこちら側からも教え、さらに班ごとの事前学習でまとめ、模造紙か壁新聞で発表させる。

 この過程では、資料館や観光課などに直接電話や手紙を出させる場合も起こってくるでしょう。そういうことに対応していただけるような、受け入れ側の体制作りも必要ですね。

 その他、一般に感じることですが、バスガイドの説明には物足りなさが残ります。何年に建てたと数字を言うだけではなく、なぜ建てたのかなど、その背景など教えてもらえたらいいですね。

 永島 行き先が決まったら、我々教師側は、担当教科の指導要領を読む必要があると思います。同時に受け入れ側も、出来るなら学習指導要領を見ていただき「この教科の関連で、これが出来ます」と言った提案もしていただきたい。熊本を題材に、教師と地域と相互の協力が得られれば、よりいいものになります。

 −−今回の熊本を中心に具体的なコース作りで、何か提案がありますか。

 加島 以前行った東北の修学旅行では、関西とは違う素晴らしいロケーションや人との触れ合いがありましたが、移動のロスタイムが大きかったので、それは避けたいですね。永島先生も言っていましたが、ここでしかやれないものが修学旅行の体験学習です。

 佐藤 天気に左右されるのも困ります。雨で何も出来ないと困るので、表番組と同等の魅力ある裏番組があれば、選択しやすいかなと思います。

 鈴木 地方によっては、天気に左右されること、観光シーズン中は受け入れないこと、移動時間の長さなどの理由から、修学旅行として選び難い所があります。

 中学の場合は環境問題、歴史文化、自然も入れてどうコースを設定するかですよね。

 佐藤 1年、2年の学習体験の積み重ねを通して子どもたちが訓練を重ねられれば、最後の修学旅行では熊本県に集合という大胆な方法でもいいと思いますよ。帰りは一緒に帰るにしてもね。

 鈴木 熊本は見所がいっぱいで一つに絞りにくいので、4クラスあれば4つに別れて一日回る、班行動を入れてもいいでしょうね。例えば自然コース、環境コース、文化コースというように。

 永島 私は失敗体験も必要だ思います。天候が悪く、船に乗れなくても、それは体験として学べますから。すでに高校では実施していますが、スタートをばらしての各班行動で、例えば八千代座を中心に中間発表をして、次の班がそれを聞いて、またスタートするといった行動にすれば、短期間でより深いものが学べるのではと思います。

 −−九州は広く、移動も時間がかかるなら、北部か南部か、あるいは小さいエリアに限った方がいいのでしょうか。

 加島 学習の面なら地域を絞ったコースが、事前の学習を含めていいでしょうね。中学校の場合は、子どもたちの能力も考えてモデルコースを示して、山鹿、天草、水俣などコース別にバスを仕立てて回る、コース別指導も可能かと思います。

 鈴木 九州の一番良い点は、日程が学校側で決められること。新幹線の修学旅行は抽選による割り当てなので、学校側で日程が決められません。それに京都は将来、家族や個人でも行く機会はあるでしょうが、それに比べれば九州は機会が少ないでしょう。その点で、九州への修学旅行はこれから十分、可能性が大きいと思います。


 ルポ【熊本県】水俣は環境学習の宝庫 事前学習の必要性実感 (04/12/18号)

【2004年12月18日号】


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