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第4回IT活用セミナー開催報告
 
「普通教科のIT活用」と「携帯電話の情報モラル」テーマに

 

 

 

 10月7日、「普通教科でのIT活用と携帯電話の情報モラル」をテーマに、第4回IT活用セミナーが東京都内にて実施された。当日は小中高の教員らが参集した。講師は、戸板中学校・女子高等学校の斉藤貢一教諭、千葉大学教育学部附属中学校の三宅健次教諭、国際大学GLOCOM助教授の豊福晋平氏。

◆国語・社会・美術でIT活用
   戸坂中・女子高 斉藤貢一先生
 変化する社会情勢に対応した国語教育を


 斉藤貢一先生からは、「普通教科のIT活用で学力向上・意識向上」をテーマに国語・社会・美術での実践を通した実践が報告された。斉藤氏は国語科教員だが、2005年上月情報教育賞で優秀賞を受賞している。情報活用能力向上をテーマとし、国語科、美術科、社会科の連携での取り組みが評価された。
 具体的には、中学校3年生の国語・現代文分野「雑誌作り」「取材の仕方」単元の中で、取材やインタビューなどを実施。テーマを「地域情報誌」とし、地域への取材を通じ情報活用能力を育むと共に、想定読者を考えた雑誌レイアウトや文章、見出しの付け方を含めた効果的な情報発信について学んだ。また、「御伽草子」単元では小学校低学年向けの古典劇の映像制作を実施。映像化のために脚本と絵コンテ、映像の関係を見せるため、黒沢明監督『羅生門』と宮崎駿監督「千と千尋の神隠し」を使用するなどしたという。生徒らからは「古典を身近に面白く感じることが出来た」「こういう授業は初めてだったので大変だったが楽しかった」「雑誌が細部まで計算されていることに気付いた」などの感想が聞かれた。

公民と政治経済、美術科でも

 中学校3年生の社会科では、これまでの講義中心の授業内容を改め、生徒自らが積極的に学ぶ授業実現のために、国際政治の分野でデジタルのボードゲームで疑似体験・問題作問を実施。生徒らはコンピュータ上に自分の作成した問題がすぐに反映されるため、核兵器という難しいテーマにも関わらず能動的に知識を吸収できた。また、生徒同士が教えあい知恵を出し合う共同学習による達成感を味わうことができたという。高校2年生の政治経済では、企業活動の目的が「利潤」にあることをシミュレーションソフトでの疑似体験によって企業活動を理解。主体的な調査活動に結びついた。
 中学校2年生の美術では、受動的な活動になりがちな美術史の学習で活用。各自が1人の画家を担当し、描画ソフトを活用しつつ鑑賞活動につながる描画活動と発表を行った。また3年生では、環境デザインでパブリックアートをテーマにプロジェクト学習を行った。

◆学校IT化は校務・広報・教科の三つ巴
   国際大学GLOCOM 豊福晋平助教授

 校務のIT化の必要性が今年度のトピックとなっているが、豊福晋平助教授は、「校務情報化の現状と課題」について、アンケート結果より分析。「学校のIT化は、校務・広報・授業の三者で実施していかなければならない。自分が解決すべき問題ではないと考える教師の多さが解決を遅延させている」と指摘。「校務IT化はタイムリーなトピック。文科省は2006年度中に、校務処理における効果的なIT活用の方策等を調査研究、その推進方法を検討する。ただし地方交付税に積算されるので、それなりに頑張る必要がある。また、私立校にも助成金がつく可能性が高い」と述べる。
 「校務情報化のメリットは総じて高いが、中途半端な情報化は非効率的。校務効率化を前提とした包括的な検討を行うためにも、各教員ひとりひとりが自分のこととして問題を捉える必要がある」。

◆携帯電話の情報モラル教育を実施
   千葉大学教育学部付属中 三宅健次先生

 昨今、携帯電話の所持に関する許可不許可や情報モラル教育の必要性が各校で検討されている。三宅先生は「たとえ携帯電話の所持を許可していなくとも、携帯電話の所持率は今後一層上がっていく。また、現在トラブルが起こっているのはコンピュータ以上に携帯電話によるものが多い」との立場から、携帯電話の情報モラル実践について発表した。
 「携帯電話の機能が充実し、パソコンとほとんど変わらないことができる一方で、携帯電話には特有の情報モラルがある。しかし家庭で携帯電話のルールや指導が徹底できていない。また、学習指導要領にもふれられていないため、いつ誰が行うべきか不明確。そもそも携帯電話を授業として扱ことに抵抗感を抱く教師がいる。生活指導で行うべきとの意見もある」という前提で、附属中での授業を紹介。附属中では中学校3年次、2時間扱いで行った。主に携帯電話で起こっている問題点とカメラ付携帯電話の問題、携帯電話依存症など心の問題を整理して授業で触れる。また、「情報モラル研修教材2005」から「電車内での携帯電話マナー」「カメラ付携帯電話のマナー」「思いがけない請求が来た」などを生徒に疑似体験させる。さらに、保護者にも携帯電話の危険性を理解させることの必要性にも触れた。

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