▼小春日和の週末。会場には、全国から高校教員を中心とする参加者が詰め掛けた。
「評価はどうしたらいいのか」「教材は」「授業の組み立て方は」前例のない教科の新設とあり、参加者は銘々に課題を掲げる。手にした教材メーカーのパンフレットや実践校の報告に目を落とす参加者たち。
開会挨拶を行った白井克彦・早稲田大学副総長は、「新しい教科を進めることに不安は大きいが、日本における情報教育の底上げにつながる」と、参加者にエールを贈った。
▼中村一夫・国立教育政策研究所
教育課程調査官および文部科学省教科調査官は「新教科・情報・のねらいと展開」をテーマに講演。
調査官は、理解しやすい表現で教科「情報」の意義を解説。担当教員に対し「木だけを見るな 森を見よ」と小中高、大学あるいは社会人までの生活の根本に情報教育があると解説。体系的な情報教育の一部に教科「情報」があることを強調した。
また「情報」は機器の操作だけでなく、あらゆる学問の基盤に位置すると加え、「担当教員に情報教育を任せるというのは、狭い見方。全教科の教員で取り組むべき課題」と参加者を勇気付ける場面も。
さらに、「数学の楽しさを伝えきれていただろうか」と17年間の教員生活を省み、普通教科「情報」を嫌いにさせてしまったら、教科の存在意義はなくなると、教科のねらいを投げかけた。
ではどのように指導したらよいか、との観点で指導のポイントを3点あげた。ひとつには生徒の実態把握。ふたつに実習の重視。3つめに情報モラルの育成を重要課題とした。
そして評価。
「人間を測る際に、巻尺を使う人もいれば、体重計を用いる人もいる。同様に授業では、観察や製作物、レポートなどあらゆる評価方法が考えられる」と言及。評価に加え、施設設備の確保に関しても、「他教科との連携が成功へ導く」とまとめた。
後半の質疑応答では、「評価する際に、関心・意欲・態度など4観点があげられましたが、基準は」との問いに、「最終的には各学校で定めるものだが、今夏には、国立教育政策研究所のホームページ上に中間まとめとして、基準を例示する」と見通しを示した。
早稲田大学IT教育研究所の宮澤賀津雄氏は、「・情報・実践に向けて当面する課題」をテーマに掲げ
た。導入では、新教科「情報」を紐解くうえで把握しておきたい社会の構造や流れ、政府の施策を解説。生活スタイルの変化に伴い、情報教育は「生きるため、生き残るための教育へ」とシフトした状況を確認した。同時に、インターネット導入の流れを時系列に従い追っていくなかで、財政や技術的な問題は明らかになったが、いまだ運営や教育的な課題は残ると考察。「インフラの整備は整いつつある。これからは、どのように使うかを具体的に考える時期」と言葉を強めた。
一方で、不正アクセスやウイルスの届出件数のグラフを示し、学校以外の社会でも情報教育の重要性が増加している現状を裏付けた。
さらに学校現場では、教員、学校、地域間で温度差が激しい状況を指摘。関心度の違いは、地域・教育機関の情報格差を生むとし、特定の教員に負担が集中すると危惧を示した。
また「新教科としての難しさや、他教科と比較した指導面での難しさを多く含む教科」と具体的な達成ラインの確定や指導教員の数を確保する必要性を説いた。
実施はまもなく迫る。
「多くの不安が生じてくるが、まずはきちんと準備をしておくこと」と校内LANの用途ごとの分離やワクチンソフトの完備、著作権の確認など、身につけておきたい予備知識を解説。アメリカを視察で訪れた際に、教室のコンピュータには利用規定が表示されていたなど、工夫を紹介した。
不安の多い教科だが、成功させるポイントとして宮澤氏は「無理をしない指導計画づくりや学習内容の優位性・有用性を意識すること」などいくつかの方法と認識を示した。また情報コーディネータを含め、「連携」という考え方を常に持つことを重要課題と捉えた。