●惑星の定義変更と、それが教育界にあたえる影響 日本学術会議などの提言 (2006年09月06日)
8月24日、国際天文学連合(International Astronomical Union、以下IAU) が惑星などの定義を決定した。今回の決定で一番大きな変更は、なんと言っても冥王星が惑星から外れたこと。惑星ではなく、「dwarf planet」に位置づけられたのだった。
今回は、それらの決定の意味と、それが教育界(特に教科書)に与えるであろう影響について、国立天文台と日本学術会議の言葉をご紹介。
■素朴な疑問 ~ 惑星ってそもそもなんだったんですか?
「惑星などの定義を決定した」と聞くと、素朴な疑問が浮かび上がってくる。
「んじゃ、いままで、どういうものを惑星って言ってたんですか?」
結論からいくと、てきとー。適当じゃなくて、てきとー。「惑星はなんぞや」と、その定義を改まって決めたことは今までなかったらしいです。
「「惑星」という名前は、もともとは天球上をさまようように動く光の点という特徴だけから 「惑う星」を意味して使われた」(国立天文台によるIAU決議の日本語訳から)
つまり、特に決められた何かがあるわけでなく、直感的に「これとこれとこれって、惑星っぽくない? 太陽から近いし、 太陽の周り回ってるし、でかいし」という風に決められていたということですね。科学って、意外なところで、意外にいい加減。
ところが、観測技術が発達してきたことにより、「冥王星の大きさは、発見時に想定されていたものよりずっと小さいこと」「冥王星の周りに、 冥王星と同じような質量を持つ天体が大量にあること」などが分かってきた。
また、冥王星は公転軌道が他の惑星たちとは大幅に違うこともあって(時には海王星の公転軌道の内側に入ってしまう)、 「冥王星って本当に惑星なのか?」と1990年代からずっと論議が続けられてきたようなのです。
これが、過去の話。
■IAUの決定事項 ~ 惑星と、惑星じゃない天体の定義 太陽系の天体を四分割
今回のIAUの定義決定は、それらの論議に一応の(なぜ「一応」なのかは、後述)終止符を打つものになった、というのが、 今回のIAU決議の歴史的位置づけ。
国立天文台は、IAUの決定した事柄をシンプルにまとめて、サイトに掲載している。
以下、長いですが、定義なのでそのまま引用。
1:太陽系の惑星とは、「太陽の周りを回り」 「十分大きな質量を持つために自己重力が固体としての力よりも勝る結果、重力平衡形状(ほぼ球状)を持ち」 「その軌道近くから他の天体を排除した」天体である。
2:太陽系の dwarf planet とは、「太陽の周りを回り」 「十分大きな質量を持つために自己重力が固体としての力よりも勝る結果、重力平衡形状(ほぼ球状)を持ち」 「その軌道近くから他の天体が排除されていない」「衛星でない」天体である。
3:太陽の周りを公転する、衛星を除いた、上記以外の他のすべての天体は、 「Small Solar System Bodies」と総称する。
4:(したがって)冥王星は上記の定義によって dwarf planet であり、トランス・ネプチュニアン天体の新しい種族の典型例として認識する。
いきなりトランス・ネプチュニアン天体などと出てしまいましたが、これはIAUで「trans-Neptunian object」
という呼称をしている天体。太陽系において、海王星の外側を回る天体の総称です。なお、英語で出てきた「dwarf planet」
「Small Solar System Bodies」「trans-Neptunian object」は、
正式な和名がいまのところ決まっていません。
ということで、太陽系の天体は、大きく分けて
「恒星」:太陽
「惑星」:水金地火木土天海
「dwarf planet」セレス、冥王星、2003 UB313(この他、12の天体が検討中)
「Small Solar System Bodies」(小惑星、彗星、「trans-Neptunian object」など)
に四分割されることになったのでした。これらに付け加えて「衛星は、どうしようね?」ということで困っている。
これが現在のお話。
■じゃあ、教科書どうすんの? 日本学術会議の提言
ここからは、未来のお話に入る。
じゃあ、学校や教科書はどうすればいいんでしょう? ということになるわけですが、国立天文台では、惑星の定義とは?のページで
「Q. 教科書の対応はどうなるか?」
との問に、
「A. 日本天文学会及び日本惑星科学会等が中心となって、 広く教育関係者などとの了解のもとで日本としての対応を決める予定である。」
と答えている。
一方、日本学術会議では「学校教育においても、教科書等での記述を変更する必要」があるとして、関連教科書・書籍・ 教材の対応方法を取りまとめ、2007年からこうするように、とお勧めした文書を出しているのでした。
その対応方法の言わんとするところをまとめると、
(1)2008年度までは、おそらく「dwarf planet」の和名は決まらない。
(2)2007年の教科書では、惑星は8個にするのが望ましい。「2006年に決定になった」ということを書き記すこと。
(3)IAUで議論された「小惑星」や「彗星」については、日本では用語の扱いが確定していないので、
2007年はそのまま記述するのが望ましい。
(4)高校教科書など、詳細な記述をしたいときには、英語名「dwarf planet」「small
solar system body」「trans-Neptunian object」で記述するか、日本語名を用いるときは「仮称」
と明記するのが望ましい。
とのこと。
■じゃあ授業ではどうするの?
理科の先生の授業内容は、これに準拠する・・・かどうかは別として、試験の兼ね合いもあり「惑星って水金地火木土天海」 という話をするでしょう。その傍ら、時間があったら、ここでまとめたような話をしても面白いんじゃないかと思います。
あと、この定義は絶対に正しいものかというと、そうではありませんよね。科学である以上、また変わってくる可能性があるわけです。
この定義にだって、すでに
こういう話も勃発してきていることですし。
これらの話を題材に、授業で調べたり考えたりしながら、自分たちなりに結論付けるという授業も面白いかもしれません。ある意味、 それが勉強の一番楽しいところですし、科学の本質的な態度でもありますし(榊原)
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投稿者 kksblog : 2006年09月06日 09:15
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