●インテルの考える21世紀型スキルとは何か? ~ 正解のない世界を生きるための教育プログラム (2007年03月22日)
3月14日、丸の内にあるインテル東京本社において、「21世紀型スキル」
育成を授業の中に取り入れる方法を考える演習「これからの社会で求められる人材」が、指導主事・教員研修担当者向けに行われた。
この演習は、インテルが提供している教員向け研修プログラム「Intel Teach」のイントロ(もしくは「Intel
Teach」修了者に向けて)に行われるもので、「Intel Teach」の根幹をなす。
今回のレポートは、その演習内容を基にしている。このレポートの目的は、「IT業界を代表する企業のひとつである「インテル」の考える 「21世紀型スキル」とは何か?」を明らかにすることだ。したがって、当日行われた演習内容を詳細におっていくことはしない。 演習の詳細を知りたい場合は紙媒体である「教育マルチメディア新聞」4月号誌面、吉木記者のレポートを参照のこと。
■21世紀型スキルとは何か?
~ 21世紀をよりよく生きるためのスキル
21世紀型スキルとは何か。インテル・教育プログラム推進部部長の柳原氏は、21世紀型スキルのことを
「21世紀という、グローバル化した知識経済をよりよく生きるための力や技能」だと述べる。
もう少し説明を加えておく。インテルの言う「21世紀型スキル」とは、 21世紀という時代をより良く生き抜くために必要だと考えられる能力・技能の総体を指す。歯切れの悪い言い方になっているのは、インテルが特に 「この能力とこの能力とこの能力とが21世紀型スキルです」と明言していないためだ。インテルでは、いろいろな論者や団体が言っていること(例: http://www.ncrel.org/engauge/skills/skills.htm) を参考にしながら、研修を受ける人たち(つまり先生たち)なりに21世紀型スキルを考えていってくださいというスタンスを取っている。 (何故こういうスタンスになっているのかについても、理由はある。後述)
ただ、この形だと、参加者の社会観が多様であればあるほど、多様な21世紀型スキルができてしまって、収拾がつかなくなることになる。 そこでインテルのプログラムでは、インテルの社会観を最初にプレゼンテーションすること(+α)で、「21世紀型スキル」 を一定の枠内に収束させる形をとる。
■インテルの社会観 ~ 21世紀は知識経済社会になる
21世紀とは、どういう時代なのか。インテルは知識経済社会なのだと考える(正確には、多くの論者がそう言っている。しかし、
他の考え方をする論者も多く居る。インテルは、知識経済社会になるという説をベースに教育活動を行っている、ということ)。
社会は、狩猟社会→農業社会→工業社会→情報社会と移り変わって来た。そして、21世紀は知識経済社会となるだろうと、インテルは述べる。
では、知識経済社会とはどういう社会なのか。
インテルの考える知識経済社会とは、知識を持つものがより成長する社会だ。そして、知識を手に入れる土台となるのは教育であり、 教育への投資量は、社会的な成長と自らの成長に左右される(※)。ここに、教育↑→知↑→成長↑→教育↑→知↑・・・ というループが生まれることになる。
つまり、知識を手に入れつづけられる体制を作れるかどうかが、 知識経済社会である21世紀をより良く生活していく上での大きなポイントである、とする。
(※:このあたりの明確なロジック説明はなかったが、例えば、戦争が続くなどして不安定な社会(経済成長のない世界) では子どもへの教育が行われにくく、将来的な国の成長が阻害される。また、逆に、高額所得のビジネスマンがMBAなどを取り、 高度なビジネス知識を得ることで、さらに高額所得になるなどのパターンが考えられる)
■21世紀において、
テクノロジーはブースターの役割を担う
インテルの専門であるテクノロジーは、このループの促進役、ブースターとなる。知識経済社会では、仕事、コミュニケーション、創造、
生活などのあり方が変化していく。全てをテクノロジーが支えているため、「使う」ことは当たり前の状態となる。したがって、
テクノロジーを使うことが大切なのではなく、使って「何をするか、何を成し遂げるか」が重要となる。
■「何をするか、何を成し遂げるか」プロジェクト型思考に基づくIntel
Teach
「何をするか、何を成し遂げるか」
これらを自分達で考えて、実行に移すことが、知識経済社会における主要な働き方であるとインテルは考える。これは、 一般的にプロジェクト型と呼ばれる労働の形だ。まず、自分達で何のために何を成し遂げるべきかを考える。そのためにどんな成果物を作り、 その成果物でどのような結果を生み出せば成功であるかまでを定義し、実行に移す。
先ほど述べたように、インテルは「研修を受ける人たち(先生たち)なりに21世紀型スキルを考えていってくださいというスタンス」 を取っている。それは、Intel Teach自体が、プロジェクト型の思考法に基づいて構成されているためだ。
Intel Teachを受講する教員は、のべ36時間のカリキュラムの中で、子ども達に必要な能力を自身で考え、 その能力を伸ばせる授業を自分で設計し、その評価ポイント・基準・観察ポイントを教員自身で決める。これは、まさしくプロジェクト型の活動だ。 さらに、この活動を通じて最終的に出来上がる成果物も、プロジェクト型の授業プログラムとなるように指導されていく。
■21世紀スキルをもった人とは何か? ~正解を自分で考え、
行動できる人
何が正解であるかを、自分で考え、自分でその正解に向かって行動できること。まとめてしまうと、
21世紀型スキルをもった人材像とはこういうものだ。
インテルのロジックをシンプルにまとめておこう。
21世紀は、知識経済社会になる。知識を持った人間がより成長をしていく社会だ。成長をすることで、より高度な教育がもたらされる。 より高度な教育は、より高度な知を供給する。ここに、知↑→成長↑→教育↑→知↑・・・というループが生まれる。このループを加速するのが、 ITを初めとした各種のテクノロジーとなる。
ただし、知識は覚えているだけでは役に立たない。「何をするか、何を成し遂げるか」という視点のもとで使いこなしていくことが大切になる。 この視点は、知識経済社会で主要な働き方となるであろう、プロジェクト型の労働のベースとなる。
こうした社会観のもとで構成されたIntel Teachのアプローチとは、以下のようなものだ。
プロジェクト型のプロセスで、プロジェクト型の授業を構成する過程を先生に体験してもらう。これによって、 先生に21世紀型スキルをもった人(=プロジェクト型思考プロセスのできる人)になってもらう。そこから、子ども達に21世紀型スキル (=プロジェクト型思考プロセス)を伝達していってもらう。
■教育とは何か? 「明るく幸せな未来を築くための投資」
インテル・教育プログラム推進部部長の柳原氏は、教育とは何か?との問に対し
「インテルの統一見解ではなく、私の考えですが」と前置きをしつつ、「明るく幸せな未来を築くための投資だと思います」と述べる。
「明るく幸せな未来を築くため」これからの社会で主要な働き方となるであろうプロジェクト型のプロセスを体得できるよう、 インテルのプログラムは構成されているということになる。
最後に、このプログラムを受けた指導主事・教員研修担当者の考えた21世紀型スキルをいくつか紹介して、この文章を終えておく。
・今までと必要なものは変わらないという印象がある。その中にITをどう取り込んでいくかがポイントになるだろう
・見通す力が大切である。仮説を考え、その見通しが正しい方向であったかどうかを見抜ける思考が大切だ
・お茶箱プロジェクトというものをやっている。お気に入りのものを持ってきてもらって、そこで語り合う。 そこに文化の立ち上がる瞬間が見える。文化とは、あるものでなく、作り上げられていくものだ。コミュニケーションやコラボレーションを通じて、 思考の生まれる仕組みづくりが大切だと思う。
参考:
インテル教育支援プログラム
(榊原)
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投稿者 kksblog : 2007年03月22日 10:32
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