●PC使わず情報科学を教える CSアンプラグド拡がる (2007年10月12日)
生徒役に表裏が白黒の正方形のマグネットカードを縦横それぞれ6枚ずつ並べてもらい、講師は一度眺めてから背を向けると、
その間に生徒役は任意のカード一枚をひっくり返して表裏を変える。講師は向き直ると、裏返されたカードを見事言い当てます。
何度か繰り返した後、視覚的に記憶していたのではなく、ある法則に則って当てていることを明かします――コンピュータ・サイエンス・
アンプラグドによる、パリティチェック(データの送受信の際、データのエラーの有 無を確認するのに使われる)の原理を説明する一こまです。

学校でのプログラミング教育を研究する、教育プログラミング研究会とプログラミング・ 情報教育研究会は9月28日、筑波大学大塚キャンパスでコンピュータ・サイエンス・アンプラグド(以下、CSアンプラグド) に関する研究会を共同で開催。CSアンプラグドを考案したTim Bell氏(カンタベリー大学-ニュージーランド) の講演や、 日本で実践する現職教員からの実践報告を行いました。
CSアンプラグドは、PCを使わずにカードなどの道具を使ってコンピュータ科学を教える教育方法です。Tim Bell氏を中心にニュージーランドで開発、書籍化されていて、現在では米国、スウェーデン、韓国、中国等で広く利用されています。
‘操作’でない‘本質’の理解に
「情報」苦手な生徒の意欲も高める
この日の研究会では、まず中学校の技術家庭科での事例を、井戸坂幸男教諭(松阪市立飯南中学校)が説明しました。
まとめると、“実習のプリントや体験型ゲームが用意されていて、ゲームの要素が生徒の興味・関心・意欲の面で効果的。 生徒も意欲的に面白がって取り組む” “具体物をもとに試行錯誤しながら、手に取り動かして学べる” “学習をグループで協力、 話し合いながらできる。生徒にコミュニケーションの場面を自然と設定できるので集団として盛り上がって取り組める” 点が授業を進める上で効果的のようです。
一方で、授業のねらいという視点から「教科『情報』や大学の情報の授業などでPCの原理を教えるのに非常に良いが、 中学校段階では内容が専門的で難しい部分もある。内容をそのまま教えるのではなく、思考力や発想力の育成をねらいとするのも1つ」 と中学校で指導する際のポイントについても話しました。
発見や感動が心に残る学びにつながる
保福やよい教諭(神奈川県立松陽高校) は2年生で実践した例から教科「情報」での利点について説明しました。
‘学び’における効果については、「アンプラグドなら操作にアタフタすることもなく、本質的な理解に集中できる。 ISBNコードやバーコードなど、現実と結びつくとそれまで“知っているがわからなかった”ことを理解でき、生徒に発見や感動がある」 といいます。
また「ゲームを中心にした授業で、理論を生徒自ら導いて発見できる点が素晴らしい、生徒の力になる。『情報』 に興味のある生徒だけでなく、興味をもてないような生徒にも効果的。原理を理解し、体験を通じて学んだことはよく定着すると思う」と紹介。 なによりも「自然な形で生徒が情報科学・技術に興味を持てるのが良い」とのこと。
授業で利用する点においては、授業中にPCでソフトを扱うと、生徒1人1人のスキルの差が大きく、 早い人にはまた別の内容を教える必要が出てきますが、アンプラグドなら、グループで考え合いながら、 進んだ生徒は原理原則の理解をより深く考えていけるため、‘早い遅い’が生まれない点が授業での利用に良いそうです。
生徒からは、「面白い」「楽しい」「仕組みがわかる」「不思議」「わかりやすい」といった声が聞かれるとのこと。
日本では、兼宗進准教授(一橋大学総合情報処理センター)が監訳を務めた
『コンピュータを使わない情報教育 アンプラグドコンピュータサイエンス』(発行 イーテキスト研究所/
監訳 兼宗進/
追補執筆 久野靖など/
価格1575円)が、今年7月に刊行されました。
主な内容は、2進数、テキスト圧縮、パリティチェック、情報理論、探索アルゴリズム、整列アルゴリズム、並び替えネットワーク、 ネットワークにおけるルーティングとデッドロック、プログラミング言語など12テーマが収められています。
CSアンプラグドHP(NZ)
日本の情報ページ
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投稿者 kksblog : 2007年10月12日 17:59
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