●「迷う」経験は次の「迷い」に活かされる 理化学研究所と英大学の共同研究 (2007年11月07日)
下の図を見て下さい。左側の図に、ある図形がありますね。右側の図では、同じ図形の周りに3個の図形があります。この3個の中から、元の図形と「同じ」ものを指さして下さい。

「形が同じ」黄色い丸を選びましたか?「色が同じ」青い四角を選びましたか?これは「ウィスコンシンカード分類課題」という、脳の機能を調べるテストの変更版です。質問側は、図形を選ぶ条件を決めていますが、それは被験者には伝えられず、条件に合わないものを選んだ時に「違う」と伝えるだけです。被験者は「どの条件なのか?」と迷いますが、次に同じ場面に遭ったときは「迷い」に費やす時間が減ります。「迷い」の経験が、同じ状況で活かされているのです。
この「迷い」を減らす仕組みが脳のどこで行われているか、ということが、理研脳科学総合研究センターの認知機能表現研究チームが、英国オックスフォード大学と共同で行った研究により発見されました。
得た情報を、後の行動に役立てるために記憶しておくことを「行動記憶(ワーキングメモリー)」と言い、脳の前頭連合野の背外側部という部分がそれを扱っていることが分かっています。同じような「迷い」の状況で、迷う時間が減ることは行動記憶の一種とも考えられることから、前頭連合野の背外側部の働きを確認する実験を行いました。
被験にはサルを使い、図形を選ぶテストで高い正答率が得られるよう訓練した後、前頭連合野背外側部を破壊したグループ、「迷い」を検出するという説の出ていた前帯状溝皮質を破壊したグループ、正常なグループで同様のテストを行いました。その結果「迷った」経験を次に活かすためには、前頭連合野背外側部が必須であることが分かりました。

破壊した脳の部位の図
さらに、課題を行っている間の神経細胞活動を調べた結果、迷ったことを伝える神経細胞と、迷わなかったことを伝える神経細胞が、ほぼ同数存在することが判明しました。
この研究で、前頭連合野背外側部の働きが、これまで考えられていた以上に広い範囲に及んでいることがわかりました。得られた結果は、迷いを判断するロボットの開発などに新しい手がかりを与えることになるそうです。
私たちは日常の中で、さまざまな「迷う」場面に遭遇しますが「迷った経験は無駄にはならない」と思えば、迷うことも前向きに考えられそうですね。
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投稿者 kksblog : 2007年11月07日 02:52



