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CCFSの患児の学習意欲低下には報酬の感受性の低下状態が関係~理化学研究所 (2016年11月23日)

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理化学研究所が、CCFS(小児慢性疲労症候群)の患児の学習意欲低下には、低報酬知覚時に線条体が活性化されない状態、つまり報酬の感受性の低下状態が関係していることが分かりました。

CCFSは、3カ月以上持続する疲労・倦怠感および睡眠・覚醒リズム障害を伴う病気で、不登校の児童・生徒に多く発症が見られます。CCFSに伴う学習意欲の低下や、記憶・注意力の低下が学校生活への適応を妨げている可能性があることから、病態と脳機能の関係の解明が課題となっています。

意欲と密接な関係を持つ脳機能の一つとして、報酬感受性があります。報酬感受性が高いと、少ない報酬でも比較的報酬感が得られやすく意欲喚起につながり、学習等の行動の持続性を支える要素となります。一方報酬感受性の低下は、意欲の低下につながります。CCFS患児の意欲低下の症状について、報酬感受性の低下が関係していることが考えられますが、CCFS患児での報酬に関する脳内メカニズムは解明されていませんでした。

研究は、CCFS患児と健常児を対象に、金銭報酬を伴うカードめくりゲーム遂行中の脳活動状態をfMRIで測定。その結果、CCFS患児と健常児、いずれも、高い金銭報酬を得た場合は、線条体(尾状核と被殻)と呼ばれる脳領域が活性化していることがわかりました。一方、低い金銭報酬額しか得られなかった場合は、CCFS患児の被殻の活性度が健常児に比べて低下していることがわかりました。次に、この被殻の活性度が、疲労症状の程度や、普段の学習において十分な評価・成績が得られているか(学習による報酬感)の程度と相関しているかを調べました。その結果、疲労の症状が強いほど、または学習による報酬感の程度が低いほど、低報酬獲得時の被殻の活性度が低いことが明らかになりました。以上により、CCFS患児の学習意欲低下には、低報酬知覚時に線条体が活性化されない状態、つまり報酬の感受性の低下状態が関係していることがわかりました。

線条体はドーパミン神経が豊富に存在する脳領域で、報酬知覚時のドーパミン神経の活性低下と意欲低下と関連しているかもしれません。今回の結果から、CCFSの治療法として、ドーパミン神経系を標的とする投薬などが考えられます。今後、CCFSのドーパミン神経機能に着目した治療法の検討も必要といえます。


小児慢性疲労症候群は報酬の感受性低下を伴う | 理化学研究所



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投稿者 kksblog : 2016年11月23日 00:51


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