BECTA(英国教育工学通信協会) 有効なIT活用支援

情報通信インフラ技術の教育利用に関して政府に助言−アンドレ・ワグスタッフ氏

 アンドレ・ワグスタッフ氏(英国教育工学通信協会全国学習網指導書制作部長)により、英国日本大使館で以下のプレゼンテーションが行われた。

 NGfLの技術的サポートはBECTA(英国教育工学通信協会)の全国学習網担当局が行なっており、情報通信インフラ技術の教育利用に関して政府に助言を与えている。当局の戦略は、1教育分野向け情報通信機器の仕様書づくりと機器・ソフトウェアの調達業務、2新興科学技術とその教育分野での応用に関する評価、3NGfLサーバーシステムの開発・管理からなる3分野を対象としている。そして、学校やドットコム企業とのパートナーシップを通じて、教育分野にて長期的に持続することが可能な情報通信の社会基盤を構築することを目標としている。

 これまでの活動実績は、97年に教育分野にITを導入することの可能性について調査を実施している。98年6月からはITがもたらす学習効果について研究。その成果として、同年11月には「チャレンジ・ブック」を発表した。これによって、教育機関、企業、および一般市民の学習者が、ITの助けを借りながら教科学習や職業技術訓練をするための指針ができあがった。

 NGfLの構築にあたっては、BECTAがコンテンツを設計している。その活動のひとつとして、インターネットを基盤とする教材を教科別に収集・開発している。小学校から高等教育、生涯学習に至るあらゆる学校での教育に必要な情報を提供し、教育実践のバックアップを行なっている。そのために、NGfLのための新しい教材を収集・開発中である。
 さらにBECTAは、NGfLにおける新規事業の開発と育成を行っている。その事業の一つが、バーチャル教師センター(VTC)である。VTCでは、インターネットを援用した教育を実践する上で教師がどのような教材を要求しているのかを調査し、その調査結果に基づいた教材開発を行っている。さらに、その開発教材がどれだけ効果があったのかを評価し、さらなる教材の発展に寄与している。これらの一連の作業は、現場の声を反映しなければならないという認識から、教師グループとの共同作業で行われている。もちろん、普通学校での学習教材のみならず、専門分野や職業技術訓練のための教材も開発・提供している。

 このような研究開発によって、BECTAは、各教科において、ナショナルカリキュラムに沿った上で有効なIT活用を実現できるように支援・促進している。ナショナルカリキュラムにITの利用をどのように盛り込むのかについて、政府は、各教科の教師からなる作業グループと共同で、ITの有効活用を目指したカリキュラム作成に関する協議会を開催している。


(2000年10月7日号より)