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地域ブランド「東光寺だいこん」を守る

東京日野市の地産地消

東光寺だいこん
2人がかりでの収穫

 昨今、「地産地消」という言葉は多くの国民に知られ、学校給食でも推進されており、特に地方においては広い耕地面積を持ち、数多くの種類を学校給食に導入することができている。とはいえ、都市圏も健闘を見せており、東京都では「こまつな」の出荷量が日本で第2位(H20年)と健在。東京都の真ん中に位置する日野市では、市の伝統野菜である「東光寺だいこん」を地域ブランドとして守り続け、地区内の小中学校の児童生徒を中心にたくあん漬け体験を実施し、その伝統を伝えている。東光寺地区を中心に、日野市の地産地消を取材した。

東光寺小3年生が収穫体験で学ぶ

  前日の大雨があがり、晴天に恵まれた昨年の12月3日。日野市立東光寺小学校(垣内成剛校長)の3年生は、市内に3軒しかない「東光寺だいこん」を作る農家・和田恒雄さんの畑を訪れ、収穫体験を行った。

収穫体験
葉を切ってトラックへ

  「東光寺だいこん」は、首のあたりが10円玉程の太さの細長い大根で根長が60〜100センチ程に成長し、たくあんとして食べられているが、種まきから収穫まで90日程かかり、「青首だいこん」(約50日で収穫)の普及により、生産量は激減。貴重な品種として、市の補助を受け伝統を守っている。

  児童たちは9月に種を蒔き、途中で間引きに訪れるなどしてその成長を見守り、この日収穫の日を迎えた。和田さんのお手本に続いて抜いてみるが、一人では全く抜けない。どれくらい土に埋まっているのかがわからず折れてしまい、土の中を掘っている子もいる。

  掘った大根は葉を切り、次々にトラックに積んでいく。干した大根を学校で3樽分漬け、階段の下で保存。使用する日の朝に樽から出して、調理するのだという。

年間で23品目の地場産物を使用

  この日の同校の給食は、「ごはん(きぬひかり)」、東光寺大根と鶏肉を煮込んだ人気献立「東光寺煮」、日野産大豆プロジェクトで作った納豆に、ほうれん草・にんじん・もやしを混ぜた「野菜納豆」、東光寺産の野菜だけを使った「東光寺汁」、デザートも地元産の「りんご」。

  もやし以外は全て市内で収穫された食材が使用されていた。現在は、年間を通じて23品目、地場物を使用している。

  平成17年に学校給食文部科学大臣賞を受賞した同校は、30年近く食育を実践している。過去に、児童が畑を荒らしたことがきっかけで、近くの畑の物を給食に使用し、結果的には子どもたちが畑を荒らさなくなったというエピソードがある。

  それ以来、地域とのつながりは濃くなっていき、子どもたちの様々な体験が、継続されており、食育をテーマにした書籍「地域と学校をつなぐ食育」(三省堂)を発行するにいたった。「無理せず長く続けよう」という同校に長く受け継がれてきた信念がつづられている。

ブルーベリーで市を盛り上げる

  また、日野市はブルーベリーの産地としても近年力をつけており、平成10年に「日野市ブルーベリー研究会」が発足したことで、作付面積が増加。現在は、市内にある13農園で、摘み取り体験ができる。

  日野市ブルーベリー組合の組合長山崎愼一さんによると、体験に訪れる約3分の1が小学生以下。体験をすることで「大人になって日野市は良かったと思って欲しい」と組合の発展に努めている。

  そのブルーベリーは、平成15年に市制40周年を記念し開発した発泡酒「ブルーベリーエール」となり、期間限定販売され人気を博している他、日野産農産物を使用したスイーツコンテストの作品にも登場している。

【2011年1月22日号】

教育家庭新聞