学校のごみ減量化への参考資料を作成

3つの「R」活動目標に

 循環型社会の構築を目指して−−文部省ではさきごろ、学校がごみの減量化に取り組む際の参考資料「捨てる前に考えよう!身近な問題−循環型社会の構築を目指して−」を作成。全国の小・中・高等学校、特殊教育諸学校、高等専門学校を対象に配布した。同省は一昨年10月に発がん性物質のダイオキシンの発生が懸念される、学校の小規模ごみ焼却炉の使用を原則として中止し、ごみ処理に関して環境衛生管理の徹底に努めるよう各都道府県教委に通知していたが、これを受けて各校がごみ処理のあり方について考え減量化やリサイクルなど、今後積極的に取り組む際の参考となるようにまとめたもの。「学校でのごみ処理の現状と課題」から始まり、「ごみ処理の実践に向けた意識改革」まで全5章構成で、写真や図表、イラストなどを多用。各地での実践事例=下参照=なども盛り込みながら、ごみの減量化やリサイクルの必要性、その推進のためのシステムの確立を訴えている。

 それぞれの章ごとに詳しく見ていくと−−。まず第1章の「学校でのごみ処理の現状と課題」では、ごみ処理によるダイオキシン類などの化学物質汚染について、生成のメカニズムを含めて説明。学校などで使われている小規模焼却炉が廃止になった背景と理由について詳しく解説している。
 さらには、一昨年5月と通知を出した後の昨年5月の時点での幼稚園を含む公立学校での焼却炉使用状況を比較。83・2%から16・1%に大きく減少したこと=グラフ参照=や、ごみの分別回収の実施状況についても、「新聞紙・雑誌類」「生ごみ類」以外は大幅に分別回収が進んでいる実態についてグラフで示して紹介。今後も「Reduce=リデュース(減量)」「Reuse=リユーズ(再使用)」「Recycle=リサイクル(再生利用)」の3つの「R」活動を目標としていく必要があると訴え、実際に学校で日常的に使われている印刷用紙を例に、片面印刷から両面印刷にする(リデュース)、ミスコピーなど不用印刷物の裏面をFAX用紙にする(リユーズ)、最後に紙質によって分類して業者に出す(リサイクル)と例示している。
 第2章は「ごみの減量化の推進」。学校のごみの減量化のためには、まず発生するごみの種類を把握することが大切とし職員室(コピー用紙、印刷用紙、シュレッダーくず、段ボールなど)、普通教室・廊下(紙ごみ、びん、缶、PETボトルなど)、特別教室・実習室(木くず、生ごみ、鉄くず、コンピュータ用紙など)、食堂・厨房(生ごみ、残飯、びん、缶、段ボールなど)、校舎外・校庭(落ち葉など)−−場所別に種類を例示。分別後には種類ごとに量を適正に把握することも減量化に効果があるとして、A4のコピー用紙500枚で3キロ、朝・夕刊の新聞紙1か月分で5キロなど目安を示している。
 また学校行事におけるごみの減量化についても触れながら、出たごみの量を日報・週報・月報として記録し、最終的には年報として管理。それぞれの学校におけるごみの発生状況の特徴を把握し、目標値を設定して減量化に向けた対策を講じていくことが大切と述べている。
 第3章の「ごみのリサイクルの推進」では、ごみの分別を行う場合には基本的に学校が設置されている市町村のごみ回収方式に合わせて行うが、その際に「容器包装に係る分別収集及び再商品化の促進等に関する法律(容器包装リサイクル法)」の対象となるごみであるかどうか確認することを求めている。
 一方給食などから出る生ごみのコンポスト化(堆肥化)については、一昨年5月時点で16・5%の学校で行われていることを紹介しながら、「正しいコンポスト化」について1重金属やプラスチックなど他のごみを混入させない2植物の成育の阻害要因となる十分に腐敗してない未熟なコンポストにしない3自校で使用する以外に堆肥を他に提供したり、販売するには届出が必要な場合がある−−と注意事項を列記。十分な配慮を求めている。

(教育家庭新聞99年4月17日号)