小中高校の焼却炉を全廃

猛毒ダイオキシン対策

 

文部省が10月にも通達

 ごみ焼却時に主に小型焼却炉から出るといわれている猛毒物質のダイオキシンが、児童・生徒の健康に悪影響を及ぼす恐れがあるとして、文部省は全国の国公私立の小中高校などにおけるごみ焼却炉を、原則として全廃する方針を固めた。先の内閣改造で新たに就任した町村信孝文相が明らかにした。10月中に都道府県教育委員会に通達する。

 同省は7月にも校内でのごみの焼却をできるだけ抑制・廃止するように通達を出していたが、その後の調査で依然として校内でごみを焼却している学校が多いことに加えて、子どもたちの健康を最優先すべきとの考えから全廃の方針に踏み切ったもの。

 猛毒物質のダイオキシンは、特に学校などで使われている小型焼却炉で発生しやすいといわれていたことから、同省では5月から6月にかけて全国の公立の小中高校と特殊教育諸学校計3万9183校を対象に調査。その結果、焼却炉を使っている学校は全体の83%に当たる3万2563校で、そのほとんどが小型焼却炉だった。

 これを受けて7月には@校内でのごみの抑制・廃止Aごみの分別収集の徹底B校内で焼却する場合煤煙や異臭を発生させないC児童・生徒に焼却炉の着火などをさせない――といった内容の通達を出していた。

 今回の10月の通達では、小型焼却炉を廃止するとごみ処理に支障をきたす恐れがある山間部の学校は廃止の対象外とするものの、それ以外はすべて廃止の方向で、校内の焼却炉にかわる手段としては、それぞれの自治体が持つ大型焼却炉や広域事務組合の焼却施設などを利用するように求めている。

 学校における焼却施設については「ダイオキシン発生の可能性が高い」と、すでに山梨県をはじめ一部の自治体が廃止の方針を打ち出している。また厚生省は今年5月、ダイオキシンの排出濃度が比較的少ない大型の焼却炉への集約化を進めるために、原則として1日の処理能力が100d以上の焼却炉にごみを集約し、同規模以下の中小焼却炉を廃止する方針を各都道府県に通知していた。

一方大学については、ごみ焼却の規模も大きく、医療廃棄物の処理といった問題もあることから「一般の小中高校とは実態が異なる」として、厚生省が定めた規制にそうよう施設改善をすることで対応するとしている。

(教育家庭新聞10月11日号から)