暴力行為増加、いじめ3年連続減少へ

不登校児数は過去最高
文部省調査

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 生徒指導上の諸問題の現状について平成10年度の調査結果が取りまとめられ、文部省から発表された。これは、暴力行為、出席停止措置、いじめ、不登校、自殺、教育相談、体罰それぞれの状況を、公立の小学校・中学校・高等学校などを対象に各市町村教育委員会が報告したもの。今回の調査で目立つ結果としては、暴力行為が小学校で1706件、中学校で約2万6783件、高等学校で1706件であり、いずれの学校においても増加していること。またいじめが各校ともに平成7年度をピークに3年連続で減少しており、小学校で約1万8千件、中学校で2万1千件、高等学校で約3千件であったことと、これとは対照的に30日以上欠席した不登校児童生徒が小学校で約2万6千件、中学校で約10万2千件であり、いずれも調査開始以来過去最高を記録したことが挙げられる。

[いじめ中一生25%占め]
 いじめの発生件数については、学年別で比較すると、小学校から学年が進むにつれて多くなり、中学1年生が9092人と全体の約25%を占め、最も多くなっている。その後は学年が進むにつれて減少。男女の比較では、小学校では男女の差があまりないが、中学校、高等学校となるにつれて男子の占める割合が高くなっている。
024千葉・愛知・東京
発生件数高く
 また都道府県別発生件数では千葉県が3684件と最も高く、愛知県、東京都と続く。また生徒1000人あたりの発生件数では栃木県が9・9人、富山県が7・7人、長崎県が5・9人の順で高かった。
 いじめの態様については、小学校・中学校では「冷やかし・からかい」、高等学校では「暴力を振るう」、特殊教育諸学校では「言葉での脅し」がそれぞれもっとも高くなっている。学校段階が上がるにつれて「暴力」や言葉での脅しの割合が増加している。これらのいじめに対する対応として各学校いずれも「職員会議等を通じての共通理解を図った」、「学校全体として児童・生徒会活動や学級活動において指導」、「教育相談体制を整備した」が多かった。

 不登校児の総数3万4548人のうち、小学校で約44%、中学校で約84%の学校に不登校児童生徒が1名以上在籍しており、いずれも前年比に比べて増加している。学年別にみると、小・中学生ともに学年が進むにつれて多くなっており、特に小学校6年生から中学校1年生で1万3589人増、中学校1年から2年で1万2958人増と大きく増加している。
 不登校となった直接のきっかけと状態が継続している理由として、小学校・中学校いずれも「学校生活」、「家庭生活」、「本人の問題」のいずれに起因した場合も「不安など情緒的混乱」による場合が最も多かった。平成10年度の不登校児童生徒のうち約24%は同年度中に登校できるようになっている。これらの児童生徒にあたって特に効果のあった指導として、「家庭訪問を行い学業や生活面での相談にのるなど、様々な指導・援助を行った」「登校を促すための電話をかけたり迎えにいくなどした」が教職員から挙げられた。
 このほかの調査では出席停止の措置がとられた件数は小学校で1000件、中学校で56件。児童生徒の自殺総数は192人。そのうち小学生4人、中学生69人、高校生119人であった。体罰ではないかとして問題視され、学校で調査した件数は小学校177件、中学校548件、高等学校255件、特殊教育諸学校30件となっている。
(教育家庭新聞2000年1月15日号)