腸炎ビブリオ対策 生産・流通にまで

業者には罰則規定

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 食中毒が急増する季節を迎えたが、夏場の生食用魚介類が感染源となる「腸炎ビブリオ」による食中毒対策を検討していた、厚生省の食品衛生調査会の乳肉水産食品部会は、さきごろ感染源となる生の魚介類について漁業者や加工・流通業者、小売り・飲食店などが守るべき冷蔵保存方法や加工時の十分な加熱方法などを定めた「腸炎ビブリオ総合対策」をまとめた。

 同省はまず食中毒多発期に入る来月から生産・流通業者らを対象に、加工時の衛生管理や低温での流通などの基準を示し、自主的な対策を促すとともに、全国の食品衛生監視員らを通じて立ち入り調査などを行い、チェック態勢を強化する意向だ。また今年度中にも食品衛生法の企画基準を改めて、流通管理や小売時の注意書き表示を義務づける方針も固めた。
 対象となる主な食品は1お寿司や刺身用の切り身魚2むき身にした貝類3煮ガニ−−などの生食用の加工品。具体的には▽水産加工場や卸売市場、小売店は4度以下で低温流通させ、カニを煮る温度にも基準を設ける▽小売店は、商品に保存温度と早めの賞味を呼びかける表示をする▽飲食店や旅館は、冷蔵庫から出して2時間以内に食べてもらうよう客を指導する−−といった内容となっている。

 これらは来年度から義務づけられ、罰則つきの規格基準として告示。違反した場合は1年以下の懲役または10万円以下の罰金が科せられる。また同時に家庭用の予防マニュアルも作成して、今月末から都道府県を対象として配布する。
(教育家庭新聞2000年5月20日号)